テーマ「隠された手紙」
もう、どれくらい経つのだろうか
あなたと別れて、会えなくなってから
あなたはいつもムスッとした仏頂面で
多くは語らない人だった。
私が作ったご飯を黙々と
文句も言わず、かと言って褒めもしない。
だけどその静かなあなたが好きだったの
娘たちも大きくなり、今はそれぞれ家庭がある。
だから、年に1回行事の時に
たまに実家に帰ってくる。
家族が勢揃いすると
決まってあなたの話になるのよ?
娘「お父さんいつも怖い顔して
全然喋らない人だったよね?」
息子「俺はまだ小さかったから覚えてないや」
「確かに多くは語らない人だったけど
私たちの事を1番に考えてくれてたのよ?」
娘「えぇ?あのお父さんが?」
「ほら、これ見てみなさい。」
私は成人した子ども達に
シンプルな柄の3通の手紙をポンッと出した
娘「これって?…お父さんの?」
息子「へぇ~こんなのあったんだな」
その手紙には成人した子ども達へ
今までに苦労させた事や感謝
どれだけ愛してるかなどを記された手紙だった。
押し入れの奥のおせんべい缶を見つけて
中を見てみると、それぞれの名前宛の
手紙が入っていてその手紙には
今まで父の心情がたくさん隠されていた。
「これは、お父さんが亡くなってから
家の遺品整理してる時にね?」
娘「そっか、お父さん恥ずかしがり屋だもんね」
「お父さんが仏頂面だったのも理由があるのよ?
実は、私達の事が大好きだったんだけど、
感情を出すのが不器用で恥ずかしがり屋だから
手紙と一緒に隠すようにしてたんだって!」
娘、息子「ウッソ~!」
その声に一緒に来てた
それぞれの子ども達も駆け寄ってきた。
孫A「ママどうしたの??」
孫B「父さんなにがあったの?」
「いいことよ😊 一緒に見よっか!」
アルバムの写真と手紙を見比べて
在りし日の父の思い出話に
花を咲かせるのでした。
2/2/2025, 10:36:39 AM