#終わりなき旅
人生は旅だ
スタート地点に立った瞬間は
行き着く場所はわからない
一人一人、歩くペースは違うけれど
一歩一歩、確実に歩んでいくことで
素晴らしい未来が視えてくるはずだ
ただ、ゴールに着くまでには
絶対に何かしらの障壁にぶつかる
大きなものかもしれない
小さなものかもしれない
しかし無理に乗り越えようとしなくても大丈夫だ
車で遠出する際にサービスエリアに寄るように
旅の途中に、いくら休息を取ったって問題ないのだ
一度止まって辺りを見回してみる
それだけでも少し違った景色になる
障壁を破壊する方法だって見つかるかもしれない
旅をしていると様々な仲間に会うこともあるだろう
一緒に旅をしてくれる人
行く先を先導してくれる人
遠くで見守ってくれる人
だからそれらの出会いを決して無駄にはしないでほしい
私は時々、旅の終着点につくのが怖いと思う
すなわち旅の終わりだ
人生を旅とするならば、やはり終着点は“死”だろうか
歩いて歩いて、やっと着いたと
達成感を感じる人もいれば
あぁ、終わってしまったと
悲しむ人もいるだろう
終着点に着いて「あの時こうしておけば…」
と後悔をしたくないのなら
今の旅の道中を思い切り楽しむのだ
そうすればきっと、現在のことで精一杯で
その先のことなど忘れてしまうだろう
ただこれだけは忘れないでほしい
この『旅』は二度とできないのだ
途中で自ら道を断つことは楽になる近道かもしれない
しかし、旅に寄り添ってくれた仲間,
旅の刺激となってくれた障壁,そして
その先で待っている終着点
みんな大切なもの
取り戻せないもの
旅は孤独なものじゃない
“Life is travel”
#「ごめんね」
料理が下手で、よくお弁当のおかずを焦がしちゃって
ごめんね
裁縫か苦手で、取れたシャツのボタンも縫い直せないで
ごめんね
不器用な性格で、励ましの言葉が見つからなくて
ごめんね
最後まで、大好きなあなたを守れなくて
ごめんね
明日の準備をしている娘がそこにいた
ガサゴソと時折バックを整理する音が聞こえた
本当に、この子はしっかりしている
私とは大違いだ
遺影の中の自分は、精一杯の笑顔で映っていた
私は、自然に笑うこともできていなかったのか
私は娘の頭を撫でた
この感触があなたに伝わることはないけれど
「…ごめんね」
すると娘はゆっくりとこちらに振り向いた
私の姿はもう見えないはずなのに
確かに目が合った気がした
『もう謝らないで』
いつもの優しい声が聞こえた
そしてその顔には笑みが浮かんでいた
驚いて娘の顔を見返したが、
彼女は何事もなかったかのように準備に戻ってしまった
私は今まで、死んでしまったら謝ることしかできないと
思っていた
生きていない以上、何も償えないからだ
でも、それ以外にも言えることはたくさんある
今まで笑わせてくれて
失敗しても大丈夫だよと言ってくれて
ずっと隣にいてくれて
そしてなにより、
私を“母親”にしてくれて
「ありがとう」
“月が綺麗ですね”
英文『I love you. 』を夏目漱石はこう訳したらしい
“好き” とストレートに伝えるのも素敵だけど
たまにはこうやって遠回しに伝えるのも悪くないかもね
鈍感なあなたは、なかなか気づいてくれないけれど
それでもいい
いつ気づいてくれるんだろうと待ってる時間も
とても幸せだから
だからせめて、この言葉が忘れられてしまわぬように
今日も私は月に願う
#月に願いを
#降り止まない雨
Rain Rain
地面に打ちつける雨
勢いは収まることを知らず
Pain Pain
壊れた傘は
もう直らない
Vain Vain
行き場を失った雨たちは
いずれ私の体をすり抜けて
Stain Stain
私の心もを汚してく
Where shouldIgo?
どうすれば楽になれるだろう
吐いた言葉の数々は
雨にかき消され、地に落ちていった。
#逃れられない
マンションの隣室に若い男性が引っ越してきたようだ
時折荷物を運ぶ音がする
「手伝いましょうか?」
暇だった私は声をかけてみた
「あ、助かります!」
相手は“爽やか青年”という感じだった
おそらく女性ウケも悪くないだろう
荷物を運びながら様々なことを話すうちに
だんだんと打ち解けていった
仕事に対する愚痴も、嫌な顔一つせずに聞いてくれた
「ありがとうございました!よければどうぞ。」
差し出してきた紙袋には
お茶菓子と小さなひまわりが入っていた
なぜひまわりなのか?と疑問に思ったが
断るのも悪いのでありがたく頂いた
「ひまわりはリビングに置くといいですよ!
金運アップだそうです。」
と言われたので、リビングの目につくところに
置くことにした
実際、綺麗なひまわりだった
数日後、回覧板を届けるため隣の部屋を訪れた
いつも通り爽やかな笑顔で彼はいった
「おはようございます。ところで、今の時期はまだ
Tシャツ一枚で寝ないほうがいいですよ。」
え…?
なぜ彼は知っているのだろうか
私がリビングでTシャツ一枚で寝ていることを
「えっと…なんで知ってるんですか?」
おそるおそる聞いてみた
悪寒がしたと思った瞬間
彼は耳元でこう囁いた
「僕、あなたのことが好きになっちゃって。
だから、ずっと見てるんです。」
一気に鳥肌がたった
刹那、自室へ駆け出していた
見られていた…?
私が…?
どこから…
ふとひまわりが目に入った
ひまわりの中心部、すなわち種の部分を観察していると
『やっほー。大正解』
彼の声が聞こえた
それはひまわりから聞こえてきた
咄嗟に投げ出した
思い切り床に叩きつける
さっきまでひまわりだと思っていたそれは
スピーカー搭載のカメラだったのだ
なぜ今まで気づけなかったのだろうか
その後、私は家を出た
もうあのマンションにはいられない
今思い出しただけでも吐き気がする
もしやと思い、電車の中を見回したが
幸い、彼はいなかった
ふと気になったことがあった
スマホの画面をつつく
少し手が震えた
“ひまわりの花言葉…”
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「あーあ。また駄目だった」
俺は先日まで隣に住んでいた女の顔を思い返していた
綺麗な人だったのに
まぁいいか
どうせまた会える
だってひまわりの花言葉は…
【あなただけを見つめる】