谷折ジュゴン

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6/6/2024, 1:10:44 PM

「最悪」

・傘を持っていない日に降る大雨

・起きがけのこむら返りに対処できなかった朝

・思わぬ誤字脱字をした日

・止まらないネガティブ思考で眠れない夜

等々、日常の「嫌だな」が積み重なって「最悪だ」との感情が胸の中を渦巻き始める。だけど、呑まれていかないようにペンをとる。ありのままの感情を紙の上に言葉として吐き出す。

そうして、私は「最悪」から逃れている。

6/6/2024, 2:39:31 AM

「誰にも言えない秘密」

表紙が綺麗だな可愛いなと思って、ろくにあらすじも読まずに手に取った本が、濡れ場満載かグロテスクな描写が多くて内心びっくりしたこと。

本当はBLとか百合とか書きたいこと。

多彩なジャンルが書ける知識と技術が欲しいこと。

誰にも言えない秘密と

わざわざ他人に言わない秘密。

6/5/2024, 3:51:35 AM

「狭い部屋」

部屋の数だけ物語がある。

それは人生ドラマか夢物語か。

今日も今日とて狭い思考の部屋を

ぐるぐる、ぐるぐる、歩き回る。

6/3/2024, 12:16:51 PM

創作「失恋」

ただ、あの人と話すチャンスだと思った。なのに楽しそうに本の感想を友達と話していたあの人を悲しませてしまった。何で、あんなこと言っちゃったんだよ、オレは。

オレが好きなあの人は、穏やかで優しくて笑顔がとっても似合う人だ。それで昨日、不思議なことを言っているのを聞いたんだ。

「この小説、塩昆布の味がしておいしいんだよ!」

塩昆布の味の小説って、どんな小説だろう。表紙をよく見てみると有名な推理小説だった。この人、意外と不思議な人なんだ。あ、良い会話のきっかけを見つけたぞ。よし早速、話しかけよう。

「なぁ、なぁ、小説がおいしいって紙食べたのかよ、何かヤギみたいだな、うめぇーうめぇーって」

おどけたオレとは反対に、 一気にその場の空気が凍りつく。凍りつくだけならまだしもあの人は、一瞬、怒りと悲しみが混ざった顔をしてた。それからあの人はやたら明るく笑って「面白いね」って言った後、暗い顔でとぼとぼ教室を出ていったんだ。

オレはただ、あの人と一緒に笑いたかっただけ。なのに、考えなしにオレがふざけたばっかりにあの人の心を傷つけてしまったんだ。オレはこれからどれだけ謝れば良いんだろう。あの人が元気になるのにオレができること、あるのかな……。オレの恋心は、恋とは程遠いものになってしまったみたいだ。
(終)

6/2/2024, 12:46:44 PM

創作「正直」

誤魔化すのはもう止めようと何度も思った。だけど、正直に話すのは怖い。文章に味を感じるなんて言ったら、また「中二病」とか「うざい」とか言われて……。だけどもう誤魔化し続けるのもつらい。それに説明を避けたら今度は疑問を持たれてしまう。もう、わたしはどうしたら良いのだろう。

「なーに思い詰めた顔してんの」

友人の声にわたしは我に帰る。そして、わたしが今いるのは友人の家であったと思い出す。ここで彼女と共に課題をしていたところだった。

「何か疲れちゃって」

苦笑しつつわたしが答えると友人はふっと表情を緩めてチョコレートのお菓子をつまむ。

「難しいもんねぇ、課題」

「うん 、そうだね」

「ん! もしかして今日のこともでしょ」

急に間合いを詰められ、背中に冷たいものが走る。やはり、友人の目は誤魔化せないようだ。今日、わたしは学校でうっかりとある文章を「おいしい」と少し大きい声で言ってしまったのだ。それをデリカシーのない同級生に聞かれ、過去の傷を抉られることを言われたのだった。

「まぁ、ああいう奴がいるから、ちょっとしたことも秘密にする必要が出てくるんだよね」

「うん、でも今回は本人には悪気がないみたいだったから、過去を忘れられないわたしが悪いの」

わたしの言葉に友人は目を吊り上げ大きくため息をつき、手に持っていた煎餅でわたしをさす。

「きみは優しい。こんなに優しいきみの心に今も癒えない傷を負わせた奴が、あたしは許せない」

そう言って乱暴に煎餅を噛み割った。不機嫌な顔でばりぼりと煎餅を噛み砕く友人の横顔を眺める。彼女のようなさっぱりした性格がわたしにもあったなら。友人に会う度に思う。正直、友人が羨ましい。

(終)

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