ストック1

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11/1/2025, 11:14:16 AM

寒い
寒すぎる
なんでこんな凍える朝を迎えなきゃならないのか
俺は昨日まで四天王だったのに
勇者パーティが四天王最強の俺と戦う機会がなく、そのまま魔王を討伐したものだから、命を失わずに職を失った
まぁ、俺は忠誠を誓ってなかったし、むしろ嫌いだったから魔王がくたばろうが、別にどうでもいいんだけど、働いてた立場からすると非常に困っている
魔王配下の立場を失った俺はお尋ね者で、後ろ盾もなく、住むところもない
そして見つかれば処刑は免れないだろう
この世の底辺に達した気分だ
どれだけ惨めな人生になっても死ぬのは御免だから、なんとかしなければならない
そもそも俺は就職にことごとく失敗して、腕っ節がたまたま強いからしかたなく魔王軍に行った結果採用されちゃっただけで、別にやりたかったわけじゃないんだ
食うために努力してたらいつの間にか四天王最強になってただけだし
なんだよ四天王って
魔王が死んだらなんの力もないじゃないか
ただの喧嘩自慢だよ
あーあ、魔族になんて生まれるもんじゃないよ
人間社会はけっこう人権意識高いらしいんだよな
魔族社会は弱肉強食が基本としてあるから、どっかでつまづくともうお先真っ暗なんだよ
今は魔族全体がお先真っ暗なのはとんだ皮肉だけど
四天王になっといてなんだけど、俺の性格って人間社会向きなんだ
他人を蹴落とすとか、大嫌いでさぁ
だから就職うまくいかなかったんだけどね
魔王軍に入ってからは本当に苦痛だったよ
今の状況よりはだいぶマシだけど
ハァ、俺も人間に生まれたかったなぁ
誰か俺を人間にして人生やり直させてくれ
あ、流れ星だ
叶うかな
ははは、そんなわけないか
なんか、頭がボーッとしてきたな
体もうまくうごかない
これ、ヤバいかも
俺、死ぬ感じか?
なんだよ
くだらない人生に、くだらない末路とか、ほんとなんなんだよ
少しくらい、いい思いさせてくれたっていいじゃないか
こんなの、酷すぎないか……?



「たしかに、魔王四天王の着ていた服だ
魔族は死ぬと肉体が崩壊するから、おそらくは……」

「これで一安心ですね
いつまでも逃げられたら、みんな不安でしょうから
……ん?
先輩、あそこ!」

「四天王のマント?
む、あれは赤ん坊か!?」

「こんな寒空の中ほっといたら死んでしまいます!」

「しかしなぜマントに?
……死にかけた四天王が捨てられた赤ん坊を温めたのか?
不可解だな……
いや、そんなことはどうでもいいな
早急に保護せねば!」

赤ん坊?
俺は人間になれたのか?
なんか、頭がフワフワしてきたな
記憶が抜け落ちてってる気がする
あれ、俺、なにやってたんだっけ?
俺は……
ん、さむい

んんん

「赤ちゃんが泣き始めました!」

「とりあえず、泣く元気はあるようだ
近くの建物へ急ぐぞ!」

10/31/2025, 11:31:51 AM

光と影は表裏一体
光あるところ、必ず影もあるものだ
そして同じ事柄でも、光に見える者と、影に見える者がいる
その目に映るは光か、影か
それはその人次第である
どちらが正しいのでもない
ただ、見え方が違うだけなのだ
──どこかの偉人


ああ
なんて優雅なんだろう
お姉ちゃんは、緑茶を飲む姿ひとつとっても、上品で美しい
そして何でも見透かしていそうな眼差し
知的なその瞳でいったい何を見て、その頭脳で何を考えているんだろう
きっと、私なんかじゃ思いつきもしない、海のように深い思考を巡らせているんだろうなぁ
お姉ちゃんはすごいよ
いつも私のために頑張ってくれる
だから私もお姉ちゃんのために全力で頑張れるし、普段の生活も恥ずかしくなく過ごそうと思えるんだよ
私には追いつけないけど、少しでもお姉ちゃんが持つみたいな素敵さに近づけるように頑張ろう



ああ
なぜか、妹がこっち見てるよ
私、なんかやっちゃったかな?
とりあえず緑茶飲もう
何を考えて私を見つめてるんだろう
怒らせるようなことしたっけ?
いや、普段の不満が爆発寸前なのかもしれない
不満かぁ
思い当たる節が多すぎてわかんない
妹よ、不甲斐ない姉でごめんよ
君が誇れる姉でいようとは思ってるんだけどね
私は不器用でダメダメだから、どうしても至らないところも多くなってしまって……
私も妹みたいにもっと頑張んないとだめだなぁ
見習うべきところは多々ある
いや、むしろ見習うべきところしかない
本当に、姉として努力をしていかないと!



視点が違えば、光は影になり、影は光になる
物事とは、そういうものだ
──どこかの偉人

10/30/2025, 11:37:29 AM

「まさか勇者たちがこれほどの力を持っていようとは
だがこれで終わりではない
私は異なる世界へ転移し、より強力な軍勢を率いて帰還しよう
そして、その日より私の伝説が始まるのだ」



目の前に豪奢な格好した大男がいる
コスプレか?
にしてもなんでこんな時間にこんなところで

「フ、転移に成功したようだな
どれ、記念にひとつ大きな花火でも上げるとするか」

なんか変なこと言ってるな
役になりきってんのかぁ?とか思っていたら、大男が手から炎を発射
俺の車に着弾し……爆発炎上した
は?
何が起きた?
おいおいこれヤバくないか?

