『もしも未来が見れるなら』
「もしも未来が見えるとしたら、あなたはどんな場面を見てみたい?」
買い物帰り2人でいつもの道を歩いている途中、私を見上げながら握る手の力を込めた君はあの時どんな事を思ってそんな言葉を出したのだろう。
「そうだな…、ずっと未来が良いな。自分達の知らない技術とか興味ある。君はどんな未来を見てみたいんだ?」
いつものたわいない会話だと思っていた私は特に深くも考えなかった。君はこの先ずっと側にいてくるものだと思っていたし、幸せはずっとずっと続くんだと疑ってなかった。
「私?私はね…。あ!あなたが私にどんなウエディングドレス贈ってくれるのか見てみたい。気に入ったのじゃなきゃ文句が言えるでしょ?」
そんな風に悪戯な眩しい笑みを浮かべていた君も、きっとそんな未来しか思い描いてなかっただろう。
これから家族になるって決めた私達は幸せになる未来しか描けなかったから。
そんな未来は突然変わった。
『もしも未来が見えるとしたら、あなたはどんな場面を見てみたい?』
本当にあの日未来が見える力を得ていたら。今ならこう答えるだろう。
「3日後の午後3時の君をみたい」
と。
それさえわかっていれば、子供を助けて消えてしまった君の未来を変えることが出来たのだから。
『ハッピーエンド』
お父さんの手を取り祭壇まで大理石の道をドレスを引きながら歩く。
全てが幸せの日。
祭壇で待つ彼と結ばれて今日私は新しい道を歩み、出会ってから良いことも悪いことも全て分かち合った彼となら今後どんな事だって乗り越えられる。
幸せのベルを聞きながら皆に祝福されるハッピーエンド。
そう思ってた。
そうあの時は。
待ってたのは全く別の現実。
嘘ばかりの彼に口うるさいお義母様。
やることばかりで私の休まる時間はなくて、手入れしていた顔はいつの間にか濃い隈。
あの日夢見たハッピーエンドなんてまた夢の夢。
結ばれたからって幸せになれるわけじゃない。
シンデレラに憧れる少女はもう卒業。
めでたしめでたしの先の本当のハッピーエンドは自分で掴まなきゃ。
【好きじゃないのに】
シールなんて本当は全然興味ない
だけどやってないと仲間はずれにされる
かわいいとは思わないものばかり集めて彼女達と語り合い
本当は鬼ごっこをしたりかくれんぼをしたり目一杯お外で遊びたい
なのに今してるのは好きじゃないメイク道具を集めてかわいいと思わない化粧の褒め合い
全然好きじゃない
全部全部好きじゃない
もっともっと好きなこと沢山あるのに
あぁ本当好きじゃないのに……
これをしないと私は孤独になる
『バカみたい』
大学の頃から付き合ってた彼と今年の春同棲をし始めた。
私は近くの印刷会社の事務、彼はらしくもない営業職。
案の定優しすぎる彼は無理を通すことが出来ずにいつも成績はしたっひ。
練習して、残業して。
せっかく一緒に暮らし始めたのに私と彼はすれ違う生活になってしまっていて、たまに休みがくれば疲れた表情を見せてデートどころじゃない。
そういえば、付き合った頃の様な彼の笑顔を最近見てないなと思う。
いつも眉間にシワを寄せて難しい表情ばかりで、このままでは彼の一番好きな笑顔と優しさが消えてしまいそうで怖い。
少しでも彼を励ましたかった私は、何時になったってどんなに遅くなったって今日は寝ずに彼の事を待っていようと彼の大好物のオムライスを作る事にした。
オムライス、それは彼との思い出の料理。
学生時代あまり料理が得意ではない私が、彼の大好きなものをと初めて作った料理だから。
でも、作った事のないオムライスは真っ黒に焦げてお世辞でも美味しそうとは言えないものに仕上がってしまった。
なのに…。
『うん!美味い。本当に美味いよ。』
優しい彼は嬉しいそうに焦げたオムライスを平らげてそう笑ってくれた。
そんな優しい彼を本当に喜ばせたくて何度も何度も練習したオムライスは、今では誰に出しても平気なくらい上手くなったと思う。
鼻歌交じりに出来上がったオムライスをお皿に乗せ、いつでも温め直せるようにラップを掛けた時、机の上のスマホからメッセージアプリの通知音が聞こえた。
彼からの連絡。今日は早く帰ってくるのかとワクワクしながらメッセージアプリを開けば。
【飲み会。遅くなるから何時も通りにしてて。】
そんな彼からのメッセージ。
絵文字もなんにも無い文面から目を離し、私は机の上に乗った2人分のオムライスを只々眺めた。
たまには書かないとね。
最近何も書いてない。
でも書く事を無理にしちゃうと疲れて嫌いになっちゃいそうだから、このペースが一番なのかも。
これからも、とびきり好きを詰め込んだ文章。
たまにでもいいから書きたいな。