「secrt Love 」
あの人が来る前に指輪を外して小箱に仕舞い、
別な箱からはあの人が吸う煙草やコップを取り出し
引戸の隠し扉からあの人が嗜む酒を取り出す
旦那が居ない間だけの秘密の時間
「ページをめくる」(詩)
黒革の本を見付けたのはいいが、
ページを捲ろうにも湿気でページ同士が付いてしまい
何が書かれているのかは判らず仕舞いになった
どうにかこうにかしてページ同士を剥がして
いよいよページを丁寧に剥がしてページを読むが……
「なんだ…?この絵は…?」
摩訶不思議な絵が無造作に列をなした絵もあれば
所々が上下に書かれている絵もある
「…この黒革の本は…この絵…?は一体…?」
ページを捲った者が考え出すと同時に
黒革の本、剥がされたページから二本の腕が生え伸び
ページを捲った者を本の中へ引き摺り込んだ
ページを捲った者を引き摺り込んだページは
また互いのページとまた次のページも互いにくっついて
元の姿に戻ったのでした
「夏の忘れ物を探しに」(詩)
君と夏の石を探しに行ったのは8月31日だったね
夏の石は割るととても碧い色をしていたね。
「8月31日、午後5時」(語り?)
現在の時刻は8月31日、午後5時を過ぎました。ここで一曲
井上陽水で「少年時代」
「ふたり」(一行詩)
いつも二人で並んでたのに何故一人だけ連れて行ったの?
あの子は私とワタシなの。返して。
「心の中の風景」(詩)
幼少期に見た風景は
もう今は見れなくて
時折ふと思い出す
普段なにも思い出すことないのに
仕事で辛くなった時にだけ思い出す
ド田舎出身で
都会に憧れて
家出して
そのまま都会に身を置いたけど
都会の時間の流れは早くて
目まぐるしく動くし、
人間関係もド田舎よりも複雑で
SNSでのやりとりや関係にも疲れ
いつもベットに倒れこむように眠る時に
あの幼少期の時に見た風景が浮かぶ
「…帰らないて決めたけど…。
もうあの風景はないだろうけど…うん…
決めた。会社辞めよう。田舎に帰ろう」
心の中にある風景に逢いに行く
「夏草」(全て一行詩)
夏草に紛れ込む鬼の子妖怪の子
夏草揺れる空に緑迷彩の戦闘機
「ここにある」(詩)
ここに置かれていた夫婦茶碗は一度も使われずに
ここにある茶碗は夫婦だけの形は壊れなかった