「フハハハ!
この世界でも我が魔法は万全!
もう少し試してみるか……ん?」

大男は手を出して力んでいる
しかし何も起こらない

「なんだと?
この世界には魔力がないのか!?
もう魔力切れで魔法が使えん!
これでは私はただの人間と変わらんではないか!」

ペラペラと独り言で自分がピンチであることを喋っている
あれ、こいつもうヤバいことなんにもできないんじゃねえの?
魔法使えないとか言ってたぞ
……ところで、こいつ俺の車爆破したよな?
なんか恐怖が引いてムカついてきたな
騒ぎになったあとだと面倒だから、適当に事務所に連れて行こう

「ここにいると大変なんで、ちょっと俺の仕事場に来てもらえます?」

「む?
貴様、我に協力するというのか?
良い心がけだ
褒美は……」

「いいから早く来てください」

俺は長話し始めそうな大男をさっさと事務所へ誘導
目撃者は夜明け前でいないが、爆発音でここらへん一帯の住人は起きている
事務所へは目立たない裏道を使った
大男を待合室で待たせ、上司や同僚に事の次第を報告
みんな、驚くほどすんなり信じてくれた
異世界作品オススメしといてよかったぜ
そして、みんなで行動を開始する


「す、ずびばぜん
もう、勘弁じでくだざい」

大男……自称魔王を、俺たちはボコボコに殴り倒した
魔法の使えない魔力切れな魔王はただの一般人並みの力しかないようだ

「謝ってすみゃあ責任っつう言葉はいらねえんだよオラァ!」

「兄貴の車爆破して、サツに睨まれたらどうすんだ、あぁぁ!?」

「つーか、睨まれるだろぉ
こっちは被害者なのになぁ
どうしよっかなぁ
なぁオイ」

運の悪い魔王だ
俺たちみたいに、物騒な商売を本業とする輩の車を爆破しちまったんだから

「あのね、我々は責任取る時ってね、指をね、切断するんだよね、スパッとね」

「ひぃ、助けてください!
なんでもしますから!」

俺たち相手に言っちゃいけないこと言っちゃったなぁ
なんでもはダメだよ、なんでもは

「じゃあね、君にやってもらいたい仕事があるんだよね
なぁに
そのガタイで威圧してくれればいいだけだよ
僕たち、お金貸してる人がたくさんいてね
その人たちからね、お金を返してもらいたいんだ
とりあえずはそんな感じ
ゆくゆくは君も体とか鍛えてね、我々に舐めた真似してくる奴らに痛い目を見せたりとかね、そんなこともしてもらうよ?」

「はいぃ!
荒事はやって来たので、大丈夫です!」

いいように使い捨てる気満々だな
ザマァねえな
ま、戸籍も何もないから使いやすそうだ
うまくいきゃあかなり役に立ってくれそうではある
さぁ、魔王様にはせいぜい頑張って、馬車馬のように働いてもらうとしよう
大丈夫、飯は食わせてやるし、成績次第じゃもしかしたら高待遇してくれるかもしれねぇよ?
そして、ウチの組織で魔王伝説が幕を開けるかもな

10/29/2025, 11:34:19 AM

tiny love
小さな愛
小さな愛?
いやいや、私の愛はビッグですよ?
でも人によっては小さく見えるのかなぁ
だけど小さくても無いよりはいいですよね
まあ、大きいに越したことはないとは思いますよ?
ただ、はじめは小さくても、だんだん大きくなっていくことだってあると思うんです
ほら、あの時あなたがちょっと面白そうだと思って見たアニメ
思ったとおり自分好みだったあのアニメですよ
視聴途中の愛と全話見終わったあとの愛
絶対大きさが違うでしょ
その後原作も買っちゃったりして、愛がさらに大きくなったりね
つまり、何が言いたいかというと、私の愛は伸びしろがある!
これからどんどん愛を大きく、深くしていきたいと思います!
tiny loveをbig loveへ成長させていっちゃいますよ!
というわけで、私の愛に好ご期待!

10/28/2025, 11:24:37 AM

うら
うら
うら
うら
おもてなし
クソッ、また負けた
もう30万使ってんだぞ
イカサマをしてるんじゃねえだろうな
ま、してたところで立場的に追求はできねえ
そんなことをしたら出禁だ
イカサマだろうと俺は出禁にはなりたくねえから、黙って賭けるのさ
魂をギャンブルに捧げちまっちゃあ、もう抜け出すなんてのは無理だ
だから俺は狂ったように、気が済むまで金を賭ける
借金はしてねえが、そのうち手を出すかもな
金を貸すのはここで賭場を運営してるところだろう
そんなとこから借金をしたらどうなるか?
それを考えちゃあギャンブルなんぞできねえよ?
もう俺は戻れねえんだ
なら、行くとこまで行くしかないわけよ
だからまだまだ賭けるぜ
うら
うら
うら
うら
おもてなし
あー、こりゃあやられてるな
今日は当ててほしくない事情があるのか?
まあいいや、今日のところはこのくらいでやめておくか
ん?
なんだなんだ?
やべ、警察が来やがったのか
あー、もう捕まるじゃねえかよ
でもその割に俺、すげえ冷静だなぁ
なんでかなぁ
しっかし今日で賭け納めか
だがこれでよかった、のかもな
つっても更生できんのかぁ?
それはこれからの俺次第か
ギャンブルからおさらばして、今度は人生のおもてを出したいもんだぜ

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