かおる

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8/25/2024, 3:22:15 PM

向かい合わせ


通勤電車で、ほぼ毎日会う女性がいた
彼女は綺麗な人で
見るたび幸せな気分になっていた

ある日、僕は座席に座っていて
彼女はつり革につかまり
向かい合わせになった

一瞬、彼女と目が合った
彼女は頬を赤く染め
少し目線を外し照れくさそうにしていた

これは声をかけるチャンスかも知れないと
内心ドキドキしていた
すると彼女に「あの…」と
声をかけられ一枚の紙を手渡された
もしやラブレターかな?など期待しながら
紙を開き読んでみると


「ズボンのチャックが開いてますよ」
と、書かれてあった

あわてて確認してみると
チャックが全開になっていた

ただ恥ずかしいだけの話


読んでくださりありがとうございました


8/24/2024, 12:34:21 PM

やるせない気持ち

小学校の頃
同じクラスの女の子で
病気をして皮膚がただれていた子がいた
そしてその病気のせいなのか
あまり声を発する子でもなかった

僕たち男子は、その子とあまり話したことはない

だけど女子は、その子と仲が良かった
彼女を囲んで楽しげに話していた

修学旅行が近くなり
男女とも宿泊先は大部屋だと分かり
みんな楽しみにしていた

修学旅行当日
観光地を巡りワイワイ話ながら
楽しんでいた
ふと女子に目をやると
病気をしているその子の歩くペースに合わせて
他の女子も歩いていた

宿泊先に戻り、食事や風呂を済ませ
各自部屋でまたワイワイ騒いでいた
そこで僕はひらめいた
女子の部屋に忍び込んで驚かせようと
友達何人かを誘った

音を立てないようにそっと
障子を少しだけ開けた

するとそこには正座をさせられた
病気の彼女を中心に
クラスの女子がぐるっと円を描くように
囲んでいた

彼女は泣いていた
みんなは「何泣いてんのよブタが!」
「そうよ醜いブタが!」
「アハハ、やだ気持ち悪い」
と罵声を浴びせていた

そしていつもなら一番に仲良くしていた子が
「ねえみんな知ってた、こいつカツラつけてるのよ」
そう言って彼女の頭を掴みカツラを剥ぎ取った
みんなは「うわー」と驚きを隠しきれてない
そしてカツラを手にしていた子がさらに
ライターを取り出した
「燃やしちゃおうかなー」
炙るまねをしながら
ふざけた感じで言っている
回りも囃し立てる


僕らは見てはいけないものを見てしまった 
そっと障子を閉め部屋に戻った
そして彼女のことを考えると
やるせない気持ちでいっぱいになった





8/22/2024, 1:15:01 PM

裏返し

私が子供の頃
薬を飲むのが苦手で
母はジュースや食事に混ぜて飲ませていた

先日、駅のホームで電車を待っていると
強烈な眠気に襲われて
その場で寝てしまい
「人が倒れている」と近くにいた人に発見され
救急車で病院に運ばれた
念のため一泊することになった

家に帰り母にこのことを話すと

「○○ちゃん最近良く眠れてないって言ってたから
飲み物に睡眠薬をいれてあげたのよ」
という
私は腹が立った

また別の日は、突然お腹が痛くなり
夜から朝まで何度もトイレに行った
変な物でも食べたかな?
そう思って母に聞いてみると
「○○ちゃん最近便秘しがちだと言うから
飲み物に下剤をいれてあげたのよ」
という
母の薄ら笑いが不気味に見えた

これが母の愛情なのか?
それにしてもいきすぎだろう
いつかその愛情の裏返しで
毒薬でも盛られ
私は○されるんじゃないかと
母を恐ろしく感じるようになった





初めネコを題材に投稿したのですが削除しました。
夏なのでホラーっぽい作品に変更しました。
読んでくださり ありがとうございます

8/22/2024, 8:43:07 AM

鳥のように

鳥人間コンテスト という番組がある
多くの人が参戦する
チームを組み
夢を見て
思いを馳せて
少しでも長く
空を飛ぶ
シンプルだがドラマがある

1977年から始まった番組らしいが
やはり人間は空を飛びたい
生き物かもしれない

6/26/2024, 3:41:40 PM

君と最後に会った日

僕と彼女は同棲していた
いずれは結婚を…と考え
指輪を用意してプロポーズを
彼女の誕生日にしようと考えていたのだが

彼女の様子が日に日におかしくなっていった
決定的だったのは
僕を見て「あなたは私のお兄さんですか?」と
聞いてきたことだった

病院へ連れていくと
若年性の痴呆だと言われた

僕は仕事を辞め、彼女の面倒をみることにした
でも長くは続かなかった
金銭的に厳しくなったのである

彼女の両親は彼女を引き取りたいと
申し出てきた
僕にも『娘のことは忘れてほしい』と
告げてきた

彼女は両親に引き取られ
僕は再就職したものの
彼女を忘れることが出来なかった

どうしても彼女に会いたい
例えそれが最後になろうとも

その思いだけで彼女に会いに行った
一年ぶりに会った彼女は痩せ細り
目も虚ろだった
彼女は、良く分からない話を繰り返していた

僕は話を遮るように
彼女に「渡したいものがあるんだ」
そう言って前に買った指輪を
左手の薬指にはめた

その途端
彼女の目から涙が溢れてきた
なぜ泣いているのか彼女自身
理解できていないだろう

僕は思わず抱きしめた

それから僕は再就職した会社を辞め
彼女の近くの会社に務めた
これからの日々の中で
彼女の記憶は薄れていくかも知れないけど
1日1日を大切にしていきたい

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