テーマ『花束』
誰かに花束を贈ったことは、ない
花瓶に入れられた花が枯れ、茶色くしなびて乾燥し
パラパラ砕け散るのを見て以来
どんなにきれいな花も、すぐにそうなってしまうのだと知って
摘まれた花よりも、野に咲く花のほうが
素直にきれいだなと思えるようになった
野に咲く植物は、枯れて朽ちても
土の養分になって、次の命の糧となれる
枯れたからと、ゴミ箱に捨てられるのを見るのは
嫌だから
きっと私は、生きた花を贈らないだろう
テーマ『スマイル』
外でいつも笑顔の祖母が、食卓で知り合いの批判をこぼした時
笑顔は、防壁だったのだと気づいた
うまく周囲とやるために、世の中を渡っていくために
笑顔は必ずしも、幸せの象徴じゃない
いつも笑顔を浮かべている人は
自分が本心で笑う瞬間が分からなくなるんじゃないか
無愛想だって、無表情でいたっていいのだと
ふと、無愛想な人を横目に考える
祖母が愛想笑いを浮かべることを
非難したいわけじゃない
ただ、笑っているから平気だとは限らないんだなと思った
無理やり張り付けた仮面の下で、血の涙を流してる人だっているはずだ
それは本人にしかわからないことだし
他の誰にも、完全に理解することはできないけれど
笑ってる人を見るときは、『どっちかな』って
考えるようになったかもしれない
テーマ『どこにも書けないこと』
子供の頃、家族の誰にも言えなかったこと
家族とテレビでセー◯ー◯ーンや、仮◯ライ◯ーを見ている時
主人公たちが苦しんでいるシーンで
子供ながらに、愉悦感を覚えていたこと
(きっとこういう経験は、誰にでもあると信じてる)
テーマ『時計の針』
人生のタイムリミットは誰にでも決められている
いつそれが来るか分からない
終わりは誰にも知らされず、突然やってくる
…はずなのに、なぜか私は
『将来のために』という漠然とした言葉で正当化して
明日やりたいと思ったことを、諦めようとしている
シンプルに言おう。インドカレーが食べたい
でもウェブサイトを見たら、物価高の影響か
前よりも数100円高くなっていて、食べたい欲を
抑え込もうとする自分がいる
『明後日死ぬかもしれないから、食べたいものは食べておけ』
極論だと思う
これまでの経験で言えば、死なない
なぜなら、今日まで生きてきているから
子供の頃、食べたいものがあっても「高いから」と一蹴されて
食べられなかった記憶が何度もある
その悔しさが、大人になった今でも胸の中でくすぶっていて
食べたい気持ちを『高いから』と抑え込もうとすると
『なんで!?私はあれが食べたいのに、なんでダメって言うの!?』
子供の頃の自分が、駄々っ子みたいに暴れまわって
今の自分が「高いから」と言った母親に見えてしまう
家族5人で外食に行けば、全員が本気で食べれば軽く1万円を超える
けれど今、私がやろうとしているのは
自分一人分の食事代であって、家族全員分じゃない
小遣い程度の収入だが、なんとか賄える金額は稼いでいる
私は自分の中の欲求を満たしてやらないと
『なんのために仕事をしているんだろう?』と考え始め
結果的に無気力になる
心の中に、とても頑固でわがままで強欲な
子供がひとり住み着いているようなものだと、私は感じている
欲求は、満たしてあげれば手放せる
なら、このインドカレーが食べたいという欲求も
私の人生にとっては必然なのだと解釈できる
なんとなく、自分の欲を(できる範囲内だが)全て叶えてあげることは
ダメなことだと思っていた
だけど、意外と私の本心はそうではないらしい
仮◯ライダーオー◯の鴻◯さんじゃないけど
欲というのは人が生きる意味であり
明日を作るための大切なエネルギーだと思ってる
むしろ、欲望があるということは当たり前じゃない
なぜなら、数年前の私は自分の欲望がよく分からなかったからだ
欲望を抑えつけすぎて、無気力になって
1日中寝て過ごす時間が何日もあった
だから欲望のサイクルが回せない人生の苦しさを、私は知っている
ここにこうして書くということは、それでも高いランチを食べることに
葛藤があったからに、他ならないのだけれど
現状生活は親に頼ってるし、自分のことだけ考えられる時間なんて
そう長くはないのだから
今のうちに、やりたいことは悔いなくやっていこうと思う
ランチに1600円くらいかかるとか、母親に言ったら
ありえないって言われると思う(絶対母親に言わないけど)
私がどうしてそこまで、美味しいものに対する欲が強いのかわからない
けれど、これまで何度も欲求を解消してきた結果
欲を手放すためには、物理的に無理な現実にぶち当たるか
欲を満たして解消するしかないというのが持論だ
こんな、匿名で書いてる場所で宣言することではない…
いや、匿名の場所だからこそ宣言できるのかもしれないが
明日気が変わっていなければ、私はインドカレーを食べに行こうと思う
前に食べたバターチキンカレーのとても美味しかった記憶が
頭から離れないのだ
テーマ『あなたに届けたい』
やりたいことをやろうとすると、罪悪感があったよね
弟たちを優先しなきゃって、自分を押し殺したよね
親を困らせちゃいけないって、自分で自分を否定したよね
辛かったよね、苦しかったよね
自分の心がわからなくて、心に従うことが悪に思えて
周囲に咎められないように、必死に息を潜めてたよね
でも、もう大丈夫だよ
これからは、私があなたを守るから
やりたいことを、やっていいんだよ
お金の心配はしないで
必要な分、私が稼いでくるからね
大切な人を、一番に考えていいんだよ
私にとって、一番大切な人はあなただよ
でも、あなたにとって大切な人も、私にとってすごく大切な人だよ
幸せになっていいんだよ
周囲の価値観に押しつぶされるのは、もう終わり!
心に耳を傾けて
あなたなりの人生を歩んでいってね
子供の頃の私へ
──もう、大丈夫だよ