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11/5/2024, 5:03:09 AM

「そうだね、私ってホント馬鹿」

 そう言って彼女は俯いた。サラサラとした長い髪が彼女の表情を隠す。隣に座る僕からは、簾のような髪のわずかな隙間から薄らとしか見えない。
 伏せ目がちだから、彼女の睫毛が長く、上向きにくるんとカールしていることを初めて知った。細かく震える瞼に、睫毛がつられて揺れた。口角が下がり、口を硬く結んだ彼女が、ようやく悲しさややるせなさを感じた。

「こういう時ぐらい励ませ、馬鹿」

 ぼんやりと彼女の輪郭をなぞるように見ていた僕に、声がかかった。見られていたのがバレたらしい。彼女は先ほどまでのもの悲しい雰囲気を一瞬で発散し、不機嫌そうな声を上げた。僕は掛ける言葉もなく、黙り込んだ。


 彼女に訪れた不幸に、僕は喜んでしまったから。

『哀愁を誘う』

11/3/2024, 4:42:58 PM

 左右反転するけど真実を映す鏡

 でも無意識のうちに
 目には力が入っているし
 うっすら口角は上がるし
 フェイスラインがスッキリする角度に顔を傾ける

 いや貴方
 映え写真撮りたいわけじゃないのよ
 コンタクトレンズ入れたいのよ

 分かってるんだけど毎回同じことしてる


『鏡の中の自分』

11/3/2024, 6:04:41 AM

 目を瞑って貴方の姿を思い出す
 今日話したことや一緒に食べたもの
 一つ一つが幸せな出来事で口元が緩む

 眠る前にこうやって思い浮かべていれば
 きっと夢の中でも会えるよね


『眠りにつく前に』

11/2/2024, 3:24:03 AM

 何度生まれ変わっても貴方を愛す
 一貫した永遠の想い

 果たして私は貴方を
 正々堂々愛せる立場と力を
 持ち合わせているのだろうか


『永遠に』

11/1/2024, 3:34:08 AM

 ほんの少し開いた窓から
 ひんやりとした涼しい風が入ってきた

 壁一面の本棚にギチギチと
 音が鳴りそうなほど詰まった本

 テーブルの上に広がる読みかけの漫画
 行き場がなく床に置いたお盆
 香りの良いアールグレイティーにチョコレート

 柔らかくも体を支えてくれるソファに埋もれて
 体を伸ばして心地の良さにうっとりとする

 好きな音楽を止めて
 今度はモニターでライブDVDの再生

 観ているうちにウトウトし始めて
 次に目が覚めたときはどこからか分からなくなる
 それも「まぁいいや」と片隅に追いやって

 窓の外はいつの間にか暗くなっていて
 そろそろ夕飯を作らなきゃと思いながら
 またソファにしがみつく



 好きな時間に好きな場所で好きなことをやり尽くす
 ここが私の理想郷


『理想郷』

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