“遠くへ行きたい”電車に揺られ、ふと思った。窓の外を流れる見慣れた景色。繰り返す毎日の向こう側に行けたなら。宛てもなくただ彷徨って、知らないどこかの知らない夜に消えることができたら。擦り減り、色褪せ、霞んでしまった幸せを、懐かしむこともできるだろうか。特段何がある訳でもなかった。どちらかと言えば幸せな方の人生を歩んできた。ただ、遠く遠く遠く、誰も知らない、誰にも知られない、どこか遠くへ行きたかった。
7/4/2025, 5:40:16 AM