優しさは流体のよう。
とらえどころがない。
言わない優しさ、言う優しさ。
同じ言葉でも発信者と受け手の関係によって、優しくなったり迷惑になったり。
優しさの皮をかぶった欲望だったり。
よかれと思ってしたことが実は優しさではなく、ひとりよがりだったと知ったときの恥ずかしさ。
心の奥にある良く思われたい願望を指摘されたかのよう。
きっと優しい人は、相手が本当に必要としていることを感じ取れるのだろう。
根が冷たいのか、そのへんまったく自信がない。
だから最近は求められたら応えるが、こちらから手を差し伸べるのはためらう。
『優しさ』
たとえば、今抱えている問題がすべて解決して、希望が叶って、なんの悩みもない安心できる状態になったら、逆に不安でたまらなくなると思う。
自分にこんな幸運があっていいのか、どこかに落とし穴があって突き落とされるのではないか、と幸せを失う不安に苛まれる自分が想像できる。
なんとなく不安なことに慣れきってしまって、安心したいのに自ら不安材料を探してしまう。
我ながら損な性分だと思うが、不安を「しない」ことへの言い訳に利用しているのもまた事実。
『安心と不安』
体の輪郭だけ浮かび上がる、椅子に腰掛けた黒幕の男。
暗いアンダーパスの向こう側からカツカツ足音を立てて近づいてくる謎の人物。
背後から襲われて仰ぎ見ると、武器を振りかざした真っ黒な人影。
必殺仕事人の登場シーン。
映像における逆光は、顔が見えない=得体の知れないものを表すときによく使われる印象がある。
風景で浮かぶのは、黒々とした山の稜線が朝日で金色に輝く瞬間。
夕焼けを背景にしたビル群。
朝日や夕日が後ろから射すと、なにげない風景にも不思議と風情が生まれる。
もっとも身近な逆光というと、やはり人を撮影するときだろうか。
今はスマホで撮ることが多いので自動調整してくれるが、かつては悲惨な仕上がりの写真が結構あった。
個人的に印象深い逆光は、昔の金曜ロードショーのオープニングかな。音楽込みで。
『逆光』
最近では見た夢さえ覚えていないことは前に書いた。夢十夜どころか夢一夜にも至らない。
かつて見た夢の記憶はある。いろんな夢を見た。不思議な夢、恐ろしい夢、幸せな夢、不気味な夢。
──こんな夢を見た。
亡くなった親族が出てきて、とある頼み事をされた。ちなみに霊感は皆無。困った。ただの夢だと片付けてもいいが、やはり引っかかる。
万が一あの世からの出演だったとしても、なぜ特段可愛がられたわけでもない私の夢なのか、故人に質問したいくらいだ。
そういえば、私だけ用事を言いつけられたことが何度かあったな。頼みやすい子だと思われたのなら複雑な心境である。
信じるにせよ信じないにせよ、私一人ではどうすることもできない頼み事だったので、そのまま長い年月が経った。
次はどうぞ適任者の夢枕に立ってください。
『こんな夢を見た』
書いていたものが消えてしまった。
タイムマシーンに乗って戻りたい。
書き直す気力が湧かないので、横道にそれる。
今回のお題である『タイムマシーン』という文字が目に入ったとき、ちょっと懐かしい感じがした。最近はタイムマシンという表記のほうが一般的になっている気がするからだ。
コンピューター/コンピュータ、フェアプレー/フェアプレイ、バースデー/バースデイ、メーク/メイク……外来語の長音(ー)どうするか問題。
正解はないけれど、媒体によってガイドラインはあるらしい。
タイムマシーン/タイムマシンはどちらでもいいけど、マシンガンはマシーンガンではないな。
『タイムマシーン』