「また明日」
一日一冊の絵本の読み聞かせ
明日はどんなお話かな
楽しみにしながら夢の中へ
「透明」
透明なものに触れたかった幼い頃。
透明なものに色が入るのを怖がるこの頃。
創作 「理想のあなた」
全ての分野を完璧にこなすのは、まさに雲を掴むような話だ。 かといって、特定の分野で活躍を続けることができるのはほんの一握りの人だろう。
わかっているのに、理想を描くのはなぜなのか。あなたのコピーには成りたくないと、主張した所で今の私が嫌で仕方ないから虚しいものだ。
おそらく理想は劣等感の裏返しなのかもしれない。あるいは劣等感が理想を生むのか。どちらにせよ、自身に求めることが増える程、理想も大きくなる。結局、自分だけでは完結できなくて、身近な人や他人にまで理想を抱くようになる。
理想を抱くだけならまだしも、押し付けられたらたまったものではない。いちいち失望され、自分でも嫌悪し、さらに失望され、また自己嫌悪。
こんな悲しいループが起こるくらいなら、始めから達成できる目標を立てて地道に進む方が確実だと私は思う。
「っと、こんなもんだな。まだ改善できそうだけど今日はこれくらいで良いや」
彼の作文の上達はまだまだ先になりそうです。
創作「突然の別れ」
大人しそうな男子生徒は、目の前にいる憧れの彼女の言葉に耳を疑った。彼女は便箋を置いて照れたように口を開く。
「だーかーらぁ、お友達になろうって言ってるの。何度も言わせないでよ」
以前、彼は彼女から恋文を突っぱねられ盛大に振られていた。だが、彼女の「二度と現れないで」の言葉を聞かないふりをした彼は、書き直した恋文を携え彼女のもとを訪れたのだった。
「友達になって良いのか、本当に?」
「もちろん。でないと、きみは何度も来るでしょ。ま、今日からよろしくね」
そう言い、彼女は明るく握手を求めた。彼は戸惑いつつも朗らかな表情で手を握り返す。後日、大人しそうな男子生徒は自ら文芸部へ編入した。そして彼女との友情を勝ち取り、学校生活を送っているのだった。
一連の出来事は大人しい彼のかつての自分との別れであった。まさか彼女から友達になってくれるとは思っていなかった彼にとって、まさに突然の別れと言えるのであった。
(完)
創作「恋物語」
「ふざけてるの?」
可愛らしい便箋を手に彼女は眉をひそめる。校舎裏に立つ女子の前には大人しそうな男子が一人。真剣な顔で彼女の言葉を待っている。
「要するに、あたしに惚れたってことよねぇ」
静かな迫力に圧倒されつつ彼はぼそぼそと何か言った。便箋に目を落とした彼女はふっと吹き出す。
「これ、『恋』が全部『変』になってる。あと、文法もめちゃくちゃね」
突き返された便箋に彼は絶望的な表情を浮かべてその場に立ち尽くした。片や彼女は優しい笑みで口を開く。
「この学校でダントツの文才を誇るあたしに恋文とは、あなた随分な度胸ね。気に入ったよ、書き直して来たら考え直してあげる」
彼の表情はわずかに明るくなった。だが、彼女は不敵な顔で彼を見つめる。
「なーんて言うと思った?もう二度とあたしの前に現れないで」
そう言って彼女は男子に背中を向け去って行く。残された彼は青ざめた顔で小さく震えていた。彼らの恋物語はここで一度終わりを迎えたのだった。
(続く)
「真夜中」
読書が異様に面白く感じる。
文章が上手くなったと錯覚する。
カップ麺やスイーツが格段においしくなる。
そんな時間帯 。