「バカみたい」
君にとって私って、たくさんいる友人の一人だったんだ。
今日やっと、そのことに気づいた。君から送られてきたのは、かわいらしい女の子と並んで笑う写真。
添えられた文には、彼女ができたという報告とそっちはまだ彼氏はできないのかというお節介な一言。
「あーあ、バカみたい」
君の好みに合わせた長い髪も、一生懸命勉強したメイクも。私だけが必死になって、君の一挙手一投足、わずかな視線にすら一喜一憂して。
「ほんとに、バカみたい。いや、バカ、なんだろうな」
自分のバカさ加減に、乾いた笑いが込み上げる。かと思えば、雫が一滴、頬を伝って落ちた。
しばらくは、君の幸せを願えそうにない。
「二人ぼっち」
「あなたさえいれば他に何もいらない」
歌詞やセリフによくあるそんな言葉が、私は嫌いだった。そんなわけはない、それで生きていけるわけがないと。でも、実際にそうなると、意外と満足している自分がいることに気づいた。
この集落には、もう私とあなたしかいない。主のいなくなった家々と広大な緑の中に二人ぼっちだ。けれど寂しくはない。あなたが隣で笑ってくれるから。二人だけでも、いやむしろ、二人だけの方が邪魔者もいなくていい。
私はもう、あなたさえいれば他に何もいらない。
「夢が醒める前に」
夢の中でいいから会いたい、言葉を交わしたい。そんな願いをし続けて何度目の夜だろう。でも、そんなことはもうどうでもいい。やっと君が私の夢に現れてくれたのだ。君はあの頃と変わらない優しい笑顔を浮かべて、私の話を聞いていた。嬉しくて嬉しくて、涙を流しながら話をする私を、時に抱きしめてくれた。
やがて、君の姿はぼやけ曖昧になり始める。終わりの時が近いのだろう。その前に、伝えなければならないことがある。
夢が、醒めてしまう前に。
「あのね!私はずっと君のことが好き。これからも変わらない。でも、ちゃんと前を向いて生きて、行くから!だからきっと、きっと、待っててね」
伝えてしまえば認めることになる。けれど、これ以上君に心配をかけたくないと、いつか夢で会えたら伝えようと心に決めていた。
私の言葉に、君が何かを呟いた。その声はもう聞こえなかったが、ありがとう、と言ってくれた気がした。
「胸が高鳴る」
君の声を聞くだけで、胸が高鳴る。君の写真を見るだけで自然と笑顔になる。どんなに落ち込んでいても、君という存在が私の気持ちを明るくしてくれる。
今日は久しぶりに君に会える日。高鳴るどころか爆発してしまいそうな勢いで鼓動を刻む胸をそっと押さえながら、ドアを開けた。
「不条理」
この世界は不条理だ。
君が死んだあの日、僕はその事実にやっと気づいた。努力を惜しまず進み続け、周囲に笑顔と優しさを振り撒く君は、突如としてその命を絶たれた。
世界の不条理さの前に、僕は非力だった。君は頑張っているからきっとこの先幸せが待っていると信じていた。
この世界とっては、善人も悪人も関係ないのだろう。ただ無慈悲に狙いをつけた命を刈り取っていく。
だから僕は空の上の君に誓う。世界がその不条理という強力な力をもって僕の大切な人たちを奪おうとするのなら、僕はそれよりももっと強くなって、守りたい人たちを守ると。
もう二度と、誰も死なせないと。