テーマ「隠された手紙」
もう、どれくらい経つのだろうか
あなたと別れて、会えなくなってから
あなたはいつもムスッとした仏頂面で
多くは語らない人だった。
私が作ったご飯を黙々と
文句も言わず、かと言って褒めもしない。
だけどその静かなあなたが好きだったの
娘たちも大きくなり、今はそれぞれ家庭がある。
だから、年に1回行事の時に
たまに実家に帰ってくる。
家族が勢揃いすると
決まってあなたの話になるのよ?
娘「お父さんいつも怖い顔して
全然喋らない人だったよね?」
息子「俺はまだ小さかったから覚えてないや」
「確かに多くは語らない人だったけど
私たちの事を1番に考えてくれてたのよ?」
娘「えぇ?あのお父さんが?」
「ほら、これ見てみなさい。」
私は成人した子ども達に
シンプルな柄の3通の手紙をポンッと出した
娘「これって?…お父さんの?」
息子「へぇ~こんなのあったんだな」
その手紙には成人した子ども達へ
今までに苦労させた事や感謝
どれだけ愛してるかなどを記された手紙だった。
押し入れの奥のおせんべい缶を見つけて
中を見てみると、それぞれの名前宛の
手紙が入っていてその手紙には
今まで父の心情がたくさん隠されていた。
「これは、お父さんが亡くなってから
家の遺品整理してる時にね?」
娘「そっか、お父さん恥ずかしがり屋だもんね」
「お父さんが仏頂面だったのも理由があるのよ?
実は、私達の事が大好きだったんだけど、
感情を出すのが不器用で恥ずかしがり屋だから
手紙と一緒に隠すようにしてたんだって!」
娘、息子「ウッソ~!」
その声に一緒に来てた
それぞれの子ども達も駆け寄ってきた。
孫A「ママどうしたの??」
孫B「父さんなにがあったの?」
「いいことよ😊 一緒に見よっか!」
アルバムの写真と手紙を見比べて
在りし日の父の思い出話に
花を咲かせるのでした。
テーマ「バイバイ」
推し活。
それはハマるものの種類は違えど
いざそれを目にすると癒されて
興奮し、熱狂し、大好き!が溢れて
愛してやまないヲタクたちの尊い活動なのだ。
そして、私の推し活は
大好きなバンドのライブに行くこと。
曲はもちろんのこと
その人のビジュも最高!
声も大好き♡♡
バンドというものを知るきっかけは
ほんの些細なものだった。
何気なく見つけた動画で
彼らのMVを見つけると
体中にビビッと衝撃が走った。
きっとこの人達のこと
好きになる日は近い…と予感した。
そして、大好きになるまで
そう長くなかった。
元気な性格とノリの良さに
固定のファンも多い。
どんなに仕事があって忙しくても
仕事が終わったらすぐにライブハウスへと
向かうのがライブがある日の日課になっていた。
ある日のこと~
彼らが路上ライブをすると言うので
その場所までは電車で15分程なので
仕事を終えてすぐに、なんの躊躇もなく
電車に飛び乗った。
路上ライブは、予告もなく
いきなりSNSで告知されることがあり
いつ、どこで行われるか誰にも予想がつかない。
時には都内から出た秘境の地へ呼び出され
駅に着いた頃には、最終電車も無く
帰れないなんて事もしばしば…で
翌日が仕事で帰らないといけない時は
仕方なく、タクシーで帰る。
もう、損したっていい。
好きなんだから仕方ない。
こんな事辞めてよ~!なんて言いつつも
本当は頼りにされて嬉しいなっていう
都合のいい女思考でクズ男を
生成する未来が…(苦笑)😅
そんな雑な扱いされてようが
ファンを大事にしてくれてるのは
伝わってるし分かってるから
彼らに付いてくるファンもそれなりにいる。
メンバー達との別れ際
「じゃあ、帰るね!バイバイ👋✨」
推しメン「A!〇〇帰るって~!」
推しメンA「そっか~、気をつけてな!」
こうやって見送ってくれるから
ちょっとだけ、雑にされても
許せちゃうんだよな💦
本当、推しには甘くなっちゃうな
(´Д`)ハァ… 今日も推しが尊い💕✨
テーマ「旅の途中」
僕らは、みんなそれぞれ
違う道を歩み続ける旅人。
生まれ育った場所も
価値観もそれぞれ違う。
何もかもが違う他人同士が
奇跡のタイミングを詰み重ねて
出会いと別れを繰り返し、成長する。
偶然?運命?
