かおる

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6/26/2024, 3:41:40 PM

君と最後に会った日

僕と彼女は同棲していた
いずれは結婚を…と考え
指輪を用意してプロポーズを
彼女の誕生日にしようと考えていたのだが

彼女の様子が日に日におかしくなっていった
決定的だったのは
僕を見て「あなたは私のお兄さんですか?」と
聞いてきたことだった

病院へ連れていくと
若年性の痴呆だと言われた

僕は仕事を辞め、彼女の面倒をみることにした
でも長くは続かなかった
金銭的に厳しくなったのである

彼女の両親は彼女を引き取りたいと
申し出てきた
僕にも『娘のことは忘れてほしい』と
告げてきた

彼女は両親に引き取られ
僕は再就職したものの
彼女を忘れることが出来なかった

どうしても彼女に会いたい
例えそれが最後になろうとも

その思いだけで彼女に会いに行った
一年ぶりに会った彼女は痩せ細り
目も虚ろだった
彼女は、良く分からない話を繰り返していた

僕は話を遮るように
彼女に「渡したいものがあるんだ」
そう言って前に買った指輪を
左手の薬指にはめた

その途端
彼女の目から涙が溢れてきた
なぜ泣いているのか彼女自身
理解できていないだろう

僕は思わず抱きしめた

それから僕は再就職した会社を辞め
彼女の近くの会社に務めた
これからの日々の中で
彼女の記憶は薄れていくかも知れないけど
1日1日を大切にしていきたい

6/8/2024, 3:23:08 PM

岐路

私の名前はA子 ごく普通のOLだ
先日、友人のB子とランチに行った
その帰りB子が占いに行ってきたと話してくれた
なんでも良く当たると評判らしい
B子は「数年後には結婚をして子供にも恵まれる」と
占い師に言われたと喜んでいた
そしてその占いは当たったのである

B子は素敵な男性と結婚をして二児の母になった

B子が一人目を出産した頃
私は彼氏はいたけど独身で、子供を抱っこしているB子を見て羨ましくなった

そこで、B子が行った占い師に見てもらおうと
店に足を運んだ
「その彼と結婚はできるけど、あなたに隠し事をしてるかも知れないわね」
と、少し不安な結果が出た

けれどその彼と結婚をして幸せな生活をしていた。
が、数ヶ月が経ち彼宛てに大量の督促状が届いていることを知った。借金だらけだったのだ。
その事がきっかけで彼とは離婚

これから先どうしたらいいのか分からなくなり
前に頼った占い師のもとを訪れた

しばらくは引っ越しなどしてはいけないこと
仕事は営業職が向いてるなど
助言をしてもらった

それからというもの事あるごとに
占い師を頼った

数年が経ったある日、会社の上司に転勤の話を持ちかけられた
栄転である
「すぐにでも返事が欲しい」と言われたけれど
その頃の私は自分の人生すら決められなくなっていた。

人生の岐路に立たされているというのに
お金を払えば先生が導いてくれると
信じて疑わなかった


6/7/2024, 11:36:21 AM

世界の終わりに君と


その日、僕たち家族は祖母の家に来ていた。
翌日に僕たちの両親が親戚の法事に参加するためである。

翌日、両親は法事に参加するため出かけた。
僕と弟は祖母と留守番だ。
静かな部屋の中、テレビの音だけが流れてる。

すると、少し揺れを感じた
『え?地震?』
その揺れは、あっという間に大きくなり
感じたことのない恐怖に襲われた

何分揺れたかも忘れたが
揺れが収まったころ
外で、どこかのおじさんが
「津波が来るぞ高台に逃げろ」と
繰り返し叫んでいる

弟に『逃げろ!高台に行くんだ!』そう伝えて
急いで外へ避難させた
祖母には『ばあちゃん、高台に行くよ。津波が来る。逃げよう』
そう言っても祖母は聞く耳を持たない
「この家にいるよ、ここがいいんだ」
そんな話をしている場合じゃない
次にまた、あんな揺れが来たら
ひとたまりもない
家も僕らも

