#49『とりとめもない話』
ちょっと休憩しない?なんて柔らかく言うが、いい加減休めと笑顔が怖ぇんだよ。疲労回復のため仕方なく助手サマの忠告に従えば、素人でもわかるいい紅茶を出される。こちとら自分の興味ないものはこれっきしなもんでよくわかんねぇケド、香りが違ぇな。わざわざ聞くつもりもないが。
「デンマークのでね、いろんなお花が入ってるの」
なんでもお見通しかよ。コイツはよく俺を見てる。ほしい器具はすぐに手渡ししてくるし、実験以外でもサポートは完ぺきにこなしてくる。同じレベルの話がわかるように必死で勉強してるのもまぁ健気なこった。何がコイツをそこまでさせてるのかは知らねぇが、休んだほうがいいのはお互い様だ。
普段は俺が説明ばっかしているが、たった15分のティーブレイクでは昨日のテレビ番組に近所の猫、歴史上の人物に今日の夕飯まで論理的なつながりが見えねぇ話をするただ心地いい声を聞いていられる。
ごめん、私ばっか喋っちゃった。構わねぇ、もっとつまんねぇ話聞かせろよ。つまんないって何よ!ククッ、どーでもいい話ばっかだっただろーが。
「じゃあもっと面白い科学の話して?」
これだからたまんねぇんだよな。
12/17/2023, 12:03:04 PM