曇天が覆う世界の隅で
最期の考え事をする
思えば、待ちぼうけの人生だった
誰にも愛されず
誰からも認められない
誰も来ないとわかっていながら
私を迎えに来る誰かのことを
ずっとずっと待っている
でも、これでもうお終いなのね
幸せにはなれなかったけれど
もう終わりで構わない
視界は次第に暗くなっていく
強い眠気に身を委ね、目を閉じる
結局、私を迎えに来てくれたのは
涙と永遠の眠りだけだった
雨の降る街の中、私たちはカフェにいた
話を聞いてほしかった
何も気づかないフリをして
愛をくれた人を邪険にして失ったことを
どうすれば、またあの人に会えるでしょうか
私がそう話すと、貴女は静かに呟いた
虹の架け橋を渡ると、大切な人に会えるのだと
そんなことできるわけがないと返すと
貴女は窓の外を見て、ただ悲しげに笑った
「そう、虹を渡ることはできない」
「失ったものは、もう二度と戻らない」
心が締め付けられるように痛くなった
雨は止むことなく酷くなっていく
本当はずっとわかっていた
後悔するには遅すぎたのだと
今さら何を願ったところで叶わないんだって
貴方が遠くへ行ってしまうと知った
ただ一言行かないでと言えていたら
今も言葉を交わせていたかもしれない
でも、ずっと怖かった
貴方に拒絶され、嫌われることが
もう二度と会うことはできないのに
意味のない希望を持って、恐れてしまった
もしも世界が終わるなら
あの時きっと、貴方に想いを伝えられたのに
思い出すことしかできなくなった
貴方の隣で笑えていた記憶を
何度も何度も繰り返して
以前の想いに囚われたまま
自分だけが取り残されていく
いつか私も全てを思い出にして
前へ進むことができるだろうか
「貴女と出会えて、本当に幸せだった」
最期にそう言って瞳を閉じた貴方は
誰よりも安らかな眠りについただろう
悲しみに暮れる私の心も知らないで
ひとりで先にいってしまうなんて
でも、立ち止まっている時間はない
貴方が残してくれた約束を
必ず果たしてみせるから
だから、貴方が望んだ彼の地に辿り着いたその時は
きっと私を迎えに来てくださいね