この物語は誇張と構造でできています

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朝の雨で湿った傘を閉じたまま、雨の中屋根のあるここから出る。
濡れたい訳でもなければ、濡れるのを気にもしないほどの何かがあった訳でも無い。目的はあの子の傘の下。
いーれて。そう言って笑うと、傘持ってるじゃん。と言いながらなんやかんや入れてくれる。同性間での恋愛的な意味を持たない相合傘。だが、理由ならある。雨の日は寒かったり、ジメジメしていたり、多様ではあるが私にとっていつも気分が上がるものではないのは確かだ。そんな中で傘をさすと、距離も空いて話も聞こえ難い。それなら一緒に入ればいいと思ったのが最初だった。いいじゃん、減るもんじゃないんだし。なんて言って、人肌恋しい気持ちを言い訳でコーティングして渡すのが雨の日の日課みたいなものになった。

6/19/2023, 1:42:13 PM