【青い、青い】
青くて酸っぱい 果実みたい
大人になった自分は
小さな頃に思い描いた
大人ほど
大人ではなかった
今も 怒ったり
泣いたりもする
時には傷付けたり
傷付けられたり
まだまだ青い、青い
だがそれは
時に 尊くもある
発展途上の僕らだから
見える景色もある
完璧にならなくとも
青いからこそ美しくもあり
他にはない価値がある
どうか信じてみて
青い僕らは
学舎という
この世界を漂い続ける
『青い、青い』
いいじゃないか
とことん
この世界を味わい尽くそう
【sweet memories】
僕らは ただ
ずっと
眠りについていたかった
布団の擦れる音
窓から覗く
夕暮れに浮かんだ飛行機
二つの揺れる呼吸
学校のチャイム
保健室のカーテンは
この世界から隔離するようだ
何もないことが
素晴らしかった
君は僕のようで
僕は君のようだった
ただ、隣にいるだけで
それでいい
足早と下校する
同級生の声は
僕らを急かす
真っさらに
包まれていたい
どんな色にも
染まりたくない
僕らが抱く小さな反発は
二人の秘密のようだ
真っ白に
溶けていたい
ただ、なにも
変わりたくなかった
隣同士
手を握っているだけで
それでいいというのに
カーテンの外側は
目まぐるしい
いつか忘れてしまっても
今日という
無垢で静寂なときは
僕らの胸に
咲き続けるのだろうか
染まってしまう前に
僕らだけの鮮やかな花を
探しに行こう
不確かな世界を
ぼくら二人で
そっと抜け出そう
夕暮れは
歩く僕らを
包み込んでいた
【巡り逢い】
眠らない夜に
思い耽っていた
あのことも
あの日のことも
全部全部
争って傷つけあった
罪悪感や悲しみにも
ゴールが必要
忘れてしまうのもいい
その時の精一杯を
褒め称えてもいい
どうか
君は君のまま
今を悔やまないで
今を過去に生きないで
今の新たな君に
きっと
巡り逢うだろう
今日に『おやすみ』を
カーテンを開けて
明日を待つ 君へ
【星明かり】
空に浮かぶ宝石が
弾けとぶ
ぴかぴかと
きらきらと
音を奏でているようだった
この星々が
わたしの心を震わせた
この星空を
あなたと見たかった
叶わない望みだと
夜の静けさが
わたしに事実を告げる
涙で滲んで
揺らめいている
星明かりは
冷たいのに温かい
この愛しさや苦しみは
いつか意味をなすだろうか
星明かりに照られながら
そっと夜風に吹かれていた
【静かな情熱】
忘れてしまいたかった
胸の中にある真っ赤な感情
もう 大人だから
もう この年齢だから
そんな言い訳をして
忘れたふりをした
花屋で咲いている
赤いアネモネが僕を見つめる
それは 僕の心に
小さな炎を灯す
見て見ぬ振りを続けていた
夢を また始めたい
小さなことでいい
ほんの些細なことでいい
手を伸ばしていたい
馬鹿にされても
自分が納得さえすれば
素晴らしい未来だろう
望まなければ開かない扉を
開けるか開けないかは
僕の自由だ