『秘密の場所』
街の喧騒から一本離れた路地。
真っ赤な夕日に向かって影を引っ張って歩けば怪しげな黒猫が不思議な喫茶店へご案内。
ここはなりたいあなたになれる喫茶店。
赤、青、緑…カウンターに並んだ不思議な茶葉を混ぜれば一瞬であなたのお望みの姿にしてみせましょう。
おやおや怪しいと?
ならば店内にいる懐中時計顔の店主に相談してみなさい
喜んでお手伝いいたします。
ですが、くれぐれもこの場所の言葉内密に。
ここは特別なお客様のみ来れる場所。
誰でもなりたい姿になれる訳では無いんですから。
『風が運ぶもの』
風に運ばれてきたのは
ふわりと優しい
沈丁花の香り
まだまだ寒いけど
春の訪れは近い
『question』
どう表現すればこの気持ちを表せ伝わるのでしょうか?
一生懸命綴っても伝わるのはごくわずか
それでも吐き出すしか私は方法を知りません
気持ちをもっと素敵に伝える方法って何かありますか?
『ひらり』
季節外れの雪はひらりひらりと舞い降りて一面を白く染めていく
雪に憧れて手を伸ばしても掌に残るのは水滴ばかり
まるで貴方の心みたい
ひらりとまって私を翻弄させては掴めずに悲しいだけ
『誰かしら?』
皆が眠る午前三時。
怪しくも魅力的な音に誘われて、薄くカーテンを開いた先に見えるのは、色とりどりの仮面を付けて舞うドレスとタキシード。
くるりくるりと回り私の目を釘付けにして、決して外に出てはならないパレードだとわかるのに音で光で私を魅惑する。
楽しげに音楽を奏でる青年を目に止めた瞬間。
玄関を軽やかに叩くノックの音。
さぁ、お嬢さんおいでなさい
扉を開けば泣き笑いの仮面をつけた人物が深々と頭を下げ
軽やかな音楽の先へと手を伸ばす。
花弁の如く舞うドレスの群れに誘われるがまま一歩踏み出す私の手を引く貴方はいったい―――