#好きな本
今日もまた、辛い1日が始まった。
道を眺めながら重い足で歩く
いつもと変わらない、つまらない通学路
前方にクラスメイトが群れて歩いていたため、
反射的に道を変えてしまった
これも一種の拒絶反応だろうか
そんなことも考えた
何人かが一緒に行動しているのを見かけるたびに
自分がとても惨めに見えてくる
なんで私はいつも1人なんだろうと
本当は寂しい。
誰かと話したい
でも、こうやって自分から道を断ってしまう
学校に着いた
もちろん誰もおはようとは言ってくれなかった
自分から言う勇気もないのだから当然か
木製の椅子に座って小説を読むのが日課だった
もともと、読書はしなかったのだが、こうやって
暇を潰しているうちに好きになった
本は現実とは全く違った世界に連れ込んでくれる。
ミステリーの世界
恋愛の世界
娯楽の世界……
何がいいって、それを第三者目線で見られることだ
面倒ごとにも巻き込まれなくていい
だから私は今日も本を読む。
こんな現実から離れるため
自分だけの世界に入るため
寂しさを忘れるために
#あいまいな空
夏の風は暑かった
飲みかけのラムネ瓶の底が濡れていた
シャワシャワとセミが鳴く
屋根くらいつけてくれてもいいじゃないかと
目を細めながら空を見上げた
積乱雲とも、入道雲とも言えない雲が流れていた
錆だらけの電車は音を立てて去っていった
それはたった何分前の出来事なのに
ひどく遠く感じてしまう
熱の残るベンチに座って残りのラムネを飲み干した
少しぬるくなった液体が喉を通り抜けるのを感じた
ふとあの電車が走っていった方向に目を向ける
先には林が広がっており、小さなトンネルがあった
今頃、どこに着いてるんだろうな
暑さのせいか、そんなことを考えてしまった
あの時ちゃんと言えていたのなら
そばにいたいって伝えられたのなら
未来は変わっていたのだろうか
また空を見た
気づけばさっきの雲が消えていた
あいつも結局、どっちにもなれなかったのかな
そんなことを思いながら、
電車とは反対の方向に足を踏み出した。
#あじさい
木々の間を、六月の雨が通り抜けた
のちに静かに落ちていき、大地の一部となる
人間たちはその地を踏み締めて歩んでいく
一つの傘に、二つの足跡
少し嬉しそうなアマガエルの鳴き声
ゆっくりと進むカタツムリたち
時折、足を止めて私に目を向けてくれる人もいた
普段よりも少し暗い
じめじめした空間
どれもこれも、何度も見てきた景色
桜の咲く暖かい季節
彼岸花の咲く涼しい季節
そういう景色も、本当は見てみたいと思ってる
でも、やっぱり私にはこの時期が合っているのかも
雨に打たれながら、こうやって笑ってることが
一番の幸せだから
#朝日の温もり
「朝だよ?起きて」
彼の優しい声が聞こえた
カーテンの隙間から注ぐ光に目を細める
「…まだ寝る」
そう言って布団に潜った
布団越しに頭が撫でられた感触があった
彼は今、どんな表情をしているのだろう?
しょうがないなぁと微笑んでいるかもしれないし、
ため息をついて呆れたような顔をしているかもしれない
『もう少しだけそばにいたい』
彼の顔をみると、その一言が言えなくなるから
だから私は布団に潜った
次の彼の言葉を伺った
だが、相変わらず彼は何も言わない
布団から顔を覗かせると
そこに彼はいなかった
周りを見回そうとした瞬間
背中に何か覆いかぶさった
「…じゃあ、二度寝しよっか」
耳元で甘い悪魔が囁いた
もしかしたら、私が一番言って欲しかった言葉なのかもしれない
目を閉じていてもわかる温かさがあった
でも、きっと朝日のせいだけじゃない
#正直
正直言って、喉が痛い。
砂漠みたいにカラカラ
雨が降っても一瞬でなくなる
咳をするだけで
頭がズキンズキンと痛む
頭に心臓があるみたいに
明日学校休みたい
だけど休んだら授業に遅れる
自分が苦労するだけ
私はどうすればいいんだろう
誰か決めてくれないかな
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#正直ということで、
風邪気味の今の気持ちを正直に書いてみました。
あなわびし。
気温差で体調を崩しやすいので、
皆様もお気をつけてください…