「予感」
こうなる予感はしていた。
あなたの声が、態度が、もう昔とは違ってしまっていたから。
それでもこの予感が外れるように私なりにできることを精一杯やったつもりだった。
今、去っていくあなたの背中を見ている私は、一体なんなのだろう。
頑張っても遅かったということ?
それとも、あの予感に引っ張られてしまったせいなのかな?
あなたが私をどう思っていても、私にとってあなたは友達
「君が紡ぐ歌」
檻の中の君が紡ぐ歌は、いつもどこか寂しげで、けれどとても美しかった。歌詞はないのに、感情豊かに紡がれる歌は私の心を魅了した。
最初は注意していたけれど、いつの間にか毎日の楽しみになってしまった。
でもそれも今日で終わり。明日には君は遠くへ連れて行かれてしまう。それは耐えられないと思った。
「ねぇ、どうして逃がしてくれたの?」
不思議そうに君は尋ねる。
「君が紡ぐ歌が好きだからだよ。」
そっと答えた。
「光と霧の狭間で」
朝日がカーテン越しに部屋を照らす。その明るさに思わず目を開けた。視界は明るいのに、頭がまだ夢から完全には脱出できていなくて、まるで霧の中にいるようにぼんやりとしていた。光と霧の狭間を彷徨うように揺蕩っている。
何の夢を見ていたんだっけ?もう思い出せないけれど、懐かしさだけが胸に残っていた。
すこしずつ霧が晴れていく。ちらりと時計を確認して起き上がりカーテンを開けると、外はすっかり朝を迎えている。
さて、私も今日を始めよう。
「砂時計の音」
砂時計をひっくり返す。
落ちていく砂を見ていると、サラサラと砂の落ちていく音が聞こえてくる気がした。
「すぎた日々はなくなるんじゃないよ。砂時計の落ちた砂のように経験として蓄積されて自分の一部になっていくんだ」
そんな君の言葉を思い出しながらゆっくりと眠りに落ちていった。