NoName

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7/20/2023, 4:04:24 AM

隣のあの子の視線の先には、
クラスで人気者のサッカー部の男子…
…の視線の先には、
クラスで一番可愛いダンス部の女子…
…の視線の先には、
クラスで成績トップの図書委員会の男子…
…の視線の先には、
今授業をしている我らが担任…
…の視線の先には……
「おい、当ててるぞ。
 52ページの問3だ」

7/17/2023, 11:42:27 AM

今後悔したことも、
今悩んだことも、
今泣いたことも、
今死にたくなったことも、
いつか全部、遠い日の記憶になる。

懐かしいと思える日が来るから。
大切な人と笑い合える日が来るから。
だから今、少しだけ頑張りたいと思った。

7/16/2023, 12:42:10 PM

「やはー!いい天気ですね!!」
澄んだ晴天に、茜の声が吸い込まれる。
「そうね」
葉月も茜に同調し空を見上げた。昨日までの雨が嘘のように、快晴。茜がこう叫びたくなる気持ちも分かる。
いつもならジリジリと鬱陶しい蝉の声は、夏の始まりを告げているようでどこか心地よい。
「帰りにアイスでも買って帰りましょ!!」
「またおごらせないでよ?」
「分かってます! 今日はいちご味のやつがいいです!!」
おごられる気まんまんじゃないか。
思わずクスリと笑う。
「こら!いつまで喋ってるんだ!もう一周走らせるぞ!」
体育教師の低い声が校庭に響く。
いけないいけないと2人で駆け出した。
爽やかな風を背に、びゅんびゅんと速度を上げていく。茜も負けじと横に並ぶ。
葉月はふと空を見上げた。
青いキャンバスに描かれた、白い一本の飛行機雲。
あぁ、夏が来る。

7/15/2023, 1:19:50 PM

「あーあ」
「どーしたの? そんな暗い顔して」
深いため息をついた私に、友達が心配そうに顔を覗き込む。私は浅めのため息と共にこう返した。
「いやさぁ、もう嫌になってさ。
志望校とか成績とか将来とか、面倒くさくなっちゃって。周りと比べられるのも、叱られるのももう疲れちゃった……なんて、はは」
今、友達にうまく笑えているだろうか。
「……もう全部無くならないかな」
「え?」
あ、しまった。暗くなりすぎてしまった。
それだけ疲れてはいたが、友達にわざわざ話す内容ではなかったな。
慌てて誤魔化そうと口を開けかけた時だった。
「そうだね。もう疲れたもんね。
 私もだよ。
 もう、終わりにしようか」
そう言って友達がパチンと指を鳴らすと、周りの景色がジグソーパズルのピースが剥がれるように、バラバラと崩れ始めた。テクスチャが剥がれるように、黒い無が剥き出しになっていく。周囲の人は気づかないのか、平気な顔をして歩いている。
なんだこれ。冗談かなにか?
友達は変わらず微笑を浮かべたままだ。
その間にも空間に黒が増え、元あった景色は跡形も無くなっていた。
このままでは本当に世界が終わってしまうのではないか。私が、私があんなこと呟いたせいで。世界が。
「待って!」
考えるより先に声が出た。
「ごめん! やっぱさっきの無しにならない!?」
「……なんで? そんなこと考えちゃうほど追い詰められてたんでしょ? だったら消えちゃおうよ。私と一緒にさ」
「だめだよ。……だってまだ私、あんたと行きたいとこたくさんあるのにさぁ……」
友達は目を丸くした後、くしゃりと笑った。
「あんたらしいや」
パン
友達が手を合わせた瞬間、世界は元に戻った。いつも通りの景色に、私は安堵のため息が漏れる。
「で、まずはどこに行きたい?」
友達は何も無かったかのように、そんなことを問う。
「……水族館」
「んよし。行くか」
友達は私の手をぎゅっと繋ぐ。
私は少し冷たく感じたその手を握り返す。
今日は絶好のイルカショー日和だな。なんて考えながら。

7/14/2023, 12:27:12 PM

夜12時を回った深夜のネオン街。
制服のままの学生2人が、
離れ難いように手を取り合って。
楽しそうに笑いながら走っていた。
2人の明日はどこか知らない。
でも、2人はきっとそれでよかった。
2人が一緒にいられるなら、それで。

それは愛の逃避行。

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