それは、誰にも分からない。
星の数ほどいる人の中で
あなたに出逢えた奇跡は
何にも代えがたい人生の資産なのだ。
毎日、何気なく生きる。
家に帰るとあなたが待っていて
一緒にご飯を食べて、眠り、朝を迎えて、
仕事に行き、お金を稼ぎ、一日が暮れてゆく。
普段のつまらない程の何気ない日常は
全てが当たり前じゃないんだ。
当たり前が崩れ去った時
ゆるく生きられていた事が
どれだけ幸せだったかを実感できるんだ。
まだまだ旅の途中。
だけど、その終わりは
突然やってくるかもしれない。
日々過ごす中で
誰かに伝える感謝は
たくさん言っても損は無いものだ。
テーマ「まだ知らない君」
ぼくは、学校が嫌い。
勉強よりも休み時間が嫌い。
高校に行くのが毎日億劫。
毎日教室に入ると
僕はいないものとして扱われる
空気のような存在。
別に目立ちたくないし
友達なんて要らないから
そんなのどうでもいいんだけど
その中でも1番苦手なのは
同じクラスのギャル。
友達が多くてうるさいぐらい元気で
いっつも明るすぎる、いわゆる陽キャ
先生にいくら注意されても気にも留めない。
なんでも適当でいい加減。
そんな彼女を敬遠してた。
ある日のこと~
休み時間、いつものように
窓際の一番後ろの席で本を読んでると
ギャルがぼくの前の席に座ってきた。
ギャル「ねぇ!何、読んでんの?」
「〇〇っていう人の推理小説だよ」
ギャル「へぇ~ あんた、そういうの好きなんだ笑」
その日から毎日、ぼくを見つけては
よくギャルに絡まれるようになった。
~昼~
1人でお弁当を食べていると
ギャルが来て
ギャル「これ、もーらいっ!」と
卵焼きを指で掴みポイッと口に運んだ。
「えっ… ちょっ💦」
ギャル「美味っ!これあんたが作ってんの?」
~放課後~
ギャル友たちが教室で
男友A「今日この後、カラオケでも行こうぜ!」
男友BC「おう!いいじゃん笑笑」
男友A「お前も行くだろ?」と
ギャルに目をやり話しかける
すると…
ギャル「ごめん、パス」と
そそくさと帰って行った。
男友A「なんだよ、あいつ最近ノリ悪ぃな」
ぼくはそんなやり取りを
若干、気にしつつ教室を後にした
翌日~
いつものようにギャルに絡まれる
1日で、もうクタクタ💦
家までの帰り道、
途中の居酒屋から偶然
出てくるエプロン姿のギャルが出てきた
(あれ…あのギャルって…
いつも絡んでくるアイツだよな…)
彼女は家の生計を立てるため
学校が終わってすぐ毎日バイトしていた。
あのいい加減な彼女からは想像がつかない
真剣な眼差しで一生懸命働いていた。
毎日おかずを持っていくのにも
色々絡んでくる行動にも説明がつく。
いい加減なフリをしてお金が無いのを
必死に隠そうとしてたんだな…
そう思うと、ぼくは
翌日から自然とお弁当を2個作ることにした。
あのギャルは驚いてたけど
僕が作ったお弁当を美味しそうに頬張ってた
学校とバイト。
それぞれの場所で作ってたキャラ。
本当は良い子だって事を
みんなは知らないだろうな…
傍から見たら
ご飯をたかられてるだけだし笑
もしかしたら、まだ知らない君が
存在するのかもしれない…と
今まで遠ざけようとした自分を恥じた。
テーマ「日陰」
頭がクラクラするほどに
ガンガンと照り付ける太陽
そんな真夏のこと。
日陰に入って少し休憩。
冷たいスポーツドリンクが
体の隅々まで行き渡り、細胞が喜びだす 。
汗をたくさんかいて、日焼けした肌と
服と肌の変な境目で夏を感じる。
容赦なく照りつける太陽が
いつまでも夏を終わらせまいと
私たちを離してくれない。
夏の夕方はヒグラシの鳴き声が切なく物悲しい。
あぁ… 今日も日が暮れてゆく。