気になったことを調べるのは苦にならないほう、というより好きだ。
知ったことが砂のように頭からこぼれ落ちて、ほぼほぼ残らないのが悩み。
これ前にも読んだな、と思うと同じことを調べている。気になるポイントは変わらないらしい。
『もっと知りたい』
自分の過ぎ去った日々を大なり小なり彩ってくれた人々の訃報に接することが増えた。
昨夏、鳥山明原作のアニメーション映画『SAND LAND』を観る機会があった。
ストーリーは割愛するが、可愛くて強い魔物と渋いイケオジが出てくる。
戦車の描き込みっぷりにさすがの画力だなぁと感心しながら観た。どことなく手作り感があって懐かしい気持ちにさせられた。
派手な作品ではなく宣伝も控えめだったせいか客席は寂しい感じだったが、心は満たされて帰宅したのを覚えている。
享年を知り、思っていたより若かったのが意外だった。子どもの頃から彼原作のアニメに触れていたので勝手にもっと年上だと想像していたのだ。
そうか、亡くなってしまったのだな、と反芻する。
訃報を驚きだけではなく、ある種の感慨をもって受けとめる年代になってきた。
『過ぎ去った日々』
世の中の悩みの9割はお金で解決できる、なんて説もある。
9割は大げさだけど、半分以上は解決しそうな気がする。
かつて所ジョージが宝くじのCMで「当たれば1億3000万円、人生たいがいのことはかたがつく」と言っていたのをいまだに覚えている私。
今の最高額は10億円だそうな。
愛情とか健康とか家族とか、お金より大事そうなものは思いつくけど、みみっちい自分が書くと綺麗事を語っているようで、まるで説得力がない。
お金より大事なもの……。
とりあえず、運?
生まれた瞬間から努力だけではどうにもならないことが人生にはたくさんあるから。
『お金より大事なもの』
情緒に欠けた暮らしをしているせいか、月夜の思い出もあまりないので一般的な話題で。
朧月は春の季語。
辞書によると「霧や靄などに包まれて、柔らかくほのかに霞んで見える春の夜の月」とある。
朧月夜はそんな月が出ている夜。
朧月夜というと、まず連想するのは源氏物語に出てくる女君。宮中で催された桜花の宴のあとに光源氏が出会う美女である。
ちょうどいま、紫式部が大河ドラマの主役になっている。観てはいないがなかなか面白いらしい。
京都で桜が咲く頃というと3月下旬なので、もう少し先になる。
美女(実は右大臣家の姫君)が「朧月夜に似るものぞなき」と口ずさむのを光源氏が耳にするわけだが、元の和歌は大江千里が詠んでいる。
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき
(明るく照るのでもなく曇るのでもない、春の夜の朧月夜に及ぶものはない)
マンガや現代語訳をさらっと読んだだけなので深いことは語れないけれど、朧月夜の君は深窓の姫君ながら大胆で意思を持った人物として描かれている。
姫君が一人でぶらついていること自体、異例らしい。個人的にはよよというタイプより好きだ。
桜の咲く頃、ぼんやりと霞む月を見たらこの歌を思い出して、少しは風流な気分に浸りたい。
『月夜』
体が何かしらの栄養素を欲しているのか、たまに無性に食べたくなるものがある。
肉をがっつり喰らいたくなることもあれば、大盛りの野菜サラダを求めることもある。ストレスが溜まっているときはポテトチップスの袋が陳列棚から誘いかけてくる。
疲れているときの一番はパイナップル。
透明のプラスチックケースや最近だと袋入りもあるカットパイン。もともと好きではあるが、昨今の物価高でしょっちゅう買えるものではない。
しかし気だるいときなどは、果物コーナーの黄色が目に飛び込んでくる。値引きシールなんか貼ってあると決定打で、手を伸ばしている。
いまこの時点で無性に食べたい。
『たまには』