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「夢が醒める前に」

 夢の中でいいから会いたい、言葉を交わしたい。そんな願いをし続けて何度目の夜だろう。でも、そんなことはもうどうでもいい。やっと君が私の夢に現れてくれたのだ。君はあの頃と変わらない優しい笑顔を浮かべて、私の話を聞いていた。嬉しくて嬉しくて、涙を流しながら話をする私を、時に抱きしめてくれた。
 やがて、君の姿はぼやけ曖昧になり始める。終わりの時が近いのだろう。その前に、伝えなければならないことがある。
 夢が、醒めてしまう前に。

 「あのね!私はずっと君のことが好き。これからも変わらない。でも、ちゃんと前を向いて生きて、行くから!だからきっと、きっと、待っててね」
 
 伝えてしまえば認めることになる。けれど、これ以上君に心配をかけたくないと、いつか夢で会えたら伝えようと心に決めていた。
 私の言葉に、君が何かを呟いた。その声はもう聞こえなかったが、ありがとう、と言ってくれた気がした。

3/21/2026, 1:52:52 AM