ストック1

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4/24/2025, 11:15:23 AM

「……なので、それを続けていれば、あなたを評価してくれる方に巡り逢います」

「ありがとうございます!
頑張ってみます!」

私は占い師だ
超インチキ占い師だ
自分で知識もなく考えた、独自の適当な儀式をして、客の話を聞いた後、色々それっぽいことを言い、「あなたの運命を変える方と巡り逢いますよ」と言うだけの簡単なお仕事
だいたい自信満々に断言すれば、みんな晴れやかな笑顔で信じてくれる
……意味がわからない
私の怪しさ満点の占いのどこに信じる要素があるのだろう
とてつもなく嫌なことがあって、もう人生棒に振ってやれ、とやけくそで始めただけなのに、やたら評判がいい
リピーターも多いのだ
私みたいな適当なことしてる人間が、うまくいく世の中なんて間違ってるでしょ
いや、自分でやっといてなんだけど
この仕事始めてから、私生活もなんか、いい方向に向かってるし
なんか、都合よく行き過ぎて怖い
ちょっと占い師にでも相談しようかな

「占い師が占ってもらうってどうなのよ」

それはそう
目の前にいるのは、ベテラン感満載で、雰囲気出まくりの評判のいい大先輩占い師

「私、インチキなので
占ってもらっても問題ないかと」

「声を大にして言えないけど、あたしだってインチキよ
ま、でも話はわかったわ
あんたがうまくいってる理由、教えてあげるわよ」

大先輩の視点に期待しよう
占いはインチキらしいけど

「インチキ占い師に必要な能力、わかる?」

「図太さ?」

「ハッハッハッ、違いない
でもね、一番大事なのは、相手の話を引き出し、長所と短所、人となりを理解することね
それができるやつはインチキ占いでうまくいくのよ
長所を伸ばし、短所の改善や補うためのアドバイスができるからね
で、あんたお得意の巡り逢いますよ、だけどね、そう言われると人は他人に興味持って、積極的に関わろうとするのね
結果、自分で勝手に味方を見つけて、占いのおかげだと思うわけ」

なるほど
でも、私は特にそんなにうまいこと占いができてるとは思えないけど
相手の心理を利用する勉強もしてないし

「そうそれ
ハッキリ言って、あんたは無自覚にやっちゃってる天才肌なのよ
たぶん、あんたは他人への興味が強くて、話もちゃんと聞く
さらに人を見る目がある
その上で相手の身になって的確なアドバイスをしちゃうってわけ
うまくいかないわけがないわよ」

「私にそんな才能が……」

努力したこっちからしたら羨ましいわよ、と大先輩は締めくくった
怖がる必要はなかったか
実は天職なのかも
この人にたまたま巡り逢えてよかった
ラーメン屋のカウンターで沈んだ私に声をかけてくれて、占い師をやる場を用意してくれたのはこの人だったから

「ま、そんな感じだから、自信持って続けたらいいのよ
私生活がうまくいってるのも、あんたが仕事を頑張って、軌道に乗って、心が楽になってるからなんじゃない?
まあともかく、なんかあったらまたあたしに相談しなさい
お金はもらうけどね」

「はい、ありがとうございます!」

「たまにはあたしの悩みも聞いてくれると助かるわ
聞くだけでもいいから
もちろん、お金は払うわよ」

「わかりました!」

せっかくいい感じにできてるから、これからもインチキ占い師、続けよう
……天職に出会えた、これも巡り逢いかな?

4/23/2025, 11:13:41 AM

私はいつから旅をしているのだろう?
昨日までの記憶はあるが、いつ旅を始めたのかと問われたら、まったくわからないと答えるしかない
そこだけが曖昧だ
確かなことは、私は普通の人間では生きられない年月、旅を続けているということ
100年ではきかないだろう
旅の中で、嬉しいことも、悲しいこともあった
数え切れないほど、他者の幸福な場面に立ち会った
数えたくもない数、他者の不幸な場面に立ち会った
それらを思い出にしながら、旅をする
なんのために旅を始めたのか、もう覚えていないが、それでも私は旅を続けている
惰性だろうか?
それとも、記憶の隅に残る理由に突き動かされている?
なぜなのかはわからない
しかし、そんなことはどうでもいい
私は今を楽しんでいるのだから
いや、それこそが私が旅をする理由だ
始めた理由は、今となっては関係ない
今、私が楽しんでいる
その事実が大事なのだ
様々な場所へ行った
様々な人と出会った
これからも様々な場所へ行くだろう
これからも様々な人と出会うだろう
同じ場所でも、時代が違えば様変わりすることもあるし、世代も変わる
同じ場所でも、行くたびに新しい発見がある
この世界は飽きることがない
さあ、今度はどこへ行こう
どこだろうと、きっと私は楽しむはずだ
私の旅はこれからも、ずっと続く

4/22/2025, 10:55:53 AM

祖母がアイドルグループにハマった
以前から元気な人だったけど、よりテンションの高い人になった気がする
ユーパイプで公式MVを見たり、出演するテレビ番組もチェックして、日々楽しそう
彼女たちを見る目は完全に孫に対する眼差しなので、私はちょっと嫉妬してしまう
でも、祖母はとても幸せそうだし、別に私を可愛がってくれなくなったわけじゃないから、なにも問題はない
むしろ、そんな祖母の姿を見るのは私も好きだ
祖母の愛は大きくなり、ファン活動が活発化していく
そして、ついに苦労の末ライブのチケットを手に入れた
二枚も
私に予定を聞いたと思ったら、一緒に行きたかったらしい
ライブの日は予定が空白なので、私は連れて行ってもらうことにした
私以外の子供やら孫やらは興味がなかったり、予定が合わなかったという
なんだか久々に一緒の遠出な気がする
いつ以来だっけ?
ライブ当日、祖母はワクワクしていて、私もつられてワクワクした
ついでに、つられて買う気のなかったグッズも買ってしまった
私が小さい頃から面白くてすごく元気な祖母が、ライブが始まると、まだ上があったのかと衝撃を受けるくらいハイテンションで楽しみ始めた
もちろん、周りの人に迷惑にならないよう、ルールや注意事項の範囲内で
ライブも楽しいけど、改めて祖母のグループへの大きな愛が感じられて、なんだか私の方もとても幸せな気分になった
来てよかったな
これからも目一杯楽しんでね
応援してるから

