お題 : さぁ冒険だ
ただ吹いている、テンプレ通りの風。
そののどかな平原で靡く旗を見ている、僕。
「今日は何処に行くおつもりで?」
お嬢様口調の魔法使いが言う。
「さぁ、どうしようかな」
はっきりとした返事は返さない。
「それでしたら、またいつもの通りじゃないですの」
「そのいつも通りがいいんだって」
「仕方ないですわね。ついて行きますわ」
「さぁ、冒険だ」
風が吹くと同時に、僕らは歩き出した。
お題 : 一輪の花
一人歩く、外でも部屋でもない謎な廊下を。
手に持っているのは、無駄に長い剣。
この手に付いている赤い液体を見ながら思う。俺は、一体なんでこんなことしてるんだっけ。
昔、まだ子供だった時に家族が殺された。そのザマは、この手にこびり付いて離れない赤い液体と同じぐらいに残酷だった。
子供の頃は理解も出来なかったことを、青年になって理解して、復讐を誓った。そうだ、それがきっかけだ。
敵国との戦争。いや、これは殺し合い。
人間関係・学校生活。これまでは嘘でも感情を殺さず喜哀楽を使いこなしてきた。でも、そんな生活はもうやめた。
感情など殺した。同情などない。この”復讐”のためなら、俺はなんだってする。もう後戻りなどできない。
「████!」
後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。そこで、止めずにずっと歩き続けていた足を止める。
「やっと見つけた……今日もまた?」
「もちろん」
「これからまたある?」
「予定は無い」
「良かったぁ……あの、渡したいものがあるんだけど」
「何?」
両手で握られているそれは、1つの彼岸花。
彼岸花。何気に知っていたが、初めて見た。それが素直な感想。
「これ、███にあげたくて」
「………これを?」
「うん!それじゃ!……時間、邪魔したくないから」
嵐のように、一瞬な出来事。
花は好きだった。唯一興味を持ったもの。この世にある花は、大体記憶の中にある。花言葉も、大体なら覚えてる。彼岸花はなんだっけ。
_____独立。悲しい思い出。諦め。
あの日、目の前で死に赤い液体を浴びた思い出。
復讐を誓い、他人とは違う道を歩むことを決めた時。
昔、両親に言ったことのある叶うはずのない夢。
その瞬間、溢れ出すのは涙。
『花屋さんになりたい』と笑顔で両親に言った、そんな悲しい思い出。
ほんとうに、俺は勝手になにをしているんだろう。
そんなこと想って泣いたって、もう後戻りはできない。
今手にこびり付いているもの。あの日浴びたもの。今手の中で咲いている一輪の花。
茨の道にあるのは、『赤』という呪いだった。
お題 : 魔法
少しここで君に質問。
え、君って誰かって?この文章を読んでくれてる君だよ。名前を呼べって言われても、ただ共通のアプリで繋がってるだけの他人だし……って、そういう話をしたいんじゃなくて。
まぁ質問って言っても、ただ考えれてくればいいだけ。
簡単だけど、簡単じゃない。そんなものだから。
で、その質問内容。
君は、『一度だけなんでも叶う魔法』があるなら、どんなことを叶えたい?
別にこれは、難しく考えてくれても軽く考えてもなんでもいいんだ。『新作のゲームが欲しい』とか、今の自分の欲求でね。
例え?うーん、難しいなぁ……とりあえず、考えつく限り並べていくね。
『 自分が嫌いなヤツを消したい 』
『 大好きなものにだけ囲まれて過ごしたい 』
『 この場所と仲間がずっと続いて欲しい 』
『 大好きなあの人が自分に振り向いて欲しい 』
『 この場所の自分の声でずっと歌いたい 』
『 ずっとあの人と幸せに暮らしたい 』
『 新しい歌い方を知りたい 』
『 この声を失いませんように 』
『 家族と大切な人がずっと安全でいてほしい 』
『 夢が叶うためにずっと努力と失敗を繰り返したい 』
『 友達の手術が上手くいってほしい 』
『 この道が失敗とならないように歩き続きたい 』
ちょっと偏りすぎたかなぁ……でも本当に、大好きな12人の推しを思い浮かべたらこれしか思いつかなかったんだ。
私の願い?それは内緒。だって、恨み丸出しになっちゃうもん。どうせ、叶いはしないし。オタクとして、推しの望みを叶える側になるわけだし!
…でも、一つだけ願いを上げるとするなら。
『 この世に魔法がありますように 』
綺麗事だって、分かっているけど。
お題 : 君とみた虹
「好き」とか「愛してる」とかを口にするのは難しくて
だからこそ何かいい感じの時に言えたらいいなって
たとえば大切な人達と虹を見てさ
「会えて良かった」なんて言えたら幻想的だよね
でもさ、美しいものがすぐ記憶から消えると同じで
大切な人がいることも当たり前になっちゃう
当たり前って思っちゃうからさ
自分の近くから消えた時に悲しむの嫌で
どんなに優しい言葉をかけられても
どんなに美しい虹をみても
「やっぱいいや」って思うようになっちゃった
情けないなぁ、ほんとに
それでも忘れることはできないんだよね
一度見た虹も雪も
だから心の奥底では「一生離したくない」って
「そばにいて欲しい」とか
気持ち悪いほどに思っちゃう
言葉にしないと伝わらないのに
なんか、本当に難しいなぁ
虹なんて、大切な人なんてなければよかったのに
お題 : 夜空を駆ける
か‐ける
【駆ける・駈ける】
《下一自》
人や獣が足で走る。また、人が馬に乗って走る。
「サラブレッドが草原を―・け抜ける」
” いつか夜空を駆けてみたい ”
近所のクソガキが、そんな事を言っていたからふと調べてみる。
「人や獣が足で走る」。「人が馬に乗って走る」。
普通に考えて、それは地面があるからできるもの。
だから、夜空を馬に乗って走ったり、足にある感覚で踏みながら走ることは不可能なのだ。
______夜空を駆ける。
「走る」という行為を正しく教えられているなら、まず思い付かない思考だ。
その思考から辿り着くのは、「子供の発想力は、大人の汚い思考より美しい」。そういう答えだ。
それを例え否定されたとして、たとえ子供の時だけだとしても「絶対できるもん!!」と信じてやまない。
……いつの間に、俺はこんなに汚い思考になってしまったものか。
「夜空を駆けることができない」。それは何時から決めつけられた?
たとえ科学的に、論理的に不可能だとしても、いつかはその理論さえを超えて叶える人物が現れるのではないのだろうか。
多分。きっと、生きているうちには叶わないことを考えている。多分。
でも、こういう事を考えるのが1番下楽しかったりする。
だから明日も、頭の中で、想像の中で。
………夜空を駆けている。