NoName

Open App
7/4/2025, 5:40:16 AM

“遠くへ行きたい”

電車に揺られ、ふと思った。
窓の外を流れる見慣れた景色。繰り返す毎日の向こう側に行けたなら。
宛てもなくただ彷徨って、知らないどこかの知らない夜に消えることができたら。
擦り減り、色褪せ、霞んでしまった幸せを、懐かしむこともできるだろうか。
特段何がある訳でもなかった。どちらかと言えば幸せな方の人生を歩んできた。
ただ、遠く遠く遠く、誰も知らない、誰にも知られない、どこか遠くへ行きたかった。

3/17/2025, 4:42:29 PM

“叶わぬ夢”

足掻いて、藻掻いて、やっとあなたに近づけたと。
苦しんで、悩んで、手を伸ばして。
引き千切れてもいいと伸ばした指先は、あなたを掠めもしなかった。

10/9/2024, 3:40:53 PM

“ココロオドル”

何かあったかな。
そうだな、私にもなんだかよく分からないけれど。
喉の調子が悪くて何度も咳き込む私を心配して『大丈夫?』って顔を覗き込んでくれた。
顔を上げたら、貴方と目が合った。
私の唯一の友達とよく似た、優しそうな目。
あんまりにも不意だったから、心臓が跳ねた。
隣を歩いてくれていた貴方が、いつもよりも近くて。
優しすぎる貴方にはそんなつもり全くないんだろうけれど、私は時々、私の心が貴方の手の上で踊らされているような気持ちになってしまう。
でも。
それでも。
貴方と少しでも日々を共有させて貰えるのなら、一向に構わないのだけれど。

8/30/2024, 11:25:13 PM

“香水”

近所の薬局で買った香水。
関係ないのにどうしてか、貴方が思い浮かぶの。
優しくて、陽だまりみたいに暖かくて。

優しい、陽だまり、で君のことを思い出したよ。
初めて会ったのは、えっと、去年の秋頃、だったよね。
君に名前をつけたんだ。
月が綺麗だったから、“ツキ”なんて安直な名前だったけど。
名前を呼べば、すぐに傍に来てくれたね。
呼ばなくても、部屋に入れば足元に来てくれた。
体の上に乗って、一緒にお昼寝をしてくれた。
一緒に布団で寝てくれた。
本当はずっと、苦しかったんじゃないかな。
病気に蝕まれて、熱があって。鼻血をよく出してて。
本当にギリギリになるまで、気づいてやれなかった。
あんなに一緒にいたのに。
何もしてあげられなかった。
今年の四月。結局君は、いなくなっちゃった。
今でもふと、君の面影を追いかけるときがあるんだ。
掛け布団をちょっと持ち上げて「おいで」って言えば、君が入ってきて一緒に寝てくれるような気がして。
ほんとに今更だけど、君の身代わりになりたかった。
猫の身代わりになりたいだなんておかしいと思われるかな。でも、だって。
君はまだ1歳にもなってなかったろ。
いくらなんでも、短すぎるよ。

香水関係なくなっちゃったや。

6/24/2024, 6:47:17 PM

“1年後”

1年後か。そうだな
変わらない日々がそこにありますように。
願わくば、私が貴方に全てを捧げることが許されますように。
第一に、貴方が幸せでありますように。

Next