#あいまいな空
夏の風は暑かった
飲みかけのラムネ瓶の底が濡れていた
シャワシャワとセミが鳴く
屋根くらいつけてくれてもいいじゃないかと
目を細めながら空を見上げた
積乱雲とも、入道雲とも言えない雲が流れていた
錆だらけの電車は音を立てて去っていった
それはたった何分前の出来事なのに
ひどく遠く感じてしまう
熱の残るベンチに座って残りのラムネを飲み干した
少しぬるくなった液体が喉を通り抜けるのを感じた
ふとあの電車が走っていった方向に目を向ける
先には林が広がっており、小さなトンネルがあった
今頃、どこに着いてるんだろうな
暑さのせいか、そんなことを考えてしまった
あの時ちゃんと言えていたのなら
そばにいたいって伝えられたのなら
未来は変わっていたのだろうか
また空を見た
気づけばさっきの雲が消えていた
あいつも結局、どっちにもなれなかったのかな
そんなことを思いながら、
電車とは反対の方向に足を踏み出した。
6/14/2024, 10:41:12 AM