ストック1

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2/15/2025, 11:14:50 AM

昼寝から中途半端に目覚め、寝ぼけていると、なにやらありえない音が耳に入った
君の声がする
どうやら、まだ半分夢を見ているようだ
君はもうどこにもいないというのに
いや、君なんて存在は初めからいなかったのだが

よく覚えていないが、僕は昔、ある施設の非人道的な実験の被験者だったらしい
救い出されたはいいものの、実験のせいで存在しない子が見えるようになっていた
僕はその子がいると思っていたので、一緒に遊んでいたのだが、周りにはもちろん見えない
結局、僕を心配した人たちは、僕の幻覚を治してしまったのだ
最初のうちは泣いていた僕だったが、なんとか現実を受け入れ、前を向いて今に至る

だから君がいるはずがない
それとも、吹っ切れたはずだが、僕の懐かしく思う心が、再び幻を出現させたのだろうか?
頭がはっきりしてくる
それでも君の声はやまない
ゆっくりと目を開ける
あの頃より、少し成長した君がいた
やはり幻覚が復活してしまったようだ

「おはよう」

とりあえず、挨拶をしておこう
少し、会話を楽しむのも悪くない

「久しぶりだね」

正直、嬉しい気持ちが強い
また君に会えるとは思わなかったから
この幻覚がいつまで続くかわからないけど

「私は幻じゃないよ?
三年前までは、幻だったけど」

だったらいいんだけど、現実は非情なんだよね
君は僕の幻覚上の存在だよ

「なんで、また僕の前に現れてくれたのかな?
そのあたりを教えてほしいな」

これは自分で自分に聞くようなものなので、まともな答えが返ってくるとは思えない
とはいえ、一応気になったので聞いてみた

「私もよくわかってないんだ
私がわかっていることを話すと、実験であなたの幻覚症状が始まったけど、それが実験の目的じゃなくてね
その先があったみたい」

どんな効果を期待したのだろう?

「自分が見た幻覚に強い愛着を持った人が、その存在を現実のものにする能力の獲得、だよ」

聞いた瞬間、世界がひっくり返ったような、奇妙な感覚になった
その話が本当なら、まさか君は

「本当に、存在しているのか?」

「うん、そう言ってるでしょ?」

にこやかに、軽く、重大なことを言っている
だが、疑念は拭えていない
それも含めて、僕の願望が生み出した幻覚かもしれない
だが直後の出来事で、僕の疑念は確信によってとどめを刺される

「誰だ、君は?」

僕が現在、世話になっている施設の職員の人が、幻覚を視認した
僕以外に見えるということは……
自分の顔は見えないが、僕はたぶん今、目を見開いて笑っている

「君は、現実の存在になったのか」

「うん!」


施設の人たちは、僕の説明に納得してくれて、一緒に施設に住めることになった
それにしても、現実の存在としての君に会えるとは思っていなかった
でも、僕を使って実験した人たちは、何を目指していたのだろう?
少しだけ気にはなるけど、そんなことはどうでもいいか
僕にとって大事なのは、君という友達と再会できて、また一緒に話したり、遊べるという事実なのだから

2/14/2025, 11:26:25 AM

少年レイは、その時ほんの軽い気持ちだったのだ
友人と遊んでいて、テンションの上がった彼は、冗談で岩に刺さった聖剣を握った
勇者以外には抜けないので、ちょっとしたおふざけで勇者ごっこでもするつもりだったのだ
しかしレイに握られた聖剣は、あっけなく、岩に別れを告げることとなった
レイはヤバいと思い、すぐに聖剣を戻そうとしたが、友人たちが騒ぎ始める
あれよあれよと言う間に、話は広まり、王様の耳にも入った
レイは勇者として魔王と戦うことを運命づけられたのだった
期待の眼差しによりレイは断りきれず、好きでもない、むしろ邪魔とさえ思う、自分をやたらヨイショする仲間たちとの旅を強いられてしまう


