ストック1

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3/2/2025, 11:18:21 AM

おーっほっほっほ、誰かしら?
3日あればワイバーン肉程度、調達できるとか大見得切ったおバカさんは?
わたくしよぉぉぉぉ!!
どうするの!?
もう明日には宴が始まるのよ!?
ちょっと山へ行って狩るだけだと思ってたのに、なんでこの時期にレッドドラゴンなんて危険度の高い怪物が現れるのよ!
あの渡り竜は夏に現れるものでしょう!?
今、春じゃないの!
来るのが早すぎよ!
あんなの、騎士団レベルじゃないと太刀打ちできないでしょうが!
良家の人間が冒険者をやるなんて、元々周りからいい目で見られない立場なのに、失敗したとなったら余計に厳しい目に晒されるわ!

「あははは
冒険者の仕事の厳しさがわからない上流の方々からは、しょせんお嬢様の道楽かとバカにされるでしょうね」

うるせぇぇぇぇ!
余計なこと言ってないであなたもどうするか考えなさい!

「口調も荒々しい冒険者らしくなってきましたね
これでお嬢様も1人前の荒くれ者ですよ」

冒険者は荒くれ者じゃないし、わたくしの口調がたまにああなるのは周りの環境のせいで、わたくしの本質は高貴なのよ!
ってそんなことはどうでもいいの!
なんとしてでもワイバーン肉を手に入れなくては!

「そんなお嬢様に朗報です
ワイバーンを狩れないのなら、宴なんて中止に追い込んでしまえばよいのです」

……ほうほう、詳しく聞かせなさい

「私がパシリ……友人に命じて会場をめちゃくちゃにさせます」

それはただの事件なのではないかしら?
わたくし、あなたやパシリ……ご友人が捕まるところなんて見たくないわよ?

「ご安心ください、彼女は偽装工作は大得意です
そのへんで待機している酒癖の悪い上流な方にお酒をたらふく飲ませ、荒らした現場に放置します
朝起きたらあら不思議、めでたくその人は宴の会場を荒らした犯人です
記憶もおぼろげなので、その人は嫌疑について肯定も否定もできません」

あら、悪辣なことを考えるわね
でもそういうの、わたくしは好きよ
頼んだわね、うふふふふ

「では、そのように
それで、報酬の方は……」

もちろん弾ませてもらうわ!

「ありがたき幸せ、クックック」



翌日、計画がバレてました
2人でお父様の部屋へ呼ばれてしまった……

「私はやめたほうがいいって言ったのに、お嬢様が脅してきたんです!!うああああん!」

この女ぁぁぁぁ、あっさりわたくしを売りやがったぁぁぁぁ!
泣き落とししてんじゃねぇぇぇぇ!

「お前たちの企みはすべてお見通しだ
昨晩、お前たちがパシリと呼んでいる彼女から告発があった
当然、会場は無事だ
宴は予定通り行われる
そして、お前たちにはとても重い罰を与えるので、そのつもりでいろ
まったく、肉が手に入らぬなら正直に言わんか馬鹿者」

まさか、裏切られるとは……!
忌々しいわ……!

「あの恩知らず
あとでおしおきしてやらないと……!」

「聞こえているぞお前たち
それと、おしおきを受けるのはお前たちのほうであるということを忘れるな」

終わった……
どうしてこんなことになってしまったのかしら
誰かしら?
こんな目に合うそもそものきっかけを作ったおバカさんは?
3日でワイバーン肉を調達するなんて大見得切ったわたくしよぉぉぉぉ!

3/1/2025, 11:22:19 AM

その男は才能に恵まれなかった
驚くほど何の才能も持ち合わせず
何をしても人より数歩遅れ
常に誰よりも目立たない
成功の数は人より少なく
失敗の数は人より多い
頑張っても実を結ばない
そして、無心になってひたすらに努力し続ける才も持てなかったのだ
それでも彼は諦めなかった
挑戦し、失敗し、やる気を無くし、また立ち上がり、挑戦する
才能はないが、心の底から諦めることだけは絶対にない
いや、才能はあった
彼の唯一の才能は、何度心が折れることがあっても、また復活することだ
時間はかかったが、積み重ねたものは本物であり、彼の力を確実に強める
芽吹きのときは来た
才能に恵まれなかったその男は、その諦めない心によって、存在しないはずの才能を、自らの手で生み出したのだ
彼を称賛する者たちは、彼が才能あふれる人物だと疑わない
しかし、彼にはあふれ出る才能などなかった
諦めることがない、というその一点のみで、彼は大成したのだ

2/28/2025, 10:28:16 AM

あれは私が幼かった頃の話
その日私は、家でいたずらをして母に叱られ、泣きながら近所の祖父の家に向かいました
祖父は優しく、穏やかで、いつも私を慰めてくれたのです
祖父の家へ入り、涙を流しながら家での出来事を語ると

「それは大変だったね
君は色々なものに興味を持つから、ワクワクが溢れてしまったんだね
けど、いたずらはいけないよ
あとでちゃんとお母さんに謝るといい
きっと許してくれる」

