彼岸花

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#朝日の温もり

「朝だよ?起きて」 

彼の優しい声が聞こえた
カーテンの隙間から注ぐ光に目を細める

「…まだ寝る」

そう言って布団に潜った
布団越しに頭が撫でられた感触があった
彼は今、どんな表情をしているのだろう?

しょうがないなぁと微笑んでいるかもしれないし、
ため息をついて呆れたような顔をしているかもしれない

『もう少しだけそばにいたい』

彼の顔をみると、その一言が言えなくなるから
だから私は布団に潜った

次の彼の言葉を伺った

だが、相変わらず彼は何も言わない
布団から顔を覗かせると
そこに彼はいなかった

周りを見回そうとした瞬間
背中に何か覆いかぶさった

「…じゃあ、二度寝しよっか」

耳元で甘い悪魔が囁いた
もしかしたら、私が一番言って欲しかった言葉なのかもしれない

目を閉じていてもわかる温かさがあった
でも、きっと朝日のせいだけじゃない

6/9/2024, 10:26:47 AM