#50『寂しさ』
貴方にすぐに会えなくても、大丈夫。私、そんなヤワな女じゃないもん。お互い自立してて、頑張る姿に励まされて高め合うのが私達でしょ?そりゃ、貴方がいなくても平気なんて言ったら嘘になるし、今すぐにでも貴方を感じたいけれど、ワガママは言ってられないし。だから覚悟してなさい、次会えた日は飛びついてハグしてやるんだから。
#49『とりとめもない話』
ちょっと休憩しない?なんて柔らかく言うが、いい加減休めと笑顔が怖ぇんだよ。疲労回復のため仕方なく助手サマの忠告に従えば、素人でもわかるいい紅茶を出される。こちとら自分の興味ないものはこれっきしなもんでよくわかんねぇケド、香りが違ぇな。わざわざ聞くつもりもないが。
「デンマークのでね、いろんなお花が入ってるの」
なんでもお見通しかよ。コイツはよく俺を見てる。ほしい器具はすぐに手渡ししてくるし、実験以外でもサポートは完ぺきにこなしてくる。同じレベルの話がわかるように必死で勉強してるのもまぁ健気なこった。何がコイツをそこまでさせてるのかは知らねぇが、休んだほうがいいのはお互い様だ。
普段は俺が説明ばっかしているが、たった15分のティーブレイクでは昨日のテレビ番組に近所の猫、歴史上の人物に今日の夕飯まで論理的なつながりが見えねぇ話をするただ心地いい声を聞いていられる。
ごめん、私ばっか喋っちゃった。構わねぇ、もっとつまんねぇ話聞かせろよ。つまんないって何よ!ククッ、どーでもいい話ばっかだっただろーが。
「じゃあもっと面白い科学の話して?」
これだからたまんねぇんだよな。
#48『部屋の片隅で』
電気も消えたまま。開けた窓から風が吹いて、白いカーテンは揺れ青白い光が差す。ソファでうずくまって泣く私はより部屋の空気を重くする。
私達の関係を保証したそれも所詮ただの紙切れで、残った写真の笑顔に甘い言葉はいつから偽りに変わっていたのだろう。
突如、ボヤけてもわかった煌めきは前に投げ捨てた指輪だった。
#47『さよならは言わないで』
レコードを出してジャクソン5のNever Can Say Goodbyeをかける。ねぇ、コーラスしてくれる貴方がいなきゃ本当に淋しいじゃない。
#46『光と闇の狭間で』
あの子のほど善人じゃないし
あの子ほど嫌味じゃないはず
いっそどっちかに偏っていれば
もっと楽かもしれないけれど
あっちでチョイチョイ
こっちでチョイチョイ
のらりくらりが私のいつもで
そんな私に
本当の友達なんているのだろうか
今日も仮面を被って
フラフラ彷徨う