#別れ際に
別れ際に、いつも君は笑う。
どんなに辛い別れだとしても、
それは「さよなら」じゃない
またいつか、この空の下で会えるから
…だってさ。
そんな映画みたいなことを言ってた。
君と離れて一年。
私は空を見た。
もしも、
私が一つ 歳をとるか
君が一つ 若返ったなら
同い年として、ずっと一緒にいられたのに。
淡い妄想、儚い願い
数多の感情を風に乗せて
君のいる空に届けと願った。
#空が泣く
雨が本格的に降り始めた
家から適当に持ってきた折りたたみ傘が役に立った
「くらい」
小学生ぐらいの女の子が
母親の手を握って言った
「くらい、くらい」
2人は歩きながらそう言っていた
確かに周りは暗かった
なんだかこっちまで気分が重だるくなってくる
「はぁ…」
思わずため息を吐いた
すると先頭を歩いていた女の子が駆け寄ってきて言った
「くらい、だめ」
すかさず母親がやってきた
「ごめんなさい」
どうやら外国人の方のようだ
一生懸命、日本語を話そうとしていた
「Ok!Thank you.」
あまり英語が得意でなかった私は
精一杯の言葉で取り繕った
すると彼女は安堵の表情で頭を下げて去っていった
女の子はちらりと振り返り笑った
2人が去った後、私は思った
もしかして、あの子が言っていたのは
『暗い』じゃなくて『Cry』だったのではないかと
ふと空を見上げる
暗い空は少しだけ、笑っているような気がした
#胸の鼓動
ドキドキドキ
あなたに恋をした
トクトクトク
幸せを掴んだ
ズキズキズキ
あなたが浮気をした
ドクドクドク
毒牙はどこだ?
ドク…
奴を見つけた
グサグサグサ
赤く染まった
バタバタバタ
あなたはどうして
バカバカバカ
こんな奴を庇うの?
ドクン…ドクン…
周期が乱れた
いらない
グサッ
#踊るように
僕はずっと、お芝居のわけ役だと思ってた。
シンデレラの役が、クラスの可愛い女の子だとするなら
僕はただの、そこらへんに生えてる木だ。
魔法使いや王子様、馬だって凄い。
みんなみんな主役だ。
そして僕は、それらを端で眺める愚か者だ。
自分が情けなくなる。
なんでみんなみたいに明るくなれないのだろう。
輝かしい才能もないのだろう。
そう思っても、足が一歩も動かない。
むしろ、人前に出るのを恐れている。
それなのに僕は、こんなことを嘆いてばかり。
ほんと、馬鹿だ。
こんな劇の幕なんか、さっさと閉めてしまおう。
そう思った。
そんな時、一人の踊り子が目に入った。
誰にも見られない場所で一生懸命踊ってる。
「ねぇ、一緒に踊らない?」
その子はそう言って僕の手を引いた。
「誰かから評価されなくてもいいの。」
「ただ、せっかくのお芝居だから…楽しもうよ。」
閉じかけた幕を再び開けて、
止まりかけた時間を元に戻して、
また劇が始まった。
#開けないLINE
君からの返信
既読をつけるには早すぎる
なんだか待ってたみたいじゃん
だから何分か我慢して
別に興味ないから感を出す
本当は、すぐにでも見たい
君がどんな言葉を織りなすのか
どんなふうに思ってるのか
待ってる時間は
すごくワクワクして、
すごく辛くて、
すごくドキドキする
わざとあけない、君からのLINE
今はまだ、ひらけないLINE
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このお題ということは、始めてから一年経ったんか…
時の流れは早いなぁ…!