ブーブーブー
携帯のアラームを間違えて設定してしまったのだろう
部屋は薄暗く窓からは電灯の光が差している
ふといつもとは違う感触がする
枕が濡れていた
怖い夢を見たのか
悲しい夢を見たのか
それとも切ない夢か分からないが
確かに枕は湿っていて
頬は少し濡れている
最近何かあったかと思い返してみたが
特に気になることはない
恋人と別れたわけでも
家族と喧嘩したわけでも
ましてや何か起こったわけではない
くるくる考えていたら瞼が重たくなってきた
布団を顎の下まで捲り上げた
エアコンでヒンヤリと冷えた布団が気持ちいい
#朝、めがさめると
#朝じゃないな…
そんなに目立つグループではなかったけど
ただ、馬鹿みたいに笑って
ただ、馬鹿なことをして
わたしたちが楽しくて
わたしたちが繋がっていて
そんな
何でもない日常が大好きで
そんなことで
特別じゃないわたしが好きになれて
わたしが私になったんだ
#友達の思い出
窓越しに見えるのは
暑くなって殆ど力のない風に
頑張ってしがみついている
貴方の燈
眩しい
#窓越しに見えるのは
ミーンミーンミーン
蝉の音が暑苦しい
屋根もないバス停のベンチで
足を組み直し腕時計を見た
待ち合わせ時間はとっくに過ぎている
知り合って15年
小学生の時から一緒で
親友というよりは戦友のような関係だ
定時に来たときは一度もない
バスツアーを一緒に行ったとき
パーキングエリアでトイレ休憩から
なかなか帰ってこなかったのは焦った
こめかみから汗が流れる
「あー潰す」
いつもヘラッと笑い
謝りながら来る顔を思い出しイライラしてきた
毎度、遅く来ることは知っていても
来るかもしれないと約束時間に来てしまう
道路は熱で景色が歪んで見える
布から出ている肌はチクチクと
太陽の光がさす
ふと、区役所に手紙を送ろう思った
***停に屋根をつけて下さい
スルメイカになりそうですと
忘れないよう携帯にメモしようと
ズボンのポケットを探った
「ごめん」
遠くの方から走ってくる人影が見えた
さっきの言葉を実行するため立ち上がった
目の前に来たときは
額に髪をつけ胸は忙しく上下していた
「遅れたの特に理由はないんだけど、許して」
笑いながら氷菓をだした
私の好きな檸檬味のものだ
人気もなくてなかなか売っていない氷菓
運がないと買えないものだ
無言で氷菓を受け取った
「バス来るのにあと15分あるね」
そう言いとなりに座った
私は袋から氷菓を出し口に入れた
シロップのように甘く
ほのかに香る檸檬がひんやりと口に広がる
「おいしい?」
へラリと笑い首を傾げている
「おいしい」
目を合わせず青い空に浮かぶ積乱雲を見ながら言った
#夏
帰宅ラッシュ
バスの中はぱんぱんで
吊革を握っているのがやっとだ
次は***前です
バスのアナウンスが流れた
降りる駅だ
窮屈な箱から出るために
窓横にある降車ボタンに手を伸ばした
赤く光る降車ボタンの隣に
見かけない蒼く煌く石の様なのがある
町で周るバスには似つかない
神秘的で何よりも高価そうだ
誰か捕っていってもおかしくないものだか
誰も気づいていないのか
携帯をいじっていたり
吊革に寄りかかりうたた寝をしている
ピンポーン
誰かが降車ボタンを押した
窓からは見慣れた景色が流れていく
もうすぐでバス停に着く
目の前の不思義な石を見た
伸ばしていた手を石の方へ持っていった
ひんやりと冷たい感覚が指先に感じた
カチッ
スイッチが押された音と共に
瞬きを一度した様な気がする
目の前が真っ暗だ
辺りを見渡した
肩を窄め人に埋もれながら
乗っていたバスはどこにもない
静まり返り一足先は落とし穴のような暗闇だ
足がすくむ
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書くの疲れた
#ここではないどこか