No.5
―冬晴れ―
ずっと降っていた雪はやみ、綺麗な青空が広がっていた。
みんな、雪がやんでスッキリした気分になっているだろうが、僕は違った。
晴れになるといつも憂鬱になる。何故だろう?
眩しく光り続ける太陽に照らされる。僕は咄嗟に目を瞑る。
こんなにも眩しかっただろうか?
部屋のカーテンを閉め、ベッドに潜る。
――――ドンドンドンドンドン
ドアを叩く音が聞こえ、ドアを開けると、そこには母がいた。
嗚呼、また母の説教か。
もう聞きなれてしまった。何時ものことになってしまった。
僕が不登校になってから、ずっとこう。
もう生きる気力も失った僕は、母の言葉を聞き流し、部屋のドアを施錠する。
「もうやだ。いっその事死んでしまいたい。」
と思った夜が何度あったか。
何度も死にたいと願ってもそれが叶う程の勇気もない。
『今度こそ』
end 2024/01/05
No.4
―幸せとは―
嗚呼、五月蝿い。
いつも僕の耳には雑音ばかり。昔は言葉として認識していたものは、もうとっくに雑音として処理し、
みんな︎︎ 求めている︎︎ ︎︎"︎︎シアワセ︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎は必要とせずに生きる。
こんな僕は可笑しいのかな?
僕は俗に言う︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎社会不適合者︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎なのかな?
僕はみんなと同じように、永遠に手にする事の出来ない︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎シアワセ︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎を求めて生きていけば、少しは人らしくなるのかな?
あれ?︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎シアワセ︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎ってなに?
幸せ?
死合わせ?
しあわせ?
『シアワセってなに?』
end 2024/01/04
No.3
―心と心―
分かっていたはずだった。
人に期待してはいけない事が。
でも、君には期待してしまう。
何故?
分からない。分からない。分からない。分からない。
僕は人の心がないと言われる。
何故?
分からない。分からない。分からない。分からない。
そんな僕に君は教えてくれた。
「貴方には心がある。大丈夫。周りに振り回されないで?」
って。
嬉しかったなぁ。僕はその時幸せでいっぱいだった。
その時はね?
その日から数日後に君は死んだ。
僕を置いていって。
なんで。なんで君まで僕を置いていくの?
『分からない......分からないよ.........』
end 2023/12/12
No.3終了
―仲間―
『これからは、ずーっと一緒だよ?』
私はぐったりしている彼をベッドまで運ぶ。
『ちょっとだけ、出かけてくるね?』
そう言い、家を出る。
私が向かったのは、私が唯一︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎ ︎︎仲間 ︎︎"︎︎として信頼している子の家だ。インターホンを鳴らすと、その子は直ぐに笑顔で迎えてくれた。
私は彼の事を相談した。そうするとその子は、
「そっかぁ〜。じゃあこれからは2人で私達の彼の︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎ ︎︎お世話 ︎︎"︎︎頑張ろうね!」
と、言ってくれた。
あ、言うのが遅れたが、この子も彼氏が居る。
よく彼氏の事を相談しし合っているのだ。
今日はもう用事がないので帰ることにした。
家に帰り、彼の様子を見に行く。
もう、全然痛そうにしていない。良かった。
彼が痛がっているのを見ると少し気分が曇るからね。
『ねぇ、どうしたの?いつもならお帰りのキスしてくれるのに。』
なんか、今日の彼。
『冷たいな』
end 2023/12/10
No.2
―手を繋いで―
彼氏に別れを告げられた。突然で、声が出ずただ混乱することしか出来なかった。
なんで?なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで!
私の事愛してるって言ったのに?ずっと一緒にいるって言ったのに?どうしてそんな事言うの?わかんないよ...
前みたいに手を繋いでよ。前みたいにデートしようよ。
「ねぇ、行かないで。お願いだから」
そんな事も言えずにただ立ちすくむだけ。
家を出ようとする彼氏に私は咄嗟に近くにあった包丁で彼氏の腹部を刺す。
痛そうに、腹部を抑えながら唸る彼氏。
私を見捨てるからこうなるの。自業自得。
でも大丈夫。
『これからは、ずーっと一緒だよ?』
end 2023/12/09