魔族マリウスは日々の仕事に追われつつも、充実した毎日を送っていた
同僚や上司にも恵まれ、なんだかんだ仕事には楽しく従事できていた
ちょっとでも魔王様の役に立てれば満足だったのだ
ある日、現魔王の引退に際し、次期魔王を決める儀式が始まった
水晶が魔王としての才覚に溢れる魔族を選び、魔王に選出するのだ
マリウスはワクワクしながら儀式を見ていたのだが、水晶はなぜか実戦経験がないどころか、戦闘要員でないマリウスを選んだ
マリウスは我が目と水晶を疑った
しかし、同僚や上司はハイテンションで歓喜の雄叫びをあげ、お祭り騒ぎである
断る道などあるわけもなく、彼は新魔王となった


そして、勇者レイと魔王マリウスの決戦の時が来る
二人は緊張しまくっていた
逃げられるものなら逃げたかった
お互い相手が怖い
恐怖で震えそうだが、威厳を保たなければならないので、必死で抑える

「よくきたな、待っていたぞ勇者よ」

マリウスはとりあえず事前に考えたそれっぽい言葉を口にした

「魔王、今日こそお前を倒し、世界に平和を取り戻す!」

レイもとりあえず事前に考えたそれっぽい言葉を口にした
二人とも心にもないことを言っているが、相手にそれが伝わることはない
二人の心の声はこうだ

「誰か!僕(私)を止めてくれ!なんかいい感じに戦わなくていい方へ話を進めてくれ!」

敵対する二人の気持ちはひとつだった
だが、悲しいことにそんなことをしてくれる者はいない
そんなことは二人ともわかっている
だから二人は、自分でなんとかすることにした

「おりゃあー」
「てりゃあー」

レイとマリウスは、わざと隙をさらしつつ、すぐ防御できる安全な体勢を保って攻撃を繰り出した
お互いの攻撃は相手に当たるも、二人とも防御をしっかり決め、その上で「ぐあー!」と大げさに叫んで、ダメージを受けたように装った

「くっ、さすが魔王、なんて強さだ
ここは一度退いたほうがいいか……!」

「ぬうっ、なかなかやるではないか
その強さに免じて、ここまでにしておいてやろう」

わざとらしいことを言う二人
そして、二人は思う

「あれ、もしかして、奇跡的にダメージ受けてくれた?」


これなら相手が自分を追撃することもないだろう
そう安堵した二人は心の底から、ダメージを負ってくれた(実際は無傷だが)相手に対し、「ありがとう!」と、人生で一番の感謝の気持ちを送った
結局、お互いの本心に気づかぬまま、戦いはいったん幕を閉じる
だが、いずれまた戦わなければならない二人の心には、不安が残り続けるのだった
悲しき宿命を背負う彼らに、幸あれ

2/13/2025, 11:07:29 AM

実はあなたにそっと伝えたいことがあってね
あまり大きな声では言えないけど、我々の研究が実を結び、ついに夢が叶いそうなんだ
あなたには昔、話していたね
古生物を復元し、古生物の棲む大規模な公園を作ると!
そう、ついに復元及び生息できる環境を整えることに成功したんだよ!
「惑星αP116573ゴチカリス」をまるごと公園にできたんだ!
古典のジュラシックワールドどころじゃないよ
恐竜だけじゃない、カンブリア生物や、石炭紀の巨大虫、デボン紀の魚、古第三紀の哺乳類だっているんだ!
この惑星コジロウからはワープで1時間半程度かな
あなたの住む惑星地球からの便は今の所考えられてないから、経由するなら惑星コジロウか惑星アントワネットがいいと思うよ
まあ、それはともかく
v-3005年5m24dまでには完成、開業できるから、そんなには待たせないね
いやあ、楽しみだなあ
これだけ宇宙の星々を行き来したり、惑星の環境を整えたりできても、生物の復元は今まで非常に難しかったからね
確立できて嬉しいよ
おっと、このことはまだ正式発表前だから内密にね

2/12/2025, 10:54:25 AM

「やばい、オレ、未来の記憶がある」

予知能力でも身についたんですか?
私が抽選に参加したグッズの当落が明日わかるので、一足先に教えてくれません?

