少し、話に付き合ってもらうよ。
…ありがとう。ボク、一時期荒れててさ、跡残るまで腕切って、なんでもないことで泣いて…まぁめんどくさかっただろうね。(笑)バレなかったけど。
そんなときさ、ある子が言った言葉で助かった、訳では無いんだけど、あんまり自分を追い詰めなくなったんだよね。その子とはもう6年目かな?嫌な所が見えてきちゃって…全部がそうじゃなくて、好きだとか、おもしろく感じるところもいっぱい増えたんだよ?嫌なところが好きになったりもした。いやー、助けてくれた子に対して性格悪いなー、ボク。あの子が居たから今生きてる、なんて過言じゃないくらいなのに。
あーあ、あの子のお陰で、あの子のせいなんだな。
朝の雨で湿った傘を閉じたまま、雨の中屋根のあるここから出る。
濡れたい訳でもなければ、濡れるのを気にもしないほどの何かがあった訳でも無い。目的はあの子の傘の下。
いーれて。そう言って笑うと、傘持ってるじゃん。と言いながらなんやかんや入れてくれる。同性間での恋愛的な意味を持たない相合傘。だが、理由ならある。雨の日は寒かったり、ジメジメしていたり、多様ではあるが私にとっていつも気分が上がるものではないのは確かだ。そんな中で傘をさすと、距離も空いて話も聞こえ難い。それなら一緒に入ればいいと思ったのが最初だった。いいじゃん、減るもんじゃないんだし。なんて言って、人肌恋しい気持ちを言い訳でコーティングして渡すのが雨の日の日課みたいなものになった。
落ちていく感覚はあった。
落ちるというより、堕ちる。
もうすぐテストがあるらしい。受験も…半年もすれば目前だ。部活は遊んでばかりでまともに活動なんてしていない。運動音痴で、夏休み明けすぐの体育祭が、そしてその練習が酷く辛い。極め付けには性格も悪いのだろう。同じ高校を目指して居た子は全くと言っていいほど違う方を目指し始めた。
その子は頭も良くて、運動部の部長だ。それはそうだろう、ここまで差があるのにわざわざ私なんかと同じところに行く必要はないだろう。
そんな言い訳ばかりして、また匿名で小説や絵を下手で拙いながら書いて、描いて。自己満足ですなんて顔して投稿して評価を求める。そんな毎日に逃げる私は、きっと今も落ち続けているのだろう。
私に未来なんてあるのだろうか。進路希望と書かれた紙を見て、私は率直にそう思いました。
それは遠く先のことに見えて居たのです。
気づいたら2年経っていました。
2年先のこれも未来、なのでしょうか?2年、辛いこともありました。消えてしまえたら、そう思ったことだって、数えられないほどあります。ですが、今、何も変わらぬ中で生きて、時には友達と、担任と、楽しい時間を過ごしたことだってありました。
楽しい、小学生の夢のようなきらきらした未来でなくていい。ただ、たまにすごく楽しくて、あとは必死に足掻いて、生きる。確かに私はあの子の引き立て役かもしれないです。ですが、思ったような道でなくとも、2年前の初めて消えたいと思い、未来について考えたあの日よりは確実に思い描いて居た未来に近づいているんだ、と痛感しました。