彼岸花

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10/30/2024, 11:40:46 AM

喉の奥で遠慮して、出てこなかった言葉たち。
“プライド”という汚れた壁が邪魔をして、
馬鹿みたいな嘘を作った。

体の片隅にあった重いもの
いつのまにか、はっきり見えるようになってさ。
どれだけ布を貼ったって、いくつの針で縫ったって
ボロが出る。

本当の自分はどこにいるのだろう?

その答えを見つけ出すのは、骨が折れて
『解なし』と書きたくなるくらいだった。

あの日の幸せも、この夜の涙も、
全部まとめて、笑って、話せる未来。
人々が渇望してやまない世界。
私の理想郷。

#懐かしく思うこと

10/7/2024, 11:54:18 AM

#力を込めて

吹ける夜風が、レースカーテンを揺らして
月の光が、そっと二人の影を重ねた

嗚呼、あなたが喘ぐ
私は、無言で力を強める
ただ、あなたへの愛の大きさを、知ってほしかった

嗚呼…嗚呼、あなたは強く悶えた
あなたの主張が、嘆きが、後悔が、
私の脳裏に入り込んでくる
私は、さらに力を強めた

…あ、あああ__
もう、あなたは何も言わなくなった
何もかも受け入れたように、心を失ったように
あなたは絶句した
私は力を込めるのをやめた

空虚を眺めて
「これでよかった」と言い聞かせる

あなただったモノを見た
首元に残る、生々しい手の跡、爪の跡
その全てが“私”を象徴していた

冷たくなったそれを撫でながら
そっと、キスをした。

10/5/2024, 11:30:08 AM

#星座

夜空に輝く君は一等星

距離も、大きさも、明るさも、温もりも、

なにもかも敵わないけれど

たとえ何千光年離れてたって

僕は君を見つけるよ

この夜が明けても

君だけは消えないで

10/4/2024, 12:46:28 PM

#踊りませんか?

ネットとは、姿の見えない仮面舞踏会

嘘のレッテルを貼り
嘘の関係が生まれる

「本当」は部屋の隅にでも隠して

私はこれが好きなんです。
私はこれが趣味なんです。
私はこれが得意なんです。

そういうことを綴るだけで、
自分のことを理解してもらえたって思ってしまうような

その「本当」でさえも創った『嘘』かもしれないのに

なぜか異常な依存性
なぜか絶えない承認欲求

顔を見て言えないようなことでも、
言いやすくなってしまうから
それはきっと、殺人罪

魅惑の煙に包まれて、人々はみな辿り着く
ここは危険な仮面舞踏会
そろそろ一曲、どうですか?

9/29/2024, 11:30:04 AM

#静寂に包まれた部屋

僕は部屋

少し前に建てられたばかりのアパート
まだ人はいないけど

それでも僕は部屋

ガチャリ

最初に越して来たのは四人家族
小さい女の子と中くらいのお兄ちゃんが一人

学校から帰って、疲れたようすのお兄ちゃん
「頑張ったねぇ」とナデナデする女の子
それを見て微笑む両親

数十年後、すっかり大きくなった子供達は
あまりここに来なくなった
それでも、訪れるたびに笑顔で話していた

次に越して来たのは金髪のあんちゃん

毎日毎日、そりゃあもう酒臭くて、タバコ臭くて…
何度か綺麗な女性も連れて来てたっけ

意外と女性と付き合うのは苦手らしくて
フラれた時にはクッションに顔を埋めて泣いていた
大丈夫だよって言ったんだけど、
ちゃんと伝わってたのかな?

ある日は、眼鏡をかけた男性が来て
カメラを構えながら、「新たな心霊アパートだ…!」
と叫んでた
ちょっとちょっと、人が来なくなっちゃうから
やめてくださいな

__

まぁこれも全部数百年前のことであって
今は誰もこのアパートに住んでいない

僕に残ったのは、静寂の空間だけ

維持費とかもかかるんでしょう?
どうせなら壊しちゃおうよ

だけど家主のおじいさんは、このアパートを見上げては
にっこりと笑うだけ
その微笑みは「温もりはずっと残しておくべき」と
言わんばかりだった

もう何度目の秋晴れが
僕のそばを通り抜けていった

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