「この箱に入れば一生眠り続け外には出れません」
胡散臭い魔術師は自分よりも大きな箱を叩くと怪しく微笑んだ。
真っ白な箱は下の方が少しだけ黒く染みていて、開いて見ると一人寝るのには十分なスペースがある
「その代わり、お腹も減らない無駄な時間を過ごす必要もない。
貴方だけの幸せが一生続きます
…夢という世界で。」
現実になんの未練があるだろうか。
必死に働けば自分よりも要領の良いやつの手柄になり。
好きな事をやっているだけなのにお前には向いてないと否定され。
こんな場所に生きてたってただ苦しいだけ。
なら箱に入って幸せな夢を見てるほうがよっぽどいいだろう
「中に入ることをお選びですか。
それはそれは…これで私ももうしばらく、世紀の大魔術を成功させられそうです。」
中に入ると選択すれば未だ怪しい魔術師はより一層胡散臭い笑みを強め、恭しくお辞儀をする
それを横目に箱に箱にはいる。
狭いが直に気になることもないだろう
温いお湯に浸かるような感覚を覚えながら徐々に閉まる扉を眺めるが恐怖はない
なんてたって今から見れるのは幸せな夢だ
幸せであるならずっと夢を見ていたいのだから…。
ずっとこのまま一つになって溶けてしまいたい
なんて言っていた人がいたけれど、本当にずっと一緒になんていられるのかしら?
恋に恋をしていたら溶ける前に怖気つくわ。
お互いがお互いを本当に求めていなければ無理ね。
なんて思っていたけれど、なんとなくわかるの。
ちゃんと来てくれるあの人に私もずっとこのままお友達でいたいわなんて思ってしまうから。
恋じゃなくていいわ。
飽きたら終わってしまうから。
好奇心旺盛なあの人は恋ではなくてもいつか消えてしまいそうで怖いわ。
だからあちらこちら興味がありそうな物を探しておくの。
そうすれば興味をいつでも持っていてくれるでしょう?
本当はいかないでなんて言えたらいいけれど、それも逆効果。
ずっとこのままの関係でいたいなら楽しくお話ができるようにしておかないと。
だけどね?ちゃんとあの人は私に会いにきてくれるのよ。
少しは私の何かが好きでいてくれてるのかしら?
『寒さが身に染みて』
「お伝えします。今日は底冷えの寒さでー」
いつも見る天気予報のお姉さんが、寒そうな姿でアナウンスするのをコーヒーを片手に見てると、玄関から両腕をさすりながらあいつが入ってきた。
「日課とはいえ寒い。」
毎日の日課の家の周りの掃除をしていたらしい。
慌ててコーヒーを淹れてやりながら朝食の準備もする
「底冷えの寒さだって」
「ありがとう。だからか、寒さが身に染みた」
それはそうだろう。コートも着ずに外に出れば寒い
コートごあると邪魔だからっていつも着てかないで、真っ赤な頬したあいつにトーストを差し出し出すと両手で顔を挟んでみた
「あったけー…。」
トロンとした顔で俺の手で暖を取る姿が可愛くて、ちょっとだけ申し訳ないけど寒くても良かったななんて思ってしまった
20のあなたへ
私はイジメをしてしまいました。
自分がわからなくなって、弱いから何も言わないだろうって自分のイライラを優しいあの子にあたって気づいたら手を止められなくなってました。
やってはいけないと酷く後悔をしたのはあの子が引っ越しをしてから。
命を立つ前に逃げてくれて良かった。
命を経ってたら5年後の貴女に手紙なんてかけなかった
私には夢があります。
カウンセラーになってイジメられてる子を助けたいのは勿論、イジメめている子も救いたい
好きでイジメてるわけではない子も多いはずだから…
あの後悔をどうにか返したいのです
その答えを知ってるのは今読んでいる貴女です
今夢に向かって歩んでくれてますか?
不安はありますか?
大人になれてますか?
悪い大人にならないでください
自分だからこそ流されやすいのを知ってます
沢山の人の心を救ってあげてください
あの後悔をもうしたくないから…
未来に託します
15の私より
『色とりどり』
赤、黃、青、水色、ピンク。
駅前は待ち合わせなのか、華やかな着物を纏った人が久しぶり〜なんて言いながら楽しそうに笑ってる。
「今日は成人の日か。」
俺も妹の着物を一緒に選びに行ったななんて、色とりどりの着物を見ながら思い出す。
二人で着物を見に行って結局本気になったのは俺で、担当の人にあれもこれもなんて注文を出してたら、これに合う帯はこれしかありません。
なんて担当の人を本気にさせてまだ帯になってない帯を奥から取り出させてしまった。これには流石に妹も恥ずかしかったのか、やめてよ〜なんて後々怒られてしまったけど、今妹の着物を見てもしっかり妹に似合っていて、決して悪い判断では無かったなって思う。
「綺麗ですね。
一生に一度なんです好きな物を着て是非思い出を作ってもらいたいですね」
今では色んな着方があって、色んな髪飾りがある。
古き良きも素敵で好きだが、新しいものがいいなんて人もいるだろう。
自分が恥ずかしくないなら何だっていいのだ。
こうやって綺麗な物を見ていると無性に何かを作りたくなるのは、やっぱり職人の性なのか
「折り紙でも買って帰ろう」
色とりどりの折り紙でこの綺麗な景色を表現したくて向かった文房具店でまたも、色とりどりの折り紙に悩んだのは別の話。