「早いものね」と囁かれた。
確かに思い返してみれば早かった。
「早かったね」でも君との思い出は全部綺麗で暖かいよ。ずっと忘れられない思い出さ。
「私はまた昨日と同じ今日を過ごしてしまいましたよ」と優しく笑いかける。
「そうかそうか、そろそろゆっくりしてみたらどうだい」お茶も出せなくてごめんよ婆さん。
「あなたがいなくなってからしばらく経ちますね。今でも愛していますよ。」
ねえ、泣かないで
泣いて赤くなる彼女の頬に手を添える。
「リヒト君どこにいるの。帰ってきてよ。まだ話したいことたくさんあるのに」
涙をさらにボロボロ流しながら彼女は言った。
「リヒト君好きだよ」
僕も好きだよ。直接言えなくてごめんね。
僕も君ともっと話したかった。旅行にも行きたかった
君を幸せにしたかった。
ああ…実体はないのに涙が溢れてくる。
僕の涙は光の粒となって落ちる。
ねえ、さようなら時間が来たみたいだ。
僕は君の笑顔が1番好きだよ。
彼女はこちらを少し驚いたようにみてほのかに微笑んだ。
「泣かないで」
僕はいつかあなたの恋人になりたい。
眼鏡で髪型もボサボサ、服もよれている。
いわゆる陰キャラな僕だけど、そんな僕にもこの間春が訪れた。
授業終わり消しゴムを落とした時拾ってくれた。
ただそれだけが嬉しかった。ちょろいのはわかっているでも好きになってしまったから仕方ない。
僕は君のために変わると決意した。
とりあえず服を買いに行って、美容室にも行ってこよう。体も鍛えるのもいいななんて考えながら
夏が過ぎか秋が来始めていた。
君のおかげでたくさん趣味が増えた。友達も増えた
本当にありがとう
これからは君に僕に落ちてもらえるように頑張るから覚悟しておいてね。
どうすれば良かったん?俺はどこで間違えたんや…
「いってらっしゃい」
て可愛く微笑む彼女をみながら通勤した。いつもも通りの日常、起きて、飯食って、着替えて、行ってきますのキスをする。
昼やって奥さんの愛妻弁当を食べてたはずなんや。
そう、食べてたはずや…
目の前が暗くなり体が地面に引っ張られる。
気づいた時一番に目に入るんはおとんとおかん
「意識が戻ったのね!先生を呼ぶわ。」
泣きながら言うおかんに申し訳なさを感じつつ…
先生によるとどうやら過労らしい。いつも通り過ごしてはったのになんて笑い飛ばしながら1番気になっとることを聞く。
「なあ、りんはどこにおるん。会いたいねんけど」
誰も答えず皆泣く始末。誰か教えてや…と言いかけるとおとんが
「りんさんは先月交通事故で亡くなったで。もうおらん、いい加減戻ってこいや。」
え…おらん?おらん…
りんとの思い出が流れることもなく、あっけなく納得した。その割には涙が止まらん。
ああ…おらんのか。そうか今までいつも通りやったんは彼女との日々が幸せやったから。
最後にキスできて良かった。りんの墓行ってやらんと
「どうすれば良かった」