そう言って、私を強く抱きしめてくれました
祖父のあの日の温もりは忘れることができません
そして、お母さんには内緒だよ?と言って、私のいつも食べ慣れたチョコレートをくれました
普段食べる味なのに、あの時のチョコレートはとても美味しく感じたのを覚えています
そして、その時思いました
自分も、もし孫ができて、おじいちゃんになったら、祖父のような優しくて穏やかな、温かい心を持ったおじいちゃんになろうとね
しかし、いざその時が来ると、緊張してしまいますよ
私が緊張してどうするのか、という話ですがね
ええ、もうすぐ産まれるんです
この私がおじいちゃんになるんですよ?
信じられませんよね
本当に、時の流れは早い
もちろん、緊張以上に大いに楽しみですよ
私が祖父のようになれるかはわかりませんが、祖父を目指して、優しく孫を可愛がるつもりです

2/27/2025, 10:39:51 AM

ボクはこの家のアイドル!
ボクがいつ、何をしても、みんなが可愛い可愛いの大合唱!
ご飯を食べても、尻尾を追いかけ回しても、ボールを追っても、お腹を出して甘えても、散歩してても、疲れてへばってても、みんながボクの一挙手一投足に夢中なんだ!
たまに、そのへんの物を散らかして怒られることもあるけどね
この家ではボクが一番!
そして、ボクもみんなが大好きだ!

と、思っていたんだけど……
ある日、小さな子がボクの家にやって来た
それ以来、家族はボクとも遊んでくれるけど、別の部屋にいる新しい子のお世話もし始めて、かまってくれる時間が減っちゃった
あぁ、ちょっと寂しいな
しかも、ボクより小さくて、別の部屋でみんなの可愛い可愛いの大合唱が聞こえてくるし
これはボクの可愛いの危機なのでは!?

少し経って、同じ部屋で一緒に過ごす時間がちょっとずつ増えてきた
ボクの危機感なんか知らないその子は、ボクのところにやって来ると、尻尾を振りながらじゃれついてくる
あれ?
なんか、妙な気分
すごくいい気持ち
これがみんなが言ってる可愛いって感情なのかな?
みんなから言われてきたけど、ボクがそういうふうに思うのは初めてだ
それだけで危機感なんて忘れちゃった
これから、ボクもこの子と目一杯遊べたらいいな

2/26/2025, 11:33:28 AM

とある事件の記録

5/12
ジャックと呼ばれる何者かが、この町で連続殺人事件を起こしているという情報を聞きつけた私は、真相を探るべく、調査を開始した。
今日はもう遅いので、本格的な活動は明日からだ。
この町唯一の宿に泊まることになったが、宿屋の主人は終始、こちらを警戒していた。

5/13
住民は怯えきっている。
情報を集めようにも、人々の外出は最低限。
家々を訪ねても警戒され、まともにとりあってもらえない。
無理もないだろう。
連続殺人鬼がどこに潜んでいるかわからないのだから。
向こうからすれば、私がそうなのでは、と疑いたくもなるだろう。

5/14
住民のひとりに話を聞くことができた。
杖をついた老人で、私の調査に快く協力してくれた。
もしかしたら犯人かもしれない私を警戒しないのかと聞くと、自分はこれまでの人生に満足しており、生にあまり執着がないと言っていた。
そして、事件解決に役立つならと、招いてくれたのだ。
彼によると、事件の話が出たのは今月のはじめ頃だという。
それから五度ほど、事件が発生しているらしい。
合計六人が犠牲になっているということだ。
事件現場には、JACKという血文字が残されていたそうだ。
それでジャックと呼ばれているのだ。

5/15
今日は何人かの住人に話を聞くことができた。
住人たちの間で、私の話が広まっていたようだ。
私が事件の調査をしていると知り、藁にもすがる思いだろう、協力を申し出てくれた。
住人たちの話を聞く限り、被害者は鋭利な刃物で首を一撃。
昨日話しに出た血文字が必ず残されている。
被害者はいずれも、夜、襲われたと思われる。
この三点が共通しているようだ。
しかし、住人にさらに詳しく聞きたかったのだが、それ以上のことは知らないという。

5/16
おかしい。
被害者も事件現場も、誰に話を聞いてもわからないと言われた。
そんなことがあるのか?
私はさらに調査を進め、自分でもそれらしい場所を探したが、町の中で見つけることはできなかった。

5/17
私は事件を誰から聞いたのか、住人たちに聞いて回った。
多くの人ははっきり覚えておらず、はじめに聞いたのがいつなのか、わからなかった。
覚えている人もいたが、その人たちに事件の話をした住人は、いつ聞いたか覚えていないと言っていた人たちだった。
私の中で、ある仮説が立った。
信じがたいことだが。
明日、改めて調査しよう。

5/18
結局、事件の話は聞けたが事件そのものの痕跡はどこにもなかった。
おそらく、事件など起きていないのだろう。
噂だけが拡散されているのだ。
そして、噂に出どころなどない。
誰が言い出したのでもなく、噂そのものが突然発生したのち、生き物のように増殖していったものと思われる。
私がこのことを住人に話しても、おそらく彼らは信じない。
彼らはこの町にいる限り、存在しない殺人鬼に怯え続けるのかもしれない。
噂の根源を断つ方法がわからない以上、私ができることなどないだろう。
いつか、彼らの心に安寧が訪れることを願って、私はこの町をあとにした。

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