紗夢(シャム)

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1/23/2023, 3:53:52 PM

【こんな夢を見た】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/21 AM 9:20

 目が醒めて、宵ちゃんとお風呂に入って、
 スッキリしてリビングに戻ってきたら、
 真夜(よる)くんが朝ごはんを作ってくれた。
 ふわふわのフレンチトーストと
 香り高いミルクティー。
 至れり尽くせり感がすごい。

「~~~……っ! 相変わらず、
 真夜くんの作ってくれるものは
 美味し過ぎるよ~!」
「それは良かった。
 体調も悪くなさそうで安心したよ」
「ううう……真夜くんの優しさが
 とどまる所を知らない……。
 ……ありがとう。でも、本当に大丈夫。
 夢の内容も、やっぱりほとんど覚えて
 ないし」
「魘されるような悪夢だったとしたら、
 忘れられて何よりだと思うけど」
「そうだねぇ。でも、楽しい夢だったと
 しても、忘れちゃうことが多いでしょ?
 こんな夢見たよ! ってはっきり言える夢、
 真夜くん見たことある?」
「そうだな……。――いつだったか、3人で
 朝から晩までハリー・ポッターのDVD
 観賞会した日の夜は、魔法学校に通う
 夢を見たよ」
「えっ、ホグワーツに?
 それはすごく楽しそう!」
「……あまり普段と変わらなかったかな。
 宵がいて、暁がいて、オレがいて。
 3人で話したり、授業を受けたり、
 ホウキで飛んだり、その程度。
 大きな事件は起きなかったよ」
「ホウキで飛んだり、は
 普段とは全然違うんじゃないかなぁ。
 ちなみに、わたしたち、
 どこの寮生だったの?」
「スリザリン」
「超意外!!」

 そう言って笑ってしまったけれど、
 スネイプ先生の、ハリーのお母さんへの
 愛情の濃度を考えたら、
 わたしたちがスリザリン寮だったことも
 納得出来てしまうかもしれない。

1/22/2023, 3:45:21 PM

【タイムマシーン】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/21 AM 8:40
「もしもタイムマシーンがあったとして。
 子供の頃に戻って、牛乳いっぱい飲んだり
 運動一生懸命したら、わたしも宵ちゃん
 みたいなナイスバディになれるのかなぁ」
「……人の体ガン見しながら何言ってるのよ」
「だって~、一緒にお風呂入るの
 久しぶりだから~。
 見なきゃ損でしょ、宵ちゃんのヌードは」
「あのねぇ……」
「あ、背中流そうか?
 ついでに色々触っていい?」
「却下。まったくもう、魘されてた割に
 全然元気じゃない」
「……やっぱり、すごく心配させちゃった?
 でも本当に、自分ではうなされてるの、
 分からなかったの。ごめんね」
「……別に。ちょっと驚いただけで」
「ふ~ん?」
「何でニヤけてるのよ」
「愛されてて嬉しいなぁって思ったから」
「そんなこと言ってないわ」
「言ったも同然だよ?
 もー、宵ちゃんったら照れ屋さん」
「はいはい、大好きよ、愛してるわよ。
 ……これで満足?」
「もうちょっと感情込めて欲しかったけど、
 わたしも照れちゃいそうなので、良しと
 しましょう」

1/22/2023, 9:50:05 AM

【特別な夜】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/21 AM 3:17

「……眠ったみたいだな」
「……そうね」

 さっきまで魘されていた暁の
 静かな寝息が聞こえてきて安心する。
 暁の希望で、右手はオレと、左手は宵と
 繋いだままだ。

「宵も寝なよ。暁のことは
 オレがもう少し見てるから」
「心配性」

 宵の言葉に小さく笑う。

「……何?」
「いや……、宵だって随分動揺してたのに」
「っ……、しょうがないでしょ。
 普段は能天気な姿しか見てないんだから」

 確かに、暁はいつも明るくて、
 にこにこ笑っている印象が強い。
 だからこそ驚いた。
 子供の頃からお互いの家に寝泊まりする
 ことは幾度もあったのに、あんな風に
 魘されている所を見るのは初めてだったから。

