このアプリを使い始めたのが昨年の11月だから、三日坊主の私にしては長続きしているほうだ。
といっても最近はぽつぽつだが……。
懐かしいというほど前のことでもないが、年を重ねるほど時が経つのを早く感じる。
始めた当初、自分に課したことが二つあった。
ひとつは少なくとも1ヶ月は連続で書くこと。
もうひとつは散文詩調ではなく文章を書くこと。
錆びついた脳みそを動かすリハビリみたいなものだから、とにかく続けなくてはと思ったし、まとまったものを書かなくてはと思った。
お気に入りに入れているユーザーさんの中には、少ない文字数で上手に表現される方がいるが、もともと自分にそんな才能はない。
実際は構成する余裕がなくて短文になることもあったが、できるだけ文章を書くことを心がけた。
「継続は力なり」なんて、我ながら自分らしくない言葉だが、当初の目標はまずまず果たせてよかったと思う。
脳みそが動くようになったかは分からない。
何かはちょっと変わったのかもしれない。
『懐かしく思うこと』
爆撃のあとにキーンという音が流れる映画があった。主人公が鼓膜に衝撃を受けて一時的に失聴した状態を表現したのだろうが、建物が破壊される音よりリアルで記憶に残っている。
それとはまた状況は異なるものの、私は静寂の中にいるとなぜかキーンと耳鳴りがする。
ひょっとしたらいつも耳鳴りがしていて、外からの音が消えると気づくのかもしれない。
換気扇の音、家の近くを走る車の音、隣りから響く足音……起きている間、そこらじゅうに溢れている音を意識することはあまりない。
夜、布団に入って寝つこうとすると、冷蔵庫の動作音や時計の秒針の音が急に大きく感じられたりする。
音はいつも身近に存在している。
家では生活音が、外にいれば、たとえ周りに人がいなくても空気のさざめきを感じる。
そんななか、まれに訪れる無音の時間。
すべての音が途切れ、静けさと同時にやってくるキーンという耳鳴りは、内から聴こえてくるため振り払っても消えない。
静寂はしんとしている状態をさすが、少なくとも私にとって無音の状態は耳と心をざわつかせるものだ。
『静寂に包まれた部屋』
蝶よ花よと育てられた、というと世間知らずの箱入り娘がイメージされる。
世俗的なこととは無縁で、綺麗なものだけ見て大事に育てられたお嬢さん。
たまに、そんな蝶よ花よと育てられたはずのお嬢さんが正反対の方向に行ったりして、世の中をびっくりさせる。
反骨精神が噴出したか、どこかでぬかるみに嵌ったのだろう。
蝶よ花よと育てられても、家の外に出ればいろいろな人に会うし、スマホを与えられたらインターネットやSNSを通し、どうしたって人の悪意に触れる。
箱入り娘を維持するのは難しい。
ペットくらいなものか。
生まれ変わるなら、できれば金持ちの家の子猫になって、蝶よ花よと育てられたい。
エアコンのきいた部屋でゴロゴロしているだけで可愛がられるなら、絶対に箱から出ない。
『蝶よ花よ』
あじさいが好きな花だという自覚はなかったが、画像フォルダを見返すとほぼ毎年あじさいを撮っている。
薄青、ピンク、白、青紫、赤紫、花の中のグラデーションの美しさを見ると、つい撮りたくなってしまう。
どうやら私はあじさいが好きらしい。
子どもの頃、あじさいは敷地内に植えてはならないと聞いた。理由は色が変わるから(移ろいやすい)縁起が悪いというものだった。
調べてみると寺に多く植えられていて死を連想するから、など諸説あるようだ。
あじさいには毒があるので事故を防ぐため庭に植えなくなったという理由が、もっとも説得力がある。
あじさいは縁起が悪い花と記憶に刷り込まれたせいか、自分の中でイメージが下がり、好きだと気づくまで時間がかかったようだ。
今年ももう2回ほど撮っている。
例年なら梅雨に入っているはずだが、今年は遅れているので、青空の下のあじさいだ。
しばらく書かない間に気づけば6月。単調な生活に変化があった。
変化といってもあじさいのような美しい移ろいではなく、ドタバタしている。
まだまだ余裕はないが、ここかどこかで書くことは細々と続けたいと思っている。
あじさいが好きだと気づいたように、書くことは苦手だけどやめたくないと気づいたので。
『あじさい』
生まれついてのドジである。ドジと書くと可愛げがあるが違う。
自分の場合は、単に注意力散漫で浅慮なだけだ。小さな頃からやらかしが多かった。
ポカのレベルから穴を掘って埋まりたいレベルの失敗まで、シチュエーションも様々だ。
一応、回避する努力をしているせいか、小さなミスはしばしばでも、大きなミスは少なくなった……つもりだった。
今日、数年に一度レベルの大失敗をやらかした。
詳細は書けないが、内臓がぎゅっとなる感覚を久しぶりに味わった。
そんなときに通知されたこのテーマ。
ただいまの心模様は、土砂降りでもなく、どんよりとした曇り空でもなく、晴れているけど月の出ていない暗い夜といったところか。ぽっかりした気持ち。
やはり生まれ持った気質はどうやっても変えられないらしい。まあ、それでも人生は続いていく。
『今日の心模様』