「違う違う、そんなのわからん」

では、未来の記憶とは?
この世界がループしていて、一巡前の世界の記憶が蘇ったとかでしょうか?

「ええと、誤解しているようですまんのだが、フューチャーの記憶じゃないんだ」

トゥモローの記憶ですか?

「明日も未来だけども、そうじゃなくて」

遠いフューチャーでもトゥモローでもないとなると
あっ、1時間後ぐらいですね!

「全然違うね
とりあえずオレの話を聞こうか」

はい、すいません
急に世迷い言をのたまうものだから、ついからかってしまいました

「そんなこと言ってられるのも今の内だ」

え?
急に怖いですね
未来の記憶とは結局どういう意味ですか?

「大変申し上げにくいんだが
檜山未来、お前の一週間の記憶がオレの頭にある」

え、キモ
じゃあ私が部屋に貼ったアニメキャラのポスターに毎晩おやすみなさいを言ってることとかバレてるんですか?

「まあ、マジかと思ったけど、誰にも迷惑かけてないし、そこは人それぞれだからオレは楽しんでいていいんじゃないかと思うけどね」

優しさが痛いのでやめてください
というか、記憶、どうしたら消せます?
正直、あなたが私の記憶を持っている事実がキモい、最高にキモい、ひたすらキモい

「なんかオレも盗撮してるみたいな気分で、罪悪感が激しいんだよね」

私の一週間の数々の秘密が知られたのは吐くほどの嫌悪感がありますが、でもまだあなたでよかったですよ

「そうなの?」

だってあなた、同性で親友ですから
相手が知り合いの男とかだったら絶叫しながら壁に頭をぶつけまくりますよ
同性でも他の女だったら絶叫しながら床を転げまわりますね

「気持ちはわかる」

まあ、知られたものはしょうがないんで、私の記憶は内密に
言ったらあなたの昔の恥ずかしエピソードを触れ回るので

「そこまでしなくても言わないよ
というか、言いたくないよ
言ったらオレがストーカーじゃん」

冗談です
信用してますよ、大切な親友ですからね

2/11/2025, 11:14:59 AM

ココロウェポンと呼ばれる、想像力から具現化した唯一無二の武器を使って試合を行うスポーツ、ココロシアム
その中で僕は、ある選手のファンだ
今では優勝候補とまで言われるほどの選手だが、僕がファンになった頃は、そんなに目立っていなかった
けど、彼女の使う武器と、その戦い方に魅せられ、すっかりファンになったのだ

彼女の武器はガードレール
ココロウェポンの中でも扱いづらい部類だ
普段は防戦気味で、相手の攻撃をガードレールでガードしたり、いなしたりしている
そして、相手が隙をさらしたときだけ攻撃をするのが基本なのだ
防御特化、なかなか攻撃に移れないのが特徴の武器で、実際、彼女は攻撃を決められず敗北することも多かった
けどだんだんと、彼女は慌てず堅実に防御を続け、相手の隙を見逃さず、ここぞという時に確実に大技を打ち込めるようになっていき、勝率が上がっていったのだ

今もひたすらに、集中して相手の攻撃を注意深く見て、素早く確実に防御している
防御がうまくいけばいくほど、相手は焦ったり苛ついてきてミスをしやすくなっていく
そうなれば彼女の独壇場だ
隙を見つけて確実に相手にダメージを与え、疲労を蓄積させる
さらに相手はミスを重ね、ついに大きな隙を見せた
それを見逃すことはない
ずっと放つ時を待っていた大技を叩き込む
その名も「袖ビーム」
ガードレールの端の丸まっている部分、袖ビームを思い切り相手に叩きつけるのだ
本来は衝撃を和らげるためのものだが、このガードレールは想像力でできたココロウェポン
現実とは違い、この部分こそが最大威力を発揮する部分なのである
その一撃が決定打となり、この試合は彼女が勝った
やっぱりかっこいいな
このまま勝ち進んで、がんばって優勝してほしい
さあ、僕も応援をし続けよう

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