4/21/2025, 11:22:44 AM

僕は治癒魔道士
仲間の傷を癒やしたり、解毒、身体能力補助などを行うのが役割だ
そんな僕が、広い範囲の味方だけを癒やせる上に、魔力消費も少ない魔法を開発した
広範囲魔法は、範囲内にいる特定の相手のみを対象とするのはかなり難しく、複雑な術式ゆえに、できても魔力を大量に消費するのだ
しかし、この魔法は消費量が軽い
さらに、この魔法のすごいところは、長い詠唱を必要としないこと
詠唱は短い一言で済む
敵に気づかれず、安全な治癒が可能だ
自分で言うのも何だが、僕の今回の魔法は大発明と言える

開発したら次にすることは、魔道協会への登録と命名だ
魔法名は基本的に、開発者が付けられる
この魔法を開発する時に、僕はすでに名前を決めていた
「妖精のささやき」
敵に気づかれずに、味方にだけ治癒の効果を与えることを、聞こえてほしい相手にだけ伝える、ささやき声にたとえた名前だ
早速仲間に名前を伝える

「あー、なんか、ネーミング古いね」

想定外の返答だ
僕は名前に自信があったので、その言葉に驚いた

「今の流行は、ヒールとかホワイトウィンドとか、そんな感じじゃん」

そうなのか?
いや、言われてみれば、最近の魔法はそういう名前が多い気がする
攻撃魔法も、ファイアアローとか、アイスダンサーとか
僕が好きな紅蓮槍とか、輝きの鉄槌とかは古いのか!?

「まあ、あなたがそれでいいなら、止めはしないけど」

暗に、ダサいからやめたほうがいいと言ってるな
しかし、「妖精のささやき」、気に入ってるんだよな
変えるべきなのか?
……いや、もうこれは「妖精のささやき」でいこう
妥協して好きでもない名前を付けても絶対に後悔する

登録後しばらく、僕の魔法は、唯一の欠点が名前だけ、と言わしめるほどに、様々な治癒魔道士によって様々な場面で使われ、必要不可欠な魔法となっていた
しかし、名前に自信のあった僕は、複雑な気分だった……のだが

突如魔道士界隈でレトロブームが始まる
どうやら影響力のある魔道士が、僕の「妖精のささやき」というネーミングを気に入ったらしく、「かっこいいじゃないか!」と言い始めたようだ
魔道士たちはそれに影響され、自分の開発した魔法の名前を、ヒールとかファイアーアローみたいな系統ではなく、紅蓮槍や輝きの鉄槌などの系統で命名し始めた
これにより、僕の魔法は欠点のない最高の治癒魔法と呼ばれるようになったのだった
僕のネーミングを肯定してくれた魔道士の方、ありがとう!

4/20/2025, 11:05:18 AM

私はこの都会の一角で、今から星空観賞会を始めるよ
温かいココアを飲みながらね
贅沢なひとときだと思わない?

「先輩、都会は夜も明るいですよ
星なんてほとんど見えません」

それはどうかな?
素晴らしい星々を見られるとっておきのスポットを知ってるんだ
君も来る?

「来てほしいから私を呼んだんでしょう?
私の分のココアを奢るためだけに電話したなら、怒りますよ」

まあ、そうだね
ついて来てほしいし、ついて来ると思ってる
あと、君なら用件を言わなくても来てくれるって信じてたよ

「いきなり、素敵なものを見せるから来なよ、なんて呼び出して
私じゃなかったら断ってますよ」

ありがたいねぇ
君は私の誘いなら、用事がない限りすっとんで来てくれるもんね
じゃ、行くよ
楽しみにしていてよ

「先輩がそんな自信満々に言うなら、期待しておきます」


ほらここ、ここが目的地
どうだね、君ならなんとなく予想していたんじゃないかね?

「まぁ、こんなビルの並ぶ都市部の真ん中で星を鑑賞って言ったら、プラネタリウムですよね」

そう!
でもね、私のサプライズはそこじゃないんだよ
このパンフレットを見たまえ

「あっ
これ、私が昔見て気に入ったやつ……」

復刻上映だってさ
思い出の星明かりのもとで心地よく座りながら、ココアを飲むんだよ!

「わざわざ見つけてくれたんですね
これ、もう一度見たかったんですよ
ありがとうございます」

なんのなんの
かわいい後輩のためさ!

「でも先輩、館内は確実に飲食禁止なので、残念ながら温かいココアは飲めません」

あー、そりゃそうだ
じゃ、今飲もう
飲み切ろう

「あ、私は熱いココアが苦手なので、プラネタリウムを見終わって、冷めてたら飲みますね」

えー、一緒に飲まないの?
まぁ、どうでもいいか
しばしお待ちを……
プハァッ
じゃ、入ろうか

「本当にありがとうございます
まさか前に話したこと、覚えてくれていたとは思いませんでした」

私は後輩を大事にするタイプなんだよ
久しぶりの鑑賞なんだから、今夜は存分に楽しみなね

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