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1/20/2026, 3:01:26 PM

「海の底」

 太陽の光も届かない、暗い暗い海の底。海が時折、潮を渦巻くだけでそこには冷たさと孤独だけが広がっている。
 そんな場所に長いこといると、何もかも分からなくなっていく。私は誰なのか、どうしてここにいるのか、記憶が薄れていく。
 でも、一つだけわかる。私は待っている。人なのか、物なのか、具体的なことわわからない。けれどそれが私の使命だということだけははっきりと覚えている。
 いつか訪れるのなら、早く来てほしい。私が何もかも忘れてしまう前に。私という存在が暗い海の底で静かに泡となり消えてしまう前に。

1/19/2026, 1:34:38 PM

「君に会いたくて」

 「ただいま」と言う自分の声がやけに大きく響く。言ったところで返事はないけれど、いつの間にか習慣づいていたらしい。先日までは私が帰ってきたら君の「おかえり」と温かなハグが迎えてくれたのに、今は玄関で1人立ち尽くす私がいるだけだ。
 君がいない。それが痛いほど伝わってきて、胸が苦しくなり視界が潤んで涙が溢れた。一度流れると止まらず、靴も脱がないまま玄関にしゃがみ込んだ。
 君のいない日々が、こんなに寂しいと思わなかった。君のいない部屋がこんなに静かで冷たいなんて知らなかった。
 君に会いたくて仕方がない。君を抱きしめたい、言葉を交わしたい。笑顔が見たい。
 どれもこれも叶わない願いだ。どれだけ会いたくても会えない。
 君のいないこれからの私の人生は全てがモノクロで無機質だ。

1/18/2026, 2:34:15 PM

「閉ざされた日記」

 あなたへの溢れる想いを綴った日記。伝えたくて、でも怖くて伝えられなかった想いや、恋をすることの辛さや苦しさが凝縮して詰め込まれている。
 そんな日記をパラパラとめくり、懐かしい気持ちで眺め、引き出しにしまう。
 結局は実らなかった恋だけど、今は不思議と晴々としている。
 いつかまた、恋をした時に、あの日記を開こう。それまでしばらくは閉ざしておこう。

1/17/2026, 2:14:06 PM

「木枯らし」

 冷たい風が吹きつけ、わずかに残った葉っぱたちが散らされ飛ばされていく。その様子を横目に見ながらただ歩いていく。前から強く吹く風が私の髪を乱し、行く手を阻む。それでも、足を止めない。理由は自分でもよくわからない。ただ、外を歩いていればどこかにあなたがいるんじゃないかと思うと、足を止められなくなっただけなのだ。
 そうして歩いていると、一層強い風が私を襲い、思わず腕で顔を覆う。強風の中で、あなたの気配を一瞬感じて目を開けた。ぼんやりとした景色の中で、あなたの後ろ姿が見えて思わず手を伸ばそうとする。けれど風に耐えられずに目を瞑り、もう一度開けた時には変わらない街の風景があるだけだった。
 ようやく分かった。もうあなたはどこにもいないのだと。
 木枯らしの中で見たのはあなたのイタズラか、それとも幻だったのだろうか。

1/16/2026, 2:20:27 PM

「美しい」

 窓から差し込む太陽の光で、部屋に舞う埃がキラキラと輝きながら揺蕩っている。その光景は何だか幻のようで美しさに目を奪われた。普段なら気づきもしないような埃たちが、今は太陽の力を借りながら輝いている。
 埃だって輝くことができるのなら。私も誰かの力を借してもらいながら輝ける日が来るだろうか。美しく輝いて、私のような誰かを元気づけられるようになれたらいいな。

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