美夜

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 『あなたに届けたい』


 今日家に帰ってきたら、ポストに手紙が届いていた。
 可愛らしいイラストがちょこんと付いた封筒に、ハートのシール。彼女からだ。
 なんだろう?と思って、部屋に入ってから封を開ける。中には便箋3枚に直筆で書かれた手紙と、良い香りのポプリ。
 (なんで唐突に手紙なんて。)
 『ラブレターを書いてみたかったから』と可愛いことが書いてある。
 彼女からの直々のラブレターなんて、思えば初めてだ。読んでいて、ちょっとこれは照れる。ニヤニヤしてしまう。堪らないじゃないか!
 あぁ、あんなこと覚えててくれたんだとか、そこに惚れてくれたんだとか、今さら改めて新鮮な驚きと感動がある。
 考えてみると、近くに居るからか、改めて伝えてないこともあるんだなと、今さらながらに思った。
 これは嬉しい。ちょっと大事に取っておきたい。


 彼女はきっと返事を楽しみに待ってるだろうから、ちょっとゆっくり考えてみることにする。便箋と封筒も買ってこないとな。何か同封するなら何がいいだろう?
 あれこれと考えながら、彼女の普段通りのLINEに目を通す。
 (いつからこんな準備してたんだか。)
 クスッと笑って、『届いたよ』の報告をする。
 そしたら、すぐに嬉しそうなスタンプが返ってきて、テンションが伝わってくる。
 俺はなんだかんだ茶々を入れながら、お返しに『ありがとう』のスタンプを返した。

1/30/2023, 10:35:39 AM