セミの鳴き声がいくらか落ち着いてきた頃
ボンヤリと照らされた赤い夕焼け色の提灯
ドンドコ、ピーヒュルなる独特の音楽
ほんのり漂う香ばしいソースや甘い甘味の香り
色々な柄、色の組み合わせをした浴衣を着て
カラコロカラコロ下駄をならして
小ぶりの巾着に頑張って貯めたお小遣いをいれて
少し暗くなってきたかなぁって時間に家を出て
会場についたら先ずは綿あめ
次は焼きそばにたこ焼きにかき氷に
スーパーボウル救いをして
下手っぴな金魚すくいをして
おじちゃんに『おしぃー。頑張ったね』ってオマケしてもらうの
今度はあんず飴にいちご飴食べて
少し疲れてお腹も満たされたら
真ん中の一番キラキラ輝く場所で
見知らぬ人たちと笑顔で盆踊り
終わったら今度は射的をしたり
大好きな食べ物を2週目して
じっとりと湿り気を帯びた暑さになった頃
やっと夜の蚊帳がおりたくらいに
空に咲く大きくてキッラキラの大輪花火
それを首が痛くなるくらい上を向いて
目に焼き付けて最後は花火師さんに拍手をしたら帰りの時間
髪の毛や浴衣に少しだけソースの匂いをつけて
カラコロ下駄を鳴らしながら両手にはいっぱいのお土産達
足が痛いけどじっとりと暑かったけど楽しい思い出
神様が舞い降りてきて、こう言いました
『こんな暑い中外に出る必要はありません。
死にますよ。いいですか?
生きたいならエアコンをつけた室内で日々過ごしなさい。』
だから私は今日も節電、節約など考えずエアコンをつけ
扇風機で空気の巡回をさせ、
冷たい飲み物片手に好きな動画をみて
食べたいものを食べて部屋に引こもる。
そう神様がそう仰ったのだから良いです。
誰かのためになんてただの自己犠牲で自己満足だ
きれい事だしそんなの絶対に自分にはできない
けれど
自分にとって大切で大好きな貴方の為ならば
全て渡すことも捨てることも厭わないよ
7日間あるうちの5日または6日だけ、
毎度数十時間、私は鳥かごに囚われる
ある程度余裕をもたせた時間に起床し
黙々と朝食を食べ、身なりを整えて
決まった時間の電車に乗り、
決まった時間にとある場所へ行き、
その日定められた物事を粛々と淡々と進め
たまに名も無き物事を挟みつつ過ごし
決まった時間になると昼食の為一時的に自由が許され
また決まった時間になると元の場所に戻り
決まった物事を粛々と淡々と進め
たまに名も無き物事を挟みつつ過ごし
決まった時間になると
何となくいつも同じになる時間帯にほんの少し自由を許される
その時間に身なりを清め、夕食を食べ
次の日に備えてベッドに潜り込む
もちろん携帯のアラームは今日と同じ時間にセットする
数時間といえど時間は有限だ
その時間を誰かによって決められた物事をする
そんな『仕事』の時間は私にとって『鳥かご』でしかない
空を羽ばたく鳥のように『自由』に過ごせたらどれだけ
楽しく、可笑しく、面白く、気ままに日々を謳歌できるだろう
そう思うけれど『鳥かご』に入らなければいけない理由を
私は理解している。生きていく上では仕方の無いことなのだと
だから私は今日も『鳥かご』へ囚われに行く
昔から人間関係の構築に人一倍苦手意識があった
中々上手く感情をだして会話をするのも
嬉しい、楽しいを共有し合うのも
本音で語って怒ったり、泣いたりし合うのも
そんな『青春』みたいものに苦手意識があった
そう。いつの間にか知らないうちに
自分の中で『友情』と『青春』がイコールになってた
だから学生の時にはほんのひと握りの人間としか関わりもなく
連絡先を自分からたずねて新しい輪を作るなんてこともしなかった
でもそのほんのひと握りの関係も社会人になれば
脆く、崩れて中々再構築できない砂のお城だった
そして社会人になってからの出会いは友情とはまた違う『何か』
数年経った今でもその『何か』がなんなのかわかっていない
でもきっとそれもまた違うかたちの『友情』なのだと
歳を重ねてもその違うかたちの『友情』は必要なのだと
ふとした瞬間に痛感し、感激し
その関係性を持ってくれた人たちに感謝する
今も『青春』に繋がる『友情』は苦手だ
でも『友情』の中にも色々な種類があって
それは歳を重ねてれば重ねるほど変化し
『私』を象るものとなる
少しだけ大人になった今、
『友情』は『私という人間を構築し象るものとして必要な栄養』と思うようになった