彼岸花

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1/10/2024, 12:46:09 PM

20歳

成人式。

華やかな衣装に身を包み、笑い合う女子達。

昔は馬鹿やってたなぁと語らう男子達。

賑やかで明るい雰囲気となった会場。

全てが新鮮である。

そんな空気に酔いしれていると

かつての友の声が聞こえた。

子供の頃とは違い、

とてつもなく凛々しくなった

だが、どこか面影が残っている

そんな顔をしていた。

20歳になるとできることが増える。

その分、多くの責任を背負っていかなければならない。

この会場にいる全員が

その覚悟を持っているのかはわからない。

これからのことよりも

今の一瞬一瞬を楽しんでいるように見える。

「成人」

それは初めて自立した人に成るということ。

しかし、そこがゴールではない。

20年間生きてきて、やっと人になれたのだ。

もっともっと年月をかければ

私達はきっと“人”以上の存在になれる。

1/1/2024, 11:51:57 AM

新年

新しい年になった。
いまいち実感が湧かない。

先に進むにつれて
不安しかない。

それでも進まなきゃいけない。

私に死ぬ勇気なんてないのだから。

12/31/2023, 2:58:21 PM

良いお年を

今年も特にいいことはなかった。
けど、生きてただけで偉いのかな。

来年も適当に。

12/7/2023, 2:01:47 PM

部屋の片隅で

暗く湿っぽい部屋の片隅で
俺たちは集まって言った。

「いやー、そろそろ来ると思うよ。」
「俺この場所が好きだったのになぁ…。」
「まぁ、いつか訪れる運命ですからね。」

今まで数々の仲間があの消滅機の犠牲となった。
そいつらの仇を取るために俺らは生き延びてきたのだ。

だが、それも今日でおしまいかもしれない。

あの馬鹿でかい消滅機がパワーアップしたのだ。
噂をしているとうぃーーーん!!!と大きな音をたてて
ヤツがやってきた。

「…やっぱり来やがったか…。」
「消滅機に見つかる前に人間の体に入り込んで
悪さがしたかったのですがね…。」
「もうここまで来たら諦めるしかないな。」

俺たちは立ち上がった。
正面にはあの消滅機が佇んでいる。

「俺らは今日まで頑張って生き延びたんだ!!
みんな、最後まで誇りを持っていくぞ!
……ほこりだけに…!!」
「…最後のセリフ、もう少しいいのなかったのか…?」

そう、俺らは「ほこり」だ。
潔癖症の人間にとってはゴキブリの次に嫌いな敵だ。

そして俺らの天敵はあの消滅機、
通称、「掃除機」だ。

どこの家にも必ず存在するほこりと、
それらを吸い取ることを使命としている掃除機の
熱い戦いが今、始まる…!


12/6/2023, 12:25:24 PM

逆さま

目覚めたら、目の前に靴があった。
おかしい。こんな靴買った覚えがないぞ。
それになんだか頭がぼーっとする。

「…お目覚めかな?」

ドスの効いた低い声が聞こえた。こいつは男だ。
…誰だ?
こちらが声を出そうとしても
なぜか出てこない。
とても息苦しかった。

「混乱してるみたいだから説明してあげるよ。」

男はゆっくりと椅子に腰掛けた。
…それは俺の特注だ。勝手に座るな。

その瞬間、俺はあることに気づいた。
今までなぜ気づかなかったのだろうか?

宙吊りになっているのだ。
多分足はロープで吊るされているのだろう。

「ここはね、デスゲーム会場だよ。」

…デスゲーム?
なぜ俺がそんなことを?

だめだ。何も思い出せない。

「君はとてもお金に困っていたみたいだね。だから、
僕の提案にもすぐに乗ってくれたじゃないか。」

っ!思い出した。
俺は…ギャンブルにハマって…
生活が…苦しかったんだ。

「フフッ。その様子だと、思い出したようだね。」
「そうさ。君はこのデスゲームに成功したら大金がもらえるという企画を信じ込み、まんまと引っかかったんだよ!」

男の顔は優男のような顔からいっぺんし、
鬼の形相へと変わった。

あぁ…俺は
騙されたんだ。この男に…!

「いやぁ、契約を結んだときの君の顔は
今でも忘れられないねぇ…!」
「獲物を見つけた猫みたいに目ん玉見開いてさぁ!!」

ふはははは!!!!
映画の悪役のような笑い声が室内に響いた。

「さぁ、さぁ!!ここから本番だよ!」
そう言って男は俺の真下に木材を持ってきて
火をつけた。

「さぁて、ここから何時間死なずに耐えられるかな?」

密閉された室内。
このままだと、焼き焦げるか、中毒死するかの
どちらかだろう。

…俺が馬鹿だった。
こんなうまい話あるわけないのに。
真面目に働いていれば…

手も足も動かない。
意識も薄れてきた。

「この部屋の物は…あまり売れなさそうだね。」

男はあたりを物色し始めた。
俺が死んだ後に売りに行くのだろう。

せめて普通に倒れて死にたかった。
逆さまなんかで死にたく…ない…

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