無理やり祖母の手を引いて
高台を目指した
街の沢山の人が同じく高台を目指している
高台を登り始めたとき祖母は言った
「じいさんの遺影や通帳は持ってきたかい?」 
僕は『そんなことしてられないよ。さ、行こう』 
こう言うと祖母は
「何やってんだ、お前、取ってこい!」

ここで僕は思い出した
祖母は意地悪な人だった 
母にも辛く当たった
僕たち兄弟にも同じだった
酷い人だった
その怒りや憎しみに似た感情が
一気に沸き上がってきた 

『だったら、自分で取りに行けよ!』
僕は祖母の手を離した

そこからは一目散に高台をかけ上がった
頂上に着いて振り向くと
辺り一面、海に呑まれていた
世界の終わりのような風景が広がっている
呆然と眺めていると
引き潮が始まる

祖母の手を離した辺りには人など
いるはずもない


世界の終わりに君と


あのとき手を離したことに
悔いはない





6/6/2024, 12:42:50 PM

最悪


私は30代の働く女 独身
仕事柄なかなか出逢いがないので
マッチングアプリを使って
出逢いを探している

数ヶ月前から良く話すようになった男性がいて
話も面白いし、気が合いそうな感じ
その男性と会うことになった
俗にいう、デートである
行き先は海沿いの街
お昼頃に着く予定だったので
海鮮丼を食べたいなーと密かに楽しみにしていた
それと、その街には人気のスイーツ店もあるというので
前もって行きたいと相手には伝えていた

当日、待ち合わせ場所に男性の車がやってくる
私、『こんにちは』と笑顔で挨拶をして
車に乗り込む
目的地までは高速を使っても一時間ほどかかる
私はうっかりしていた
飲み物を用意していなかったのである
それで『あのー途中でコンビニ寄ってくれませんか?飲み物買うの忘れて…お茶とか飲みますよね?』
そう言うと相手の男性は
『あ、私は水筒にお茶を入れて持ってきたので大丈夫ですよ』
えっ?いやまあ、そういう人もいるか…
それに初めて会った人だし無理に言うのも申し訳ないので
そのまま我慢した

そうこうして目的地に到着
まずは喉を潤して…と

市場が並ぶ店先を歩いてると試食もできる店を発見
少し食べてはその美味しさに感動していた
男性が離れたところから私を呼ぶ
近づいてみると
『これ食べてごらんよ、美味しいわー』
そう言って手にどっさりと盛られた海の幸
これを何度か繰り返す男性

そして『じゃあ、いっぱい食べたし
スイーツ屋さんに行こうか』
ですって!
え、これで終わり?これが昼食?海鮮丼は?
胸の中はモヤモヤしていた

でもスイーツ屋さんに行けば気持ちもあらたに
美味しいケーキにありつける
そのスイーツ屋さんで一番人気のケーキセットを頼んで、二人で食べた。
うわさ通り美味しい
お会計になって、その男性は言うのよ
『ここは君が行きたいって言ったんだから、君が払ってね』
ま、確かに私が言ったんだし!
ああ、そうですよね!払いますよ!
半ばイライラしていた

帰り、待ち合わせた場所で降ろしてもらう予定でいた私に、男性が言う

『ガソリン代が○○円かかって、高速は○○円かかったから半分の○○円払ってね』


一万円札を投げつけて私は家路に着いた




6/5/2024, 2:07:33 PM

誰にも言えない秘密


昔の話

私は自分で言うのもなんだが、
かなり可愛い方だ
当時私にはメル友がいて
何度かやりとりをして
お互いの顔写真を写メールで交換しよう
ということになった

で、相手の男性が先に写メールを送ってくれた
…のだが…私のタイプには程遠い

ましてや自分の写メールを送りたくない
どうしたらいいかと悩んでいた
そして閃いた!
私の友人Bちゃんは、巨漢のブス(でも彼氏はいる)
の写メールを送ってみようと…

相手の男性は初め
見た目だけでは分からない
話して見ないと など言っていたが
『ごめん、やっぱり俺って面食いかも』
と後日ありがたいメールをいただいた
これでこの男性とは終わり

Bちゃん
勝手に写真使ってごめんね
ましてやブスだと思っててごめんね

私の誰にも言えない秘密


読んで下さりありがとうございます

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