ストック1

Open App
2/5/2025, 11:34:55 AM

heart to heartを忘れずにな
腹を割って話しをし、心を通わせる
そうすることで相手を知ることができ、また、自分を知ってもらえるんだ
相手に心を開いてほしければ、まず自分が心を開くこと
それが大事だ

昔、父はそう私に教えてくれた
私はこれまで他者と接するのに、その言葉を大切にしながら生きてきた
まあ、世の中にはどうしても合わない人間というのもいるが、そういう相手に対しても、できるだけ、どういう人なのか知る努力をしてきたつもりだ

だがまさか、その言葉を人間以外に適用する日が来ようとはな
目の前には、傷ついたゴブリン
正直、彼に我々人間の言葉が通じるのかわからないが、私は外国の別言語の人ともなんとかコミュニケーションをとった実績がある
ゴブリン相手でもなんとかなるだろう
大事なのは気持ちを隠さず、心を通わせることだ

私は回復薬を手にゴブリンに近づいた
当然、あちらは警戒している
ゴブリンは基本、こちらが何かしない限り、あちらから攻撃してくることはない
昔は誤解されていたこともあったが、今ではそういう生態であることがわかっている
そして傷を治すためには近づかなければならない
しかし近づけば、こちらが危険だ
ゴブリンは、こちらに攻撃の意思ありと判断すれば即座に身を守るため、襲い掛かってくるだろう
回復薬など知らないはずなので、まずはこれがどういうものなのか、知ってもらう
私はナイフで自分の腕を切った
ゴブリンは不審がっているが気にしない
続けて回復薬を自分の腕にふりかける
傷はみるみるふさがり、傷跡も残らない
さすがは高い値段で買っただけのことはある
効能が強い
その後私は、身振り手振りでゴブリンに、この回復薬で君の傷を治したい、と伝えた
ゴブリンは私の伝えたいことを理解してくれたようで、こちらに近づいてきて、胸をそらして傷を見せた
これは痛そうだな、すぐにでも治してやりたい
私は早速、回復薬をかけた
しみた痛みでゴブリンは少しうめいたが、傷は無事、すぐに塞がった
ゴブリンは何事かを言うと、去っていったが、きっと礼を言ってくれたのだろう

それから数年経っただろうか
私はガルーダという怪物と戦っていた
状況は危険
全身傷だらけだが、回復薬は品切れだ
相手はまだまだ余裕だろう
しくじったなと思った
簡単な採取の依頼だと油断したが、まさかガルーダの生息地だったとは
必殺の体勢に入るガルーダ
本気の一撃だ
これをまともに受けたら死ぬ
だが、もう体がうまく動かない
最悪の結末を覚悟した私だったが、その時、何者かが魔法でガルーダを叩き落とした
その魔法は強力で、ガルーダは一撃で息絶えたのだ
驚く私が魔法の発生場所を見ると、魔道士の装束を身に着けた大柄なゴブリンが立っていた
私は即座に気づく
彼は、あの時私が回復させたゴブリンか!
あの時のゴブリンが近づいてきて、大丈夫かと聞きながら、回復薬をかけてくれた
私は礼を言いながら、大丈夫だと答えた

聞けばゴブリン……グルススは、私が助けたあと、それがきっかけで冒険者を目指し、鍛錬を重ねたのだという
言葉も必死で勉強し、周りのバカにするような目にも負けず、実力で周りを黙らせてきて、今では彼をバカにする者はなく、むしろ頼りにされているのだそうだ
そうか、噂でそんなゴブリンがいると聞いていたが、君だったんだな
私がきっかけとは、嬉しい限りだ
グルススは、ガルーダの目撃報告のあるこの場所に私がいることを知り、急いで駆けつけてくれたそうだ

heart to heart、か
私のあの時の行動は間違いではなかった
グルスス、君のような立派な冒険者が誕生するきっかけになれた私は、誇らしい気分だよ
心の底から、そう思う
そして、助けてくれてありがとう

2/4/2025, 11:25:35 AM

この花畑にある花々は、なぜだか枯れることがないんだ
ここでは、同じ花がいつまでもずっと咲き誇る
だからこの場所は「永遠の花束」と言われているんだね
花畑ではなく花束なのは、昔、この花畑を所有していた人が、自分の大切な娘にプレゼントしたからだそうだ
花束を贈るように、花畑を贈ったんだよ
贈られた娘は、この花畑をすごく気に入ったようで、とても喜んだ
そして、付けた名前が「永遠の花束」ってわけだね
だけど月日が経って、この素晴らしい場所を自分だけのものにしていいのか、贈られた娘は悩んだ
結果、独り占めせずに、この場所を定期的に開放することにしたそうだよ
今ではこの地域の名物になっているのは、君も知っての通り
さてと、豆知識はこのへんにしておこう
でも、もう少し話をさせてほしい
ここに君を連れてきた目的があるんだ


……私は君を愛している
ここに咲く花々のように、永遠に枯れない愛を君に贈りたい
もし、君も私を愛してくれているのなら、どうか、私と結婚してください
……あぁよかった、ありがとう
ちょっと、言葉を気取りすぎたかな
でも、気持ちは本物だよ
ごめんごめん、君もプロポーズしたかったよね
けど、私からプロポーズっていうのも、ありだと思うんだ
後日、改めて君からプロポーズされるのもいいかもしれないな
返事は今日の君と同じだけどね
これからも二人、喜びの中も、苦しみの中も、ずっと一緒に歩んでいこう

2/3/2025, 10:23:13 AM

たしかにね、死にゲーでもないのに同じ敵に三十回以上負けてるよ?
でもこれ、ベリーハードだから
ベリーハードなんてほとんど死にゲーみたいなものだから
その難関を打ち破った先に、達成感という快楽があるんだよ
そして、苦しんだ分だけその快感は高まるわけだ
だから絶対に僕は難易度を下げないぞ
どんなに敗北しても、何度コントローラーをぶん投げたくなっても、このゲームの難易度はやさしくしないで制覇してみせる!
僕は今まで基本ノーマル、たまにクリア後ハードに挑戦してみるくらいの人生だったから、一度くらいはベリーハードとかの高難易度を初見で自力クリアしたいんだ
これを制覇したら次は最高難易度にも挑む所存だよ
だけど、今はベリーハードだ!
難易度は下げず、何度負けても諦めない!
さあ、またボスに挑戦だ、先はまだ長い!

2/2/2025, 11:00:34 AM

それは、小学校を卒業した直後のことだった
まだ赤ちゃんの頃に両親を亡くした私を引き取った、母方の伯母さん夫婦が、私への手紙を隠していた
その隠された手紙は魔法界の学校への招待状で、伯母さん夫婦は私が遠くに行ってしまうのが悲しかったから隠していたそうだ
けど、迎えが来た日、覚悟を決めて手紙のことを明かしたという
どうやらドッキリではないらしい
そんなこんなで、私は魔法界の学校へ通うことになった
学校の先生に連れられて、山手線の池袋駅から、人間界とは位相のずれた世界へと入る
漫画とかで位相のずれた空間とか聞いた気がするけど、よくはわからない
入ったそこは、人の少ないただの池袋駅だった

「私のお母さんやお父さん、闇の帝王に殺されたりしたんですか?」

歩きながら聞くと、先生は訝しげな顔をした

「いや、事故に巻き込まれてしまったって聞いたよ?」

あ、そうなんだ
まあ、たしかに私の額は傷ひとつないな

「先に言っておくけど、あまり魔法界や学校の授業に期待しすぎないようにね」

どういう意味だろう?

「たぶん、魔法の杖で炎出したり、グリフォンと触れ合ったりとか想像してると思うけど、そんなのないから」

ん?無いの?

「あの
城で勉強したり、箒に乗ってスポーツしたりとかはあるんですか?」

「あー、まあ、それ期待するよね
割と普通の建物で普通に勉強するよ
それと、現代ではあんまり箒には乗らないなあ
公道では違法だしね
あとは、見ればわかるよ」

公道って言った?この先生
すごく嫌な予感がした
池袋駅を出ると、ある意味驚きの光景が広がっていた
整備された道、ガードレール、ビル群
大通りを走る車、スマホをいじる人、自転車で走る人
超見慣れた光景
は?

「言いたいことはわかるよ
でも聞いて
人間界に、高度に発達した科学は魔法と変わらないって言葉、あるでしょ?
知ってる?」

「聞いたことはあります」

「高度に発達した魔法はね、科学と変わらないんだよ、ごめんね
あと、魔法の杖は杖ロッド法違反になるから、警察や猟師とか、許可された人しか持てない
アメリカは杖社会だから一般人も持ってるけど」

うわあ、現実味のある言葉の数々
今までとほぼ何も変わらない
私の来た意味は?

「魔法使いはね、人間界にずっといると、魔力が枯渇して体調不良や魔力障害が起きるから、君くらいの年齢までに魔法界に来ないと、下手すると命に関わるんだよ」

ああ、命に関わるようなちゃんとした理由で連れてきたのかあ

「がっかりするよね、でも世の中、そんなものだから」

まあ、全然違う環境に入れられるよりはいいのかもね
聞いたら、人間界の本やゲームとか、魔法界にしかない本やゲームとか、色々あるみたいだし
なんか、ネットも人間界のアプリやページが見られるってさ

「人間界に里帰りとかってできますか?」

「ああ、それは大丈夫
十年単位で長くいなければ、しばらく人間界でも生活できるよ
夏休みとか、人間界で育った子はたいてい里帰りしてるし」

よかった
じゃあ、いっか
正直、ボッチで友達はいなかったから、そのあたりの未練はないけど、伯母さんたちには会いたいから
それにしても、ちょっと残念ではあるなあ
ファンタジー感あふれる世界を想像してたからなあ
ちなみに、私が通う学校、市立第二中学校だってさ

2/1/2025, 10:42:35 AM

キミはたくさんの友達ができたね
一人で寂しがっていたキミが、心を許せる人たちと出会えたんだ
ボクは今、とても嬉しい
キミに本当の友達ができるまで、キミの寂しさを和らげて、友達を作る手伝いをする
それがボクの役目
キミの努力をずっと見ていた
挫けそうになっても、勇気を出して何度も頑張っていたね
その努力が実を結んだんだ
キミがボクにくれた、たくさんの優しさ
それを、これからは人間の友達に与えてあげてほしい
キミとの日々は楽しかったよ
ありがとう
でも、もうボクがいなくても大丈夫
はじめは寂しいかもしれないけれど、キミなら前を向けるはず
だってキミの周りには、キミのことを思ってくれる友達がたくさんいるんだから
もし、キミがボクのことを大切な友達だと思い続けてくれるなら、いつかまた、きっと会えるよ
だから、その時まで
バイバイ

Next