ストック1

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7/19/2025, 10:52:19 AM

美味しい食べ物を食べると、脳で快楽物質が生成され、快感を覚える
この快感が強いことを、我々は「飛ぶ」と呼んでいる
どこかで聞いたことがある表現かもしれないが、我々は独自にこの言葉を考えたので、断じてそれとは関係ない
ないと言ったらない
それはともかく、美食家という言葉がある
美味しいものを求め、味の良し悪しがわかる人たちのことだ
彼らの舌は肥えており、ちょっとやそっとでは飛ばないだろう
そんな手強い舌を満足させる料理人が、高く評価されるのだ
だが、残念ながら我々は美味しいものを食べても飛ぶことはない
いや、飛ぶことができないのだ
舌が肥えているのではない
美味しさは充分感じている
普通の人は飛ぶであろうことはよくわかる
しかし、快楽物質はあまり出ない
我々は美食家ではない
言うなれば醜食家
不味いものを食べて初めて快感を得て飛ぶことができる、周りから見ればなんとも不幸な存在が我々だ
間違えてほしくないのは、不味いものを美味しく感じているわけではない
不味いものは不味い
吐きそうになったこともある
だが、その不味さが快感なのだ
不味い料理が一番快楽物質が出る
不味い料理が一番飛べる
こんな感覚、信じられないだろう
だが、例えとしてわかりやすいだろうものがある
辛味だ
苦手な人にとっては地獄だが、好きな人はとことん好きなはず
あんな舌に辛味という名の痛みが走っているのに、快楽物質が出ているために快感を感じて、好んで痛みに溺れるのだ
これがアリなら我々もアリだ
快楽のためなら、サルミアッキだって食す
ショートケーキに豚骨スープだってかける
不味いものを食べる時はいつも、飛べ飛べ飛べ!と念じながら食べ、そして飛ぶと天にも昇る気分になる
醜食家は滅多にいないため、理解が進んでおらず、公言すれば変な目で見られるだろう
だが私は声を大にして言いたい
我々は珍しいだけで、異常者ではない
好んで辛いものによる痛みを感じに行く辛党と、やっていることは基本的に何も違わないのだ
全ての醜食家たちよ
我々のこの快楽は、恥ずべきことではない
周りに流されず、これからも不味い食べ物を食べ、その不味さの中の快楽によって飛べ

7/18/2025, 11:16:44 AM

今日は特別な日だ
もっと特別感を出すと、special dayだ
そう、special day
とても特別なんだ
それはもう、信じられないくらい
夢かと疑いたくなるくらい特別な日
こんな幸せなことがあっていいのだろうか
だがこれは紛うことなき現実
嬉しすぎて倒れそうだ
一体何が特別かって?
それはほら、特別なことが特別なんだよ
special dayだから特別な日
逆に言えば、特別な日だからspecial dayとも言える
意味がわからない?
じゃあちょっと説明しよう
特別な日というのは誰が決めると思う?
人がこの日は特別だと感じた時、その人が特別な日に決めるよね
その特別の範囲については、なんとなくの傾向はあれど、明確なルールがあるわけじゃない
自然現象じゃないから、決まるための自然法則も存在しないんだよ
つまり、特別な日っていうのは誰かが特別な日だと思った瞬間、そうなる
だから今日、僕が叫びたくなるようなひどい目にあって、ストレスフルな状態になったから、そのストレスを解消する一環として普段しないようなバカ食いをするため、今日を特別な日だと決めれば、なんでもない日も即座に特別な日に早変わりする
つまり、今日は特別な日だと僕が決めたので、リミッターを外してバカ食いしてもいいspecial dayなんだよ
わかったら僕が並べたお菓子の袋たちを片付けようとするのはやめるんだ
食べなきゃやってられない心境だから
もう、特別な日だとかspecial dayだとか、そんなことはどうでもいいから
ただ食べてストレス解消したいだけなんだ
いや、やけ食いがよくないのはわかってるけど、他にいい方法が思いつかなくて
今日一日くらいいいじゃないか
え?一度やると癖になるからダメ?
そんな
あぁ、僕のspecial dayが始まる前に終わってしまった
溜まりきったこのストレス、どうすればいいんだ……

7/17/2025, 11:25:53 AM

揺れる木陰を屋内の窓から見つめている
そこそこ風が強く吹いているので、木の枝がざわめいているのだ
それで木陰も揺れている
その黒く揺れる姿は、まるで怪物みたいだな
なんていうことを考えながら、やることもないのでひたすら見続ける
木の怪物か
ああいう怪物って、木の幹に鋭い目とギザギザの口があって、根っこや枝を武器にして、うねらせながら刺したり叩いたり、みたいなイメージがあるんだよな
しかし、僕はあえて火炎放射をさせたい
木なのに火を吹くのだ
ギザギザの口の中から炎が発射されるのを想像するだけで、すごいワクワクする
あと、自分の枝や根っこに火をつけて攻撃したら、かなり強いんじゃないか?
自分が燃えてるとか、細かいことは気にしないとして
倒された時は、青い炎に包まれて消えるんだ
なんてどうでもいいことを考えるのも、ひたすら暇だからだ
揺れる木陰を見て想像するのは、なかなか楽しいわけだから、構わないけれども
しかしそんなことを考えているうちに、日が陰って曇りになった
残念、黒い木の怪物は消えてしまった
別の暇つぶしを探そう

7/16/2025, 11:17:20 AM

夢は夜見るもの、とは限らない
真昼の夢だってある
私は油断していた
少し疲れていたから、ちょっと横になろうと思ったのだ
そしてそのまま眠りに落ちた
夢の世界へゴーである
見たのはとてもいい夢
憧れの場所へ旅行に行くのだ
夢なのでおかしい部分はちらほらあるが、気分は最高
見たいと思っていた大迫力の城も見ることができた
しょせん夢の中なので、実際は全く迫力がなかったが
そうして満足のうちに目が覚めた私
時計を見たら夜七時
なんてことだ
とりあえず落ち着くために夕食の支度をして食べた
そして改めて今の状況を考える
今日は日曜日
明日は月曜日で、早起きしなければならない
だがいい夢を見た代償として、私は夜眠れない状態に陥った
絶対に朝方まで眠くならないし、徹夜しての外出はあまりに危険
どうすればいいか、私は悩んだ
悩んだところで、いい案など思いつかない
こうなってしまっては、やむを得ないだろう
まずは一度徹夜する
朝、眠気が来ても決して寝ないように気をつけながら、待機
時間まで耐えきったら職場に休みの連絡だ
こんなくだらないことで貴重な有給を使いたくはなかったが、他に手はない
頑張って暇をつぶしながら、朝を待つ
そしてそのまま眠りに落ちた
昼まで寝た
ついでに、再び真昼の夢を見た
今度は上司にこっぴどく叱られる悪夢だ
正夢になったのは言うまでもない

7/15/2025, 11:01:27 AM

これは、戦い。
二人だけの。
彼女は正義のヒーローで、私は悪の王。
悪は正義に滅ぼされなければならない。
なぜなら、私がそれを望んだからだ。
倒されるために、私は悪の王になった。
すべては彼女のため。
彼女を、不幸のままでいさせたくはなかったから。
私は裏から手をまわし、彼女をヒーローに仕立て上げることにした。
悪である私を彼女が滅ぼせば、彼女は皆から認められる。
孤独に泣くことも、周りから蔑まれることもなくなるだろう。
誰かが共に笑い、誰かが共に悲しみ、誰かが守ってくれる。
一度そうなれば、彼女の本来の心の力で、その先もうまくやっていけるはず。
今まではただ、運がなかっただけなのだ。
きっかけさえあれば、彼女は輝ける。
そのきっかけを作るのだ。
しかし彼女は優しい。
私の目的を知れば、正義のヒーローとなることを拒否するだろう。
だから私は、目的を知られないよう、あらゆる手段で隠しきった。
私は絶対に、悪として正義の彼女に倒されて、退場しなければならない。
私が彼女にそこまでする理由。
それは大したものではない。
羨望だ。
彼女は、人に好かれる才能がある。
けれど、さっきも言ったように、ただひたすらに運が悪かった。
私は彼女の才能がとても羨ましい。
私もそんな才能が欲しかった。
だが、彼女はその才能を発揮できていない。
とてももったいないと思った。
勝手かもしれないが、彼女には、私の代わりに、私が望んだ幸せを掴んでほしい。
だから才能を発揮させようと決意したのだ。
ただ、それだけだ。
それだけの、くだらない理由だ。
さあ、始めよう。
私と彼女の、一対一の決戦。
彼女に倒されるための、最後の戦いだ。

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