乱正堂

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5/31/2025, 12:08:15 PM

あの人を笑顔にする結果が出せればそれでいいのだよ

松平は私が気負いすぎないように背をさする

私は君が笑顔になってくれると嬉しいのだけど
君は、私があの団子屋の小娘を愛していると?
そう考えているのだろうな

さぞ、わかりやすい、単純な男だ

キセルに口を当て、その息を吹きかけても
この鈍感男はなーんにも理解ならんのだ

ただただ、けむいけむいとむせて手で仰ぐだけだろう

この本は、君に宛てたラブレターのようなものなのに

5/25/2025, 1:13:40 PM

小雨のことを考えると
行ったこともない景色が思い浮かぶ

そこは、博物館や、美術館、葬式場のような
白くて、清潔感があって
静かで
全てを受け入れられるような所で

透き通った窓の外には
言葉で表しがたい

植物がたくさん生えている
森の入り口か、最中か

自然と、その中に入りたいと思ったことは無い

この、白色の壁とガラス越しに見透かすのが
丁度いい美しさで
それ以上近づいたら、戻ってこられなくなりそうで

そんな事を今思うとぼんやり感じ取っている

ただ、その景色のみを感受している
一度、現実でも出会えないだろうか

5/24/2025, 10:08:54 AM

薄暗くて、しかし温かい
そんな中に二人で沈む

ピアノを持ち出して
踊ってよ、と軽く鍵盤を洒落たように引くと

彼女は嬉しそうに
椅子を立って、彼女持ち前の眼鏡を外した
そして私に眼鏡をかける

視力に差異はないので支障はない
普段から見たくない現実を見ないように
フィルターをかけているだけ

眼鏡をかけて曲を弾いて
彼女が楽しそうに歌って踊る今
この瞬間はフィルターをかける必要もなく
ただゆっくりとこのぬるま湯に浸かりたい

ああ、彼女はいつぞやのパリジェンヌのよう
ヒールを履きながらも華麗に踊る
桜が散るようだ そして川に落ちて流れてゆく
ずうっと眺めていたい

5/23/2025, 10:06:45 AM

俺はあの男が憎いのだ!
さぞ寒かろうと
私にマフラーを渡す男が

要らないと申してもいやいや、寒かろやと
首元に巻かれる
ましてや、腹にカイロも突っ込まれる

明日こそあいつを押しのけてやろうか
同じ年のクセして
大人ぶって、俺を可愛がろうとしやがって
その学生帽そいでやろうか
タッパも俺に近づくだろう

そのいたいけな顔やまつ毛や眉の形も愛しや
と、触るその手を剥いてやろう

ああ、無性に腹が立つ!構わないでくれ!

5/22/2025, 10:51:08 AM

眠る
覚める

身体は寸分たがわぬ筈だが
どこだか変わってるように感じる自分がいる

窓を開けて朝の冷たい風を顔に浴びる
醒める

何処やらで読んだ本によると
私の体の細胞は一日ごとにまるっきり変わる
つまり別人なのだが、
脳の中での記憶が受け継がれている
故、意識は繋がったように見えるとのこと。

なんだか私が私ではないようだが
受け入れる他あるまい。

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