「……オレは知れて良かったと思ってる。
 まだオレ達にも、暁のことで
 知らないことがあったんだっていうことを」
「……無駄に元気に見えるけど、本当は
 体弱くて風邪引きやすかったりするしね。
 具合が悪くて1人で寝てる時、今までも
 ああして魘されることがあったのかしら」

 そういう時こそ甘えなさいよ、バカね、と
 呟く宵の声が優しく響く。
 オレ達は、何度も特別な夜を3人で過ごして
 来たと思うけれど、今夜もまた、
 そんな特別な夜だったんだろう。

1/21/2023, 9:59:18 AM

【海の底】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

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 ここは海の底。
 深くて、暗くて、冷たい。

 でも、もうそれも、
 よく分からなくなってきた。

 (……消えてく……)

 こぽこぽ、こぽこぽ。
 手足の先から、少しずつ。
 躰が泡沫(あわ)になっていく。

 (……サイダーみたい……)

 自分の躰から上がっていく、
 たくさんの小さな泡沫の粒。

 ただそれを、不思議な気持ちで
 見つめている。

 ――でも、だんだん、意識が、薄れて。

 (……ああ、もう……視えない)

 感覚も、何も、失くなっ、
 て。

 ………………。

 …………。

 ……。

 



「――……き、あかとき」
「――……?」


1/21 AM 3:00

「暁?」
「――……あれ?」

 ふっ、と意識が覚醒する。

「――ここ、どこ?」
「何言ってるの。アンタの家でしょ」

 呆れたような、でもどこか
 ほっとしたような宵ちゃんの声。
 
 わたしは布団で仰向けになっていて。
 左隣に宵ちゃん。右隣に真夜(よる)くん。
 2人は上半身を起こして、
 わたしの顔を覗き込むような体勢でいて。
 なぜか2人とも、わたしの手を握っている。
 
「……えーと。……なにごと?」
「暁。何処か痛いとか、苦しいとか、ないか?」
「え? ……うん、大丈夫。どこも変じゃない」
「なら、良かった」

 真夜くんも、あきらかに安堵した声。
 本当に、どうしたんだろう。

「……魘されてたんだよ、暁。
 そういう時、無理に起こしたり
 しない方がいいらしいけど……、
 もし身体の異常だったら危険かと思って」
「うなされてた?」
「だいぶね。自覚はないみたいだけど」
「うん、全然、うなされてた自覚はないの。
 ――あ、でも、確かに夢は見てたかも」
「怖かった?」
「あんまりはっきり覚えてないけど、
 なんだろう……人魚? になった夢かな。
 ……ダメ、もう忘れちゃった」
「まぁ、夢ってそういうものだろうし」
「ごめんね、心配させちゃった?」
「いいわよ、もう」

 握られた手をぎゅっと握り返す。

 夢の中で海の底にいたわたしが、
 痛かったり苦しかったりしたのかは
 思い出せない。
 うなされるくらい、悲しかったり
 怖かったりしたのかも。

「宵ちゃん、真夜くん。大好き」
「「知ってる」」

 だけど、2人の優しさの海に溺れるのは
 こんなにも心地いい。

1/19/2023, 4:45:22 PM

【君に会いたくて】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

1/20 PM 8:15

『月夜よし夜よしと人に告げやらば
 来てふに似たり待たずしもあらず』

「……暁から謎のLINEが来たわ」
「オレにも届いてる」
「急に和歌なんか送ってきて、
 何がしたいの、あの子は」
「『月が綺麗で素敵な夜だね~。
  なんて言ったら、《会いに来て》って
  言ってるのと同じになっちゃうかなぁ。
  まぁ待ってないわけじゃないんだけど』
 ……みたいな感じかな。訳すと」
「要するに、『会いたくてLINEしたよ、
 待ってるね』ってことじゃない」
「そういうこと。……行こうか」
「仕方ないわね」

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