『あなたに届けたい』
今日家に帰ってきたら、ポストに手紙が届いていた。
可愛らしいイラストがちょこんと付いた封筒に、ハートのシール。彼女からだ。
なんだろう?と思って、部屋に入ってから封を開ける。中には便箋3枚に直筆で書かれた手紙と、良い香りのポプリ。
(なんで唐突に手紙なんて。)
『ラブレターを書いてみたかったから』と可愛いことが書いてある。
彼女からの直々のラブレターなんて、思えば初めてだ。読んでいて、ちょっとこれは照れる。ニヤニヤしてしまう。堪らないじゃないか!
あぁ、あんなこと覚えててくれたんだとか、そこに惚れてくれたんだとか、今さら改めて新鮮な驚きと感動がある。
考えてみると、近くに居るからか、改めて伝えてないこともあるんだなと、今さらながらに思った。
これは嬉しい。ちょっと大事に取っておきたい。
彼女はきっと返事を楽しみに待ってるだろうから、ちょっとゆっくり考えてみることにする。便箋と封筒も買ってこないとな。何か同封するなら何がいいだろう?
あれこれと考えながら、彼女の普段通りのLINEに目を通す。
(いつからこんな準備してたんだか。)
クスッと笑って、『届いたよ』の報告をする。
そしたら、すぐに嬉しそうなスタンプが返ってきて、テンションが伝わってくる。
俺はなんだかんだ茶々を入れながら、お返しに『ありがとう』のスタンプを返した。
『I LOVE…』
彼にラブレターを書いてみようかなと思った。
ちょっと可愛い便箋をみつけたので。
あえてちゃんと切手を貼ってポストに投函する。きっとビックリするだろうけど。
LINEはいつもしてるけど、改めて紙に書き残すって新鮮。なんて書こうかな。
普段は言葉にすることはないけど、彼のことはどんな人だと思ってるとか、どんなことが嬉しかったとかの思い出とか、これからどんなことをしたいって希望とか。
そして、どんな風に好きとか。
下書きにたくさん書いて、便箋に清書して。丁寧に閉じて、切手を買って貼って、ポストに入れた。
ちょっとワクワクする。
どんな風に思ってもらえるかな。
ドキドキする。
どんなお返事が貰えるかなぁ。
心に残るといいな。
『街へ』
今日は久しぶりの街へデートに来た。
特に目的も決めず、ウィンドウショッピング。
新しく見つけたお店に突撃しよう!ということだけ決めて、街を歩いていたら、おいしそうなドリンクのお店に遭遇。期間限定の出店らしい。
早速、彼と別々のドリンクを注文して味見する。
「あま~い!」
「こっちは酸っぱい。」
「えー、飲ませて!」
と、ドリンクを交換。二人居れば二度おいしい。
「でもおいしい。クリーム混ぜると甘酸っぱくなるね。」
「どれどれ。」
おいしくて顔が綻ぶ。新鮮な味に出会えて嬉しい。
「ねー、あっちは?なんか美味しそう!」
なんだかんだで食べ歩きになってしまった。あとで体重見るのこわいな~。
「これは食べなきゃな。」
「ん~!お肉おいしい!」
彼と居ると楽しい。何でも一緒に受け入れてくれて、楽しんでくれる。こだわり強すぎる人だと一緒に楽しめないから、こうやって何でもウェルカムな人の方がいいな。
街には沢山の新鮮な出会いがあって面白い。たまに目的もなく歩いてみるのもいい。
今日はお腹いっぱいの楽しいデートになった。
『優しさ』
雪が綺麗だった。
傘に隠れてキスをした夜、彼の家で具だくさんの豚汁を作って、二人で食べた。
あったかかった。
あったかいだけで幸せ気分になる。
「やっぱり日本人は味噌汁だよな。」
なんて納得顔で笑って、おかわりをせがむ彼。
味噌汁って幸せになる。なんだかそう実感して、たっぷりとおかわりを注いだ。
「お前の味噌汁が一番!」
嬉しそうにおかわりに箸をつける。
ふと気になる。
「なんかさ、君って呼んだり、お前って言ったりするよね。」
彼が私の瞳をみつめる。
「あぁ、うん、嫌?」
「全然いいけど。」
彼が目を伏せてゆっくり豚汁を飲みながら答える。
「お前の方が近い気がするし、君って大事に呼びたい時もあるし、両方あるんだ。」
「そうなんだ。」
「どっちが好き?」
「んー、両方。」
「気が合うな。」
お前って呼ばれるのも、私は嫌いじゃない。寧ろドキドキする。彼のものになったみたいで嬉しい。
君って呼ばれるときは、きちんと女性扱いして貰えてる気がして、それも嬉しい。
彼はいつも紳士的だけど、時々男らしいから、ぐっとくる。
子供みたいな彼も好きだし、私を大事にしてくれるとこも嬉しくて。
心を鷲掴みにされている。
でも、それが痛くない。
とても優しい。
彼の私に対する優しさは、まるごと包み込んでくれる安心感があって。
味噌汁のようにホッとする。
かけがえのない、私の恋人。
雪の中でも温かかった。
『ミッドナイト』
大好きな彼氏にくっついて寝る。
しあわせすぎて、私はこれだけで充分。
でもくっついてると、必ずちょっかい出される。
「も~、ダメ~、寝るの~。」
それでも離れずに抱き付いてスヤスヤ。
ちょっと人には見せられない甘えぶり。
そんな深夜のひととき。
彼女の柔肌がぴったりとくっついている。
男としては至福のひととき。
でもつい、背中をつーっとくすぐってみたくなる。
彼女の眠そうな声が甘ったるい。
可愛い。控えめに言っても可愛い。
俺は寝付けずに彼女の髪を撫でてみる。
こうして体温を感じてるだけで癒される。
堪らない。
にやけているかもしれない。
こんな緩んだ顔はちょっと人には見せられないかもしれないな。
そんな深夜の安らぎ。