「この箱に入れば一生眠り続け外には出れません」
胡散臭い魔術師は自分よりも大きな箱を叩くと怪しく微笑んだ。
真っ白な箱は下の方が少しだけ黒く染みていて、開いて見ると一人寝るのには十分なスペースがある
「その代わり、お腹も減らない無駄な時間を過ごす必要もない。
貴方だけの幸せが一生続きます
…夢という世界で。」
現実になんの未練があるだろうか。
必死に働けば自分よりも要領の良いやつの手柄になり。
好きな事をやっているだけなのにお前には向いてないと否定され。
こんな場所に生きてたってただ苦しいだけ。
なら箱に入って幸せな夢を見てるほうがよっぽどいいだろう
「中に入ることをお選びですか。
それはそれは…これで私ももうしばらく、世紀の大魔術を成功させられそうです。」
中に入ると選択すれば未だ怪しい魔術師はより一層胡散臭い笑みを強め、恭しくお辞儀をする
それを横目に箱に箱にはいる。
狭いが直に気になることもないだろう
温いお湯に浸かるような感覚を覚えながら徐々に閉まる扉を眺めるが恐怖はない
なんてたって今から見れるのは幸せな夢だ
幸せであるならずっと夢を見ていたいのだから…。
1/14/2024, 